ライター 箭本 進一さんの評価レビュー

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40年を経て再評価された、伝説のカルトアニメ

観賞手段:CS/BS/ケーブル、ビデオ/DVD、VoD
1973年(74年説あり)に放映された10分アニメで、2000年代にストレンジなカルト作品として再評価された。地球を侵略する謎の敵・ジュラル星人に対し、主人公の研は「チャージマン」に変装して立ち向かう。制作費が格安であったためか、10分というショート番組であるにもかかわらず、冗長な尺あまりや不自然な尺稼ぎが頻発。短時間でストーリーを決着させるため、あらゆる点に影響が及んでいる。最も顕著なのが、研の人物像。小学生らしき場所に通う児童だが、殺人歴のあるボクサーを素手で圧倒し、相手がジュラル星人となれば(例え直前まで人間に化けていても)容赦なく射殺でき、爆弾を仕掛けられた人間を飛行機から即座に捨てられるのだから恐ろしい。侵略者であるはずのジュラル星人の方が人間味に満ちているという有様だ。
ストーリーも突っ込み所が満載。情け容赦のない研が穴だらけの侵略計画をバリバリとぶっ潰していく様に謎のスピード感があるが、前述した尺あまりや尺稼ぎがこれを中和する。つまり物事をじっくり描写するのに10分は短いが、低予算で変化ある映像を作るには10分は長すぎるというわけだ。
慣れてくると、研のマシーンっぷりやジュラル星人の人間臭さも相まって謎の中毒性がある。日常生活でも名台詞を叫びたくなること請け合いだが、一人で叫んでも寂しいので友達と同時視聴するのがお勧め。
本作は2019年と2020年に舞台化されている。筆者も見に行ったのだが、原作再現はもちろんのこと、「チャー研」愛に満ちた演者の面々と、新作に餓えたファンたちが織りなす、アットホームな雰囲気も素晴らしい舞台だった。放映から40年を経て人気が再燃するというのも例を見ない出来事。そうした意味で本作は力あるアニメであり、一見の価値ありだろう。
プロレビュアー
ライター 箭本 進一
ライター 箭本 進一
ストーリー
5.0
作画
5.0
キャラクター
5.0
音楽
5.0
オリジナリティ
5.0
演出
5.0
声優
5.0
5.0
満足度 5.0
いいね(0) 2023-07-31 19:20:35

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