『ベルセルク 黄金時代篇Ⅰ 覇王の卵』特集

ガッツ役 岩永洋昭さん インタビュー

ガッツ役は一発OKで俳優・岩永洋昭さんに決定。オーディションで一言発しただけで「はい、けっこうです」と言われ、あまりの早さに本人は落選したと思ったほどだったそうです。今回のインタビューでは、初挑戦だった声優の現場のことや、映画の見どころなどをお聞きしました。

声優初挑戦ですが、役者の現場とは違う緊張感がありました

――声優初挑戦ということですが、俳優と声優の演技で違っていたところはありましたか。

俳優としての演技では表情とか動きをくわえて表現できますが、今回、声の抑揚で演技するしかないので、自分なりにできる限り表現したつもりでいます。難しくはありながらも新鮮でした。抑揚だけで表現の幅も広がるんだな、と気付いたことも多かったです。すごく勉強になりました。アフレコでは、役者の現場とは違う緊張感がありましたが、仮面ライダーやヒーロー物のアフレコ経験がありましたので、すんなり入れました。

――監督からの指示はありましたか。

若い時と数年後のシーンで演技をちょっと変えてほしいと指示がありましたが、それ以外はほとんど「地でやっていい」「そのままでやっていい」と言われたので、あまり考えずにできました。

ガッツ役 岩永洋昭さん インタビュー 01

原作本も10年前、大学生のときに読んだことがあり、今回も読み返したので、流れはある程度つかんでいましたし、キャラクター設定で悩んだこともなかったですね。

――共演された櫻井さんや行成さんの印象はいかがでしたか。

櫻井さんは結局1度しかご一緒できなかったのですが、行成さんは何度かご一緒しました。キャスカはクールビューティーな感じですが、行成さんはとても明るい方でした。役へのスイッチの入れ方はさすがだなと感じました。

お二人とも「すごいな」と思いました。慣れていらっしゃるし、声の抑揚の演技を聞いていてすごく勉強になりましたね。

第1章は本当に無我夢中で、ついていくので必死でした

――今回上映されるのは「黄金時代篇」三部作の第1章ですが、特に印象深いシーンはありますか。

グリフィスと出会うシーンですね。どんどん絆が深まっていく、ひとつの出会いです。もともとガッツはひとりで生きてきた人間ですから、いきなり敵意むき出しなわけじゃないですか。そこから絆が深まっていくのを際立たせるために、最初に出会ったシーンはより敵意をむき出しに、自分の中で考えて演じました。

――アフレコで「失敗しちゃったな」というエピソードありますか。

第1章は本当に無我夢中でついていくので必死でした。第2章で慣れてきて、僕の中で余裕が出てきました。

ガッツ役 岩永洋昭さん インタビュー 02

息があがるシーンでは、酸欠状態になって苦しくなりました。その中で、セリフを言うところがあり、でも何度か言えなくて「もう帰りたい」と思いました。何回目かでOKになったとき、「あーよかった」と思いました。最初は、映像がほとんどできていない状態だったんですが、あとで映像と合わせると微妙に違うから、もう1回録り直しになり、そのシーンがトラウマになりました。

――「ここは決まった」というエピソードはありますか。

ある戦いのシーンで、最初は平常心というか、普通に戦っていたんですけど、どんどん疲れてきて獣みたいになって斬るシーンでは体力的に立っていられないぐらいきつかったですね。

ブースから見ていた監督もそれをわかったみたいで、僕の体力的なことを考えてくれたんですが、こんな大きい作品の大役をいただいているのに、そこを中途半端にしたくないなと思い「もう1回行かせてください」とお願いしました。そこは体力的に、身を削りながらやった一番の思い出です。

――第2章で注目してほしいことはありますか。

第1章はわりと自己紹介的な章だと思います。これからどうなるんだというところで終っています。第1章では、剣だけを信じてひとりで生きてきた人間が、グリフィスと出会って、初めて仲間ができ、ひとりではないという気持ちを覚えたと思うんです。それが第2章では違ったという思いに変わり、心の葛藤が描かれていきます。迫力のある戦闘シーンも見どころなんですけど、その裏に人間関係も複雑で面白い部分であると思います。「迫力のある戦闘シーンと人間関係」が見どころですね。

原作を知らない人も、ひとりでも多くの方に見ていただきたいです

――「ベルセルク」の中でお好きなキャラクターありますか。

やっぱりガッツじゃないですかね(笑)。それ以外では、ゾッドですね。

――どういうところがお好きなんですか。

強いところです。フィギュアが出ていますよね。どこかで見たことがあって、ちょっと欲しいなと思いました。獣というより神の化身というような感じだなぁと。

――アニメ映画ということで、お好きな漫画やアニメはありますか。

「リアル」という、「スラムダンク」を書いた井上雄彦さんの車イスバスケの漫画です。それくらいですかね。

――これから映画を見てくださる方にひと言お願いします。

「ベルセルク」という大作で、コミックでも人気ある作品ですが、原作を知らない人も、ひとりでも多くの方に見ていただきたいです。

STUDIO4℃さんという世界に名だたるスタジオが手掛けている作品なので、それだけでも一見の価値があると思います。CGや戦闘シーンは映画のようなカメラワークで迫力あります。人間関係、その裏に隠されたアニメ自体のよさ、そういうのも映像に勝るとも劣らないので、ぜひ楽しんでいただきたいなと思います。

――ありがとうございました。

ガッツ役 岩永洋昭さん インタビュー 03