「アキバで森林浴」 アキバ系准教授・川田健

2007年12月19日 01:000

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「アキバ系准教授・川田健」連載コラム第1回




 はじめまして、川田 健といいます。愛知文教大学国際文化学部准教授、専攻は中国思想、中国語ということになっていますが、小さい大学で何でも勝手にできるのをいいことに、日本文化の中国・台湾における受容と称して「魔法少女リリカルなのはA's」見せたりしております。ハンドルネームは「ちぇんちぇん」私の名前「健」の中国語読みです。 縁あって「アキバ総研」に連載させていただくことになりました。よろしくお願いします。

  今回は自己紹介がてら、私のアキバ散歩コースを紹介したいと思います。

 本務校は愛知文教大学ですが、毎週非常勤講師として東京の大学に出講しています。そうしたことから週末はアキバを散歩して帰るのが楽しみになっています。この前などアニメイトのエコちゃんバッグは持ってきたのに、大学で使うテキストは家に(ry
あまり言うとクビになってしまう。そうするとアキバにいけなくなるのでこのくらいにしましょう。

akiba20071218-7573.jpg アキバタウンへのアプローチは主に2つ。一つはJRを使う方法、もう一つは大学の最寄りのバス停から上野広小路に出て、末広町から南下する方法です。南下コースの最初に立ち寄るのは「MAD」という店。奇妙なおもちゃから怪しい防犯グッズまで揃える不思議な所です。特にレコーダーから流れる販促のDJはかなりおもしろい。随所に政治ネタや社会ネタを織り込みながら商品を紹介していくのです。でも放送はできませんね。流したらディレクターのクビが飛んでしまいます。

 その後「文化事象の研究のために」付近の同人誌ショップをのぞきながら一度中央通りを離れて一本お茶の水寄りの路地に入ります。ここにはジャンク品を路上に並べているお店がいくつもあります。ジャンク品とは平たく言うと「動作の保証は一切ないからそれを承知で買ってくれ。」というもの、あるいは明確に「動かないけど使える部品はあるかもしれないからバラして使ってくれ」という性質のものです。私のような素人にはとても手が出せないものですが、そうした「何に使えるのかわからないもの」を眺めるのはアキバ巡りの大きな楽しみです。この、中央通りの1~2本お茶の水側の路地には、自作パソコン専門店やらパーツ店、中古パソコン店などが軒を連ねています。時にこっそり違法ソフトを並べる露店なども出没します。このエリアには小さい支店がいくつもある「あきばお~」をはじめ、「三月兎」「あきばんぐ」といった電脳雑貨屋が集まります。これらの雑貨屋には、フラッシュメモリやDVDメディアなどといった普通の電脳雑貨の他に、一体誰が何に使うんだろうというような不思議なものを見かけます。たとえばUSBに挿して使うミニ扇風機とか「本日の魔法少女は売り切れました」というドアプレートなどなど・・・。

akiba20071218-7588.jpg  神田明神通りを渡った先も、基本的には同じような小さな店が並んでいます。ここで必ず行くのが「秋月電子」。古い雑居ビルの一階にある小さな店ですが、電気マニアなら知らない人がいない有名店で、この路地を「秋月通り」と呼ぶ人もいるそうです。(『アキバをプロデュース』妹尾堅一郎 アスキー出版を参照)私はエレクトロニクス関連は全くわからないのですが、小さなスイッチとかランプ、配線などがずらりと並べられているのをみるだけで、なぜかわくわくするのです。


akiba20071218-7589.jpg  この秋月通りの終点に「三月兎」の二号店があります。しかし屋号を示す看板は全く出ておりません。まるでJリーグのユニフォームです。ここではちょっと変わった書籍がおいてあります。特に私のお目当ては「frontier」という台湾の月刊アニメ雑誌。紹介されているのはほとんど日本のアニメですが、非常にクオリティの高い雑誌なのですが、いかんせん中国語なので売れないらしく、「とらのあな」は扱いをやめたそうです。おそらくこれが入手できるのはここだけだと思います。店員さんにはことある毎に「扱いやめないでね」と懇願しております。

 石丸電気を覗いて再び中央通りを北上、ソフマップなどに寄りながら「アニメイト」、「とらのあな」を流します。アニメ関連グッズや書籍を購入しつつ、時間があれば「とらのあな」二階のカフェ「Cafe with Cat」に立ち寄ります。いわゆるメイドカフェのようなメイドさんと遊ぼうというようなものはなく、単にねこさんの格好をしたウエイトレスさんが給仕をしてくれ、オムライスにメッセージを書いてくれる程度なのですが、かえってその方が気楽なので愛用しております。

 その後で隣の「S@Y(セイアット)秋葉原」というゲームセンターに寄ります。一階のクレーンゲームで人形をとることもありますが、メインは「麻雀格闘倶楽部」です。たいした戦績ではないですが、店内ランキングベスト10を保つようには心がけています。  あとは時間に応じてヨドバシカメラを見たり、ラジオセンターで(私には)訳のわからないパーツを眺めたり、「ゲーマーズ」に寄ったりして、電気街口から帰ります。よほどのことがない限り、昭和通りにあるヨドバシカメラが最後になっても、電気街口まで戻ります。アキバに来たからにはここを無視するのはさびしいと考えるからです。



20071219010000.jpg  アキバに行っても別に毎度毎度買い物するわけではありません。いわば森林浴に行くような気分で立ち寄ります(なんという澱んだ森林浴・・・)。町の至る所にキャラクターの看板がどーんとあり、奇妙な雑貨屋やパーツ屋が軒を連ねる。メイドさんがビラを配り、ゴスロリやらコスプレやらの人まで歩いている。私の大好きなアキバ、その最大の魅力はここが夢とうつつの境界線にあるからだと思っております。役に立つかどうかわからないパーツ、売れる見込みのないような機械・・リアルな空間にファンタジーが流れ込んでいるこの街は、20世紀の価値観である市場主義的合理精神を超えた、あらたな価値を創設してくれる可能性を秘めている。私はそんなことを考えながらこの街を歩いています。



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