2時間40分があっという間に過ぎ去る
観賞手段:BD、劇場
TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の最終話の後のエピソード。
原作でも最も高く評価されているということもあって公開前の期待も高かったが、その期待に応える出来栄えだった。
シリーズの中でも特にSF要素が強いストーリーとなっており、TVA「涼宮ハルヒの憂鬱」のエピソードとも密接に関わってくるために、序盤はキャラクターを紹介するような導入の仕方になってはいるが、やはり「涼宮ハルヒの憂鬱」の予備知識がないとつらい。
アニメでここまで主人公のモノローグが多い作品も珍しいが、さすがに視聴者を退屈させないのは演出の妙だ。
原作にはない台詞や原作とは少し言い回しを変えたりと映画化にあたっての試行錯誤が見られる。
ストーリーの中で最終的に主人公がシリーズを通しての一つの結論に至っているのが良い。
演出面も光っており、栞と入部届で対比させるというのが素晴らしい。
作画では、2009年のTVシリーズで2006年のものとキャラクターデザインが若干変わってしまっていて残念だったのだが、この消失では2006年の頃のキャラクターデザインに戻っている。
それは意図してやったそうだが、まさにあの頃のままという感じは嬉しい。
もう一つ注目すべきは作画枚数の多さ。細密に書き込まれたキャラクターがなめらかに動く。素人目にもはっきりわかる。
また、エフェクトやフィルタリング、ライティングといった撮影もかなり効果的で美しい映像に仕上がっている。
音楽も忘れてはならない。
シドニーのFOXスタジオで本作の音楽を演奏したのは、Diablo IIIのサウンドトラックの演奏も担当したエミネンス交響楽団。
映画用に作られた神前暁氏らによるサウンドトラックに加え、クラシックなジムノペディやグノシエンヌなども取り入れ、物語を見事に演出し、盛り上げている。
最近、英語吹き替えが聴いてみたくて北米版も買ったのだが、そちらも素晴らしい吹き替えがされていた。そして改めて本作の出来の良さを再認識した。
2時間を軽く超え、3時間に届きそうな長丁場の映画だが、あっという間にエンディングを迎えてしまうほど映画の中に引き込まれる。
- ストーリー
- 4.5
- 作画
- 5.0
- キャラクター
- 5.0
- 音楽
- 5.0
- オリジナリティ
- 4.0
- 演出
- 5.0
- 声優
- 4.5
- 歌
- 3.0
満足度
5.0
いいね(1)
2012-12-02 18:16:09