中毒性バツグンの「いっき団結」レビュー。伝説の“クソゲー”が16人マルチプレイを引っさげて大復活!

2023年02月25日 12:000

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突然だが、思い出に残っているレトロゲームはあるだろうか。子どもの頃に遊んだゲームほど記憶に強く残るものではないかと筆者は思っているが、数十年前に発売されたゲームがリメイクやリマスターを施され、時代を超えて現代によみがえるというのも、うれしいことに最近では珍しくない。というわけで今回は、とある伝説を築いたレトロゲームの復活作としてこのたびリリースされた「いっき団結」のレビューをお届けしよう。

ファミコンで伝説を築いた“クソゲー”の元祖「いっき」が現代によみがえる……!


 

「いっき団結」は、サンソフトからリリースされた“団結ローグライクアクション”だ。レトロゲーム好きのプレイヤーなら「サンソフト」という社名を聞いただけでも懐かしさとワクワク感を覚えることだろう。「アトランチスの謎」や「スーパーアラビアン」、「ルート16ターボ」や「へべれけ」など、数々の名作を生み出した“レトロゲームの風雲児”である老舗ゲームブランド「サンソフト」が、令和に復活し、満を持してリリースした1作目が何を隠そう、この「いっき団結」なのである。

 

「いっき団結」の紹介に入る前に、そもそも「いっき」とはどんなゲームなのか? といった紹介からまずは始めよう。

「いっき」とは、1985年にサンソフトがファミリーコンピューター向けに発売したアクションゲームである。このファミコン版は、1985年7月に稼働したアーケード版の移植タイトルなのだが、知名度としてはファミコン版のほうが高いと思われる。ちなみにアーケード版は「アーケードアーカイブス いっき」として発売されており、現在PS4やSwitchでプレイすることが可能だ。

重い年貢の取り立てに耐え切れなくなった農民の「権べ(ごんべ)」と「田吾(たご)」を操作して悪代官に立ち向かうという「いっき」は、そのタイトルのとおり農民一揆をテーマにした驚くべきゲームであり、その唯一無二すぎるテーマと、作品を彩るコミカルな要素の数々で、今もなお燦然とゲーム史に輝くタイトルとなっている。当時としては珍しい2人同時プレイが楽しめたという点も、本作の名を広く知らしめた要素のひとつだと言えるだろう。

 

 

そんな「いっき」だが、何よりも有名なのは“クソゲーの元祖”である、という点だろう。いまでこそ広くゲーマーの間で使われるクソゲーという言葉だが、何を隠そう、その語源となったのがこの「いっき」である、と言われているのだ。なんでも「一揆はひとりやふたりで起こすものではない」と、本作の設定の根幹をイジられて「クソゲー」と称されたとのこと。

昨今では、単純につまらないゲームのことをクソゲーと呼ぶ場合もあるが、「いっき」に関しては、その特異な世界観やおバカな要素の数々に対して、愛情を込めてクソゲーという言葉が使われたのだ。事実、ゲームの内容としては、難易度こそ非常に高いものの、やられても「もう1回!」となってしまう不思議な面白さがあり、遊べば遊ぶほど己の上達を体感できる、いわゆる「死にゲー」に近いプレイ感覚の作品であった。とにもかくにも、日本で……いや、世界で初めてクソゲーとして認定された(?)「いっき」は、まごうことなく“伝説のゲーム”なのである。

 

 

そんな伝説のゲームである「いっき」が、大幅な進化を遂げて復活したのが、本作「いっき団結」なのだ。味のあるドットグラフィックやトップビュー視点で繰り広げられるステージ、妙に耳に残る軽快なBGM、そして青い背景に山々が描かれたのどかなトップメニュー画面などなど、すべて現代的で美しいクオリティになっているものの、初代「いっき」の特徴的な要素が至るところでバッチリ踏襲されており、あの頃の「いっき」を知るゲーマーなら、プレイして思わず感涙してしまう(?)かもしれない。そう、本作は、リメイクでもリマスターでもない、まごうことなきあの「いっき」の完全新作なのである。

 

 

敵の大群を倒し、お金を集めて、キャラを強化! 悪代官の討伐を目指せ! 



それではここからは、本作のゲーム内容について紹介していこう。

 

本作の大まかな目的は、各エリアに存在するボスを倒し、最後のボスである「悪代官」を倒すというものだ。操作方法はいたって簡単で、なんと移動のみというシンプルさ。武器を用いた攻撃や、特殊な効果を持つ「メインアイテム」の能力発動などはすべてオートで行われるため、プレイヤーは位置取りだけに意識を集中することができる。ファミコン版の「いっき」ですら、攻撃のためにはボタンを押す必要があったため、本作は元祖いっきよりもよりお手軽に遊べると言えるだろう。

 

 

基本操作は移動のみで攻撃はオートと聞くと、アクションゲームとしては簡単そうに思われるが、当然ながら“一揆”はそんなに甘いものではない。公式にて「弾幕サバイバルマルチ」と銘打たれている本作は、その名のとおり、敵が弾幕のように大量に襲ってくるのが大きな特徴となっているのだ。なお、オート攻撃にはクールダウンが設定されており、途切れなく繰り出し続けることができないため、位置取りを誤るとあっという間に敵に囲まれてダウンしてしまう。

 

 

