森見登美彦の小説はとても面白い。まず情緒に溢れている。あくまで個人的感想だが、森鴎外や夏目漱石の様な近代文学の香りがする。古都、京都を舞台にした作品が多いからでもあろう。
森見登美彦原作のアニメ作品は、以前に放映された四畳半神話体系が大変に面白かったので、本作も放送前から楽しみにしていた。
第一話のモブシーンからしてやられた。欧米のアニメでは、モブシーンでも全ての人が動くのが当たり前だ。だが、日本のアニメとなるとモブシーンは殆どの人は動かなくなる。ジブリの劇場版作品でもパンシーンでは動きが少なくなる。昔はTV作品でも宮崎駿がコナンやルパンやホームズで重厚なモブシーンを見せてくれたのだが... TV放映作品でここまでのモブを見たのは久しぶりだ。
本作はよほど徹底して京都の現地取材を行ったのであろう。アートと言うにふさわしい高レベルに、背景やキャラクター、CGなどが融合している。これは、よほどに原作への好意が無ければなし得ないことだと思う。また、制作会社が京都にほど近い富山であるというのも制作クオリティを上げるのに有利な点であったのではなかろうか。
全話、とても楽しく安心して見ることができた。2013年夏アニメで一番気に入った作品である。原作のたぬきシリーズは三部作になるとのことなので、遠くない日に第二部に出会えることを期待している。