「今期にみる現在のアニメの傾向」  学習院大学アニメーション研究会

2008年02月05日 13:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

「今期にみる現在のアニメの傾向」  学習院大学アニメーション研究会「学習院大学アニメーション研究会」連載コラム第3回



「新歓始動!」
そろそろ試験週間から開放され、来年度新歓準備に向けて気持ちを切り替える時期になりました。とりあえず、まだ見ぬ新入生の皆さんには無事受験を乗り越えてくださることをお祈りします。
さて、そんな中私たちも新歓アニメの制作に取り組んでいます。アニメって実際作ってみると大変なんですね。アニメ研に入るまでは批評するだけの立場だったけど、実際作ってみるとなんかもう至る所「作画崩壊」で…。それでも、見てくれた人に感想が聞けるってのは楽しいです。
全力で新入生を向かい入れる為、日夜アニメ制作に没頭する今日この頃。それでは本文始まりますよ!


「今期にみる現在のアニメの傾向」

今回は年も明け今期のアニメも3回以上は放映されたので今年最初の今期アニメから現在のアニメの傾向をみてみたいと思う。

<暗い作品の増加>
今期のアニメをみていると暗い作品が多くなっているように見られる。たとえば「H2O」という作品ではメインヒロインは村八分にされた少女でありいじめを受けており全員と距離をおいている。また「ペルソナ~trinity soul~」においても主人公と兄とのすれ違いや怪奇的な死体、また夜の場面の多さからも暗さがでている。特に私が今期一番だとおもう「シゴフミ」は所謂「ヤンデレ」的な(本当は違うが)キャラクターがショッキングな展開で姿をみせ(下図参照)周囲を驚かせた。

20080205130000.jpgakiba20080205-gakusyuuin_1.jpg

暗い作品というのは今までにもあったがいままでは多少乱暴だが暗い過去をもっていてもそれに触れずに話を進めることができた。また大体解決の見通しがあり視聴者は安心してみていられた。5年前の作品「クロノクルセイド」などは主人公が暮らしていた孤児院の面々を石化されてしまったという過去があるが、現在はしっかり仕事をしており、生活しているので敵討ちをしなければ生きていけないという状態ではない。ほかにも「BLACK LAGOON」においては残虐なシーンはあるが、彼らは仕事として請け負っているのであり、割り切ることができる。主人公達には暗い過去があるようだが彼らはむしろそれを隠して生活している。 しかし、今回はそれを解決しなければまた前にすすむことが出来ない窮地にたたされているように思える。「H2O」は差別されているせいでまともな家に住めないでいる、「シゴフミ」もそのヤンデレキャラは貧乏であり下賎な仕事をしなければ生きてはいけず、そしてさらに彼女たちに魔の手が伸びてそれに逃れられなくなることを悟り異常な行動をした。

なぜこのような状況になったのだろうか。やはり、パターン化し始めて先行きが見えてしまうことに視聴者は飽きてきたのであろう。近年ロボットアニメが少なくなった原因の一つはどのような展開になっても必ず悪の存在は倒されるため自然と話の展開が読めてしまうためであると考える。コアなファンが増え、ストーリーを複雑化させないと彼らは喜ばなくなってしまったため、制作側は人と人との関係を複雑化させるために人の心の暗い部分を中心に光をあてるようになってしまったためではないかと思う。そして複雑化の最終形態として暴力という形で話を終わらせる去年注目された「ヤンデレ」というのが登場するようになったと考える。 また映像も夜の描写や、廃墟のなか等の暗いところで話が進んだりするせいか全体的に色調が暗いように思える。ほかにもアニメの公式サイトにおいて今期全体の23程度の作品数のうち半数近い11作品が紺や黒といった深い、暗い色をバックにして紹介されており、去年の同時期だと暗い色をバックにした公式サイトは25以上の作品数のうち1/3を越える程度の9作品ところからも暗い作品がおおくなっていることを感じさせられる。

アニメの多くは暗い展開が繰り広げられ、見ているこちらが身構えなければならなくなった。そのなかで心に安らかにみられるのは「ARIA The ORIGINATION」と「君が主で執事が俺で」であり私は自然にこれらを欠かさずみるようになった。複雑化してきたストーリーにおいてむしろ単純に平和で明るいストーリーが目立つようになった。将来的にこういった作品が跳躍することを望む。


執筆:学習院大学アニメーション研究会 会誌班 08



<<アキバ総研より>>
アキバ総研でコラム連載や記事掲載をご希望の方(団体・個人問わず)は、代表者連絡先を明記の上、こちらまでお問合せください。


【関連記事】
「会誌3号発売決定&最初から最後までクライマックスだぜ!」 学習院大学アニメーション研究会
「学習院大学アニメーション研究会について」 学習院大学アニメーション研究会

【関連リンク】
学習院大学アニメーション研究会
学習院大学

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。