YOU44さんの評価レビュー

「しっかり生きて
それから死になさい」（ミサト）

グダグダの情けない
シンジみたいな男の子っている

廃人のアスカが痛々しい。
ラストの凶暴な彼女は救いだ。
これほど内面をえぐる作品も少ない。
世界の終わりと再生、サスペンス、謎解き
メカニカルな世界観。
マニアにはたまらないと思う

斎藤環は『戦闘美少女の精神分析』で
「（綾波レイの）空虚さは、おそらく戦う少女のすべてに
共通する空虚さの象徴ではないか。
存在の無根拠、外傷の欠如、動機の欠如。
彼女はその空虚さゆえに、虚構の世界を
永遠の住処とする出来る」
「『無根拠であること』こそが、
漫画、アニメという徹底した虚構空間の中では
逆説的なリアリティを発生させるのだ」
「われわれの欲望もまた
彼女の空虚さによって呼び覚まされたもの
ではなかったか」
と書いている

同じく「空虚」を内田樹は
漱石の『こころ』の先生で言及している。
「『先生』には欲望がないということが
『私』の『先生』に対する欲望を喚起するのである」
「『先生』の内に蔵されているある種の
空虚ー『零』ーの欠性」
「私たちは俗臭芬々たる成功者には羨望を
感じないが、無一物のうちに
涼しく自足している人間には羨望を感じる」

ブッダ、禅、茶道で言う「空」。
同じものを綾波レイに感じ
人は惹かれるのだろう。
『ハルヒ』の長門有希やその後に続く
クール女子の源流がここにある