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「外部」の人間を、積極的に巻き込む作品
──内古閑さんのように、デザイナーとしてアニメ商品や作品に関わりたいという人には、どんなアドバイスがありますか? 内古閑 単にアニメのデザインが好きなだけでは、ずっとアニメっぽいデザインしかできない気がします。最初に話したように、僕は音楽畑の人間でしたから、この仕事を始めた当初、当時のアニメ業界の主流とは違った文法から入りました。だから、今でも重宝していただけるのでしょう。
──では、アニメ以外のデザインも知っておいたほうがいいわけですね? 内古閑 アニメが好きなら、アニメのデザインは自然と目に入ってくると思いますし。だけど、あまり厳密に線を引いて考えることもないでしょう。僕がアニメのデザインしかしないなんてことはありませんし、アニメの世界も幅が広がっていますからね。
──内古閑さんとしては、アニメの外側と内側、どちらに関わっている気持ちなのでしょう? 内古閑 お客さんと制作側の間に位置していると思っています。これまで「グレンラガン」や「凪のあすから」(2013年)、「クロムクロ」(2016年)のスタッフトークイベントに呼んでいただいた時も、逃げを打つわけではありませんが、「ファン代表です」と最初に言ってしまうんです(笑)。もちろん、ほかのファンの方よりも先にシナリオを読むことができる立場ではあるけれど、かといって、実際にアニメを作っている制作現場については、知らないことのほうが多いわけです。単に「アニメが好き」というミーハー的な気持ちでデザインを考えている部分もありますから、独特の距離感で接していますね。もし「スタジオに席を置いてあげる」と言われたら、「いえ、結構です」と辞退すると思います。都合のいい話ですが、そこまで内部の人間ではないから考えられるデザインも大切にしていたい気がします(笑)。
今日は、深く関わることのできた作品の話をしましたが、僕のような外部の人間を積極的に巻き込んでくれる作品は増えてくるとは思います。アニメがいろいろなルートでお祭のように広がっていくときに、開放的な作品のほうがいい結果を生むんじゃないでしょうか。
(取材・文/廣田恵介)