ライター 箭本 進一さんの評価レビュー

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日常を舞台に、新たな物語が始まる

観賞手段:テレビ、CS/BS/ケーブル、ビデオ/DVD
人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ第4部のアニメ化である。宿敵を倒すために世界を巡る前作から一転、日本の片隅にある杜王町の日常に特殊能力・スタンドを使う者たちが入り乱れる。
当たり前の日常に、奇怪な能力と常軌を逸した欲望を持つ邪悪が何食わぬ顔して潜む。そこにはホラーの香りが濃厚に漂う、不気味なリアリズムがある。今でこそ、サイコパスやソシオパスという人々が広く知られ、日常に潜む彼らと遭遇する怖さが語られることも多いが、原作はこのテーマを1992年に描いていたわけで、先進性が光る。敵についても、パワーの大小だけでなく、隣人を省みない者としての脅威を表現することにより、敵味方の能力がインフレする現象が解決されているのも興味深い。スタンド使いが起こした奇妙な現象について、一般人が都市伝説としての解釈をしているのも面白く、この辺りも時代を先取りした感がある。こうした方向性は原作第8部「ジョジョリオン」でも追求されているため、本作の視聴後に一読するのも良いだろう。
アニメ化に際し、今回も原作へのリスペクトが溢れている。原作のカラー回に見られる、黄色い空をはじめとした独特の色調も再現。オリジナル要素についても、垢抜けないご当地FM「杜王町RADIO」を設定し、作中で流すことで「どこにでもありそうな、当たり前の町」としての杜王町を強調するなど、様々な点で原作のコンセプトが尊重されている。3つ目の主題歌「Great Days」についても、歌詞に使われている単語の全てがジョジョ的、第4部的といっても過言ではなく、物語を見終えた後に聞き返すことで感動が深まるのだ。
プロレビュアー
ライター 箭本 進一
ライター 箭本 進一
ストーリー
5.0
作画
4.5
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2023-09-29 15:12:02

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