soiboshiさんの評価レビュー

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淡々と流れる魂の旋律

観賞手段:劇場
まず全体的に淡々と流れすぎな印象がありました。
美術は丁寧で綺麗だし、作画も整っていましたが、
肝心の中身までがそれこそサラッと流れていくという
感じを受けました。

アニメ化にあたり強調された百合展開ですら
サラッとしているのがもったいない。

主人公トァンの心酔していたカリスマ、ミァハは、
重要なセリフを言いまくるキーマンなのに、
そのミァハも危険思想の不思議ちゃんに留まっている。
原作を読んでストーリイを知っている身からすると、
とても歯がゆく思いました。

説明的なモノローグが多いので、ところどころ退屈だった
印象もあります。これは演出がよろしくないのかなぁ。

Project-Itoh第1弾目の『屍者の帝国』のほうが、
映画作品として完成度の高い素晴らしいものになっていたと
比べざるを得ません。

納得できないのは、最後のいちばん重要な展開です。
ここまであっさりしすぎていて、原作を知っていないと
なにが起きているのかを判らない人がたくさん出るんじゃ
ないだろうかと、ファンとしては心配になります。

あと、トァンに思いを語らせなくても、
何度も夢に見る描写などで見る側に判らせることが
できたのではないだろうかとも感じました。

終盤の展開のすごさは、原作には遠く及ばないです。
期待していただけに、残念な点が目立ちました。


『屍者の帝国』、『ハーモニー』と観てきましたが、
伊藤計劃さんは人間の魂について深く考察し、
こだわりをお持ちだったのだろうと感じました。
今作も魂のありようが重要なポイントになっていますので。

今作は、決して嫌いではないし駄作とも思わないけれど、
前作のように何度も観たくなる作品ではなかったです。

EGOISTの主題歌は切ない色がとても好みでした。
soiboshi
soiboshi
ストーリー
4.0
作画
4.0
キャラクター
4.0
音楽
4.0
オリジナリティ
4.0
演出
4.0
声優
5.0
5.0
満足度 3.5
いいね(0) 2015-11-22 20:34:55

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