ゲームには制限時間があり、ボスを倒すことで制限時間が延長される仕組みとなっているが、しかし、ボスは強力で、簡単に太刀打ちできる相手ではない。そこで重要となってくるのが強化要素だ。敵が落とす銭(お金)を一定まで集め、マップ内に存在する万屋(よろずや)を発見して触れることで、ショップが展開される。そこで表示された3つのアイテムの中からひとつを選べば、それを獲得することができる。

「鍛冶屋」なら武器を強化したり新しいサブ武器を取得でき、「茶屋」なら体力を回復したりキャラクターのステータスを上昇でき、「万屋」ならサブアイテムの取得や強化のほかに後述する「団結スキル」使用に必要な団結アイテムを獲得できる……といったように、店の種類によって強化できる内容が異なる。自分の現在の状況や役回りを意識しつつ、最適と思われるものを取得していこう。

 

 

鍛冶屋で取得できる「サブ武器」は、プレイヤーが初めから装備しているメイン武器に加えてさらに攻撃を行うことができるアイテムだ。
大量の敵に立ち向かうために攻撃の手数は非常に重要であるため、サブ武器の存在はゲームの勝敗を大きく分けると言える。しかし、注意しなければならないのは、サブ武器の使用には4種類存在する「材料」を消費するという点だ。さらに、材料はゲームに参加しているすべてのプレイヤーで共有しているという点も要注意。マップ内に点在するつづらから材料を回収することができるので、お金集め同様、材料集めもきっちりとこなしていかなければならない。

 

 

プレイヤーキャラクターには「団結スキル」という固有の能力があらかじめ備わっている。フルオートで発動する武器やメインアイテムの能力とは異なり、団結スキルの発動手順はやや複雑だ。まず万屋から団結アイテムを取得し、次につづらからドロップする「プロテインA」を獲得することで発動となる。

団結スキルの効果には「少しの間、すべての敵を停止する」「味方全員の体力回復」「味方全員がマップに落ちている銭を回収する」「ダウンした味方を復活させる」など、どれも強力で、ピンチを覆す可能性を秘めている。発動タイミングの調節は難しいが、ボス戦の最中など、ここぞというタイミングで使って、戦局をよい流れに変えていこう。

 

個性が異なる16人のキャラクター! 4種類のタイプを徹底解説!



本作はシングルプレイも楽しめるが、最大のポイントは「16人でのマルチプレイ」である。自分を含めた16人のプレイヤーで一致団結、もとい“いっき団結”して悪代官の成敗を目指すというのが本作のオーソドックスなプレイスタイルとなるわけだが、そこで重要となるのがキャラクターのタイプだ。

本作には能力が異なる16種類のキャラクターが存在しているが、注意しておかなければならないのは、マルチプレイの際にはキャラクターを自由に決めることができず、ランダムで決定されるという点だ(シングルプレイ時は好きなキャラクターを自由に選択できる)。一度だけ再抽選を行えるものの、ランダムで決定する以上は、16人のキャラクターそれぞれの強みと立ち回り方をしっかり把握しておくことが攻略の鍵となるだろう。

 

 

16人のキャラクターは「探索型」「攻撃型」「強化型」「回復型」という4種類のタイプに分かれており、それぞれ得意とする立ち回り方が異なる。ここからは各タイプの特徴とともに、注目キャラクターの紹介をしていこう。

 

まずは「探索型」だ。
このタイプは、アイテムや銭の回収をして仲間をサポートすることにたけている。大きく突出した部分がない代わりに弱点らしい弱点も持たない、いわゆる万能型とも呼べるだろう。「いっき」シリーズの主人公である百姓「権べ」もこの探索型に分類されており、メイン武器には敵に当たると跳ね返る「こん棒」を、メインアイテムには敵の攻撃を受けると発動して一定時間無敵状態になる「身体守り」を所持しており、攻めも守りも抜かりがないキャラクターになっている。

団結スキルの「連判状」は少しの間、すべての敵の動きを止めることができるもので、仲間のピンチを救うこともできる、使いやすく優秀なスキルだ。ちなみに「連判状」とは、学生の頃に日本史の授業で習ったかもしれないが、室町時代から江戸時代にかけて、一揆に参加するという誓約のしるしとして人々が用いた書状である。そういった意味でも、まさに「いっき団結」らしさあふれるスキルと言えるだろう。

 

 

続いて「攻撃型」。
これはその名のとおり、攻撃に突出した能力を持つタイプだ。メイン武器が強力であるのもさることながら、メインアイテムに追加攻撃を備えたキャラクターもおり、敵の群れやボスの殲滅に大きく貢献できるため、攻撃型を担当することになった場合は、率先して特攻する立ち回りがよいだろう。注目キャラクターは、巨大ハンマーによる強烈な攻撃が特徴の「与作」だ。団結スキルの「しぇあ・おぶ・おにぎりズ」は味方全員を回復できるため、攻撃のみならずサポートもこなせる貴重なキャラクターとなっている。

 

 

続いて「強化型」。
これは、自分や仲間をパワーアップできる、いわゆるバフ担当のタイプだ。このタイプを担当する場合、個人行動はご法度で、サポーターとしてチームを支える縁の下の力持ち的立ち回りが強く求められる。そんな強化型のひとりである「吟遊詩人」は、三味線の弾き語りで発生する大量の音符で敵を攻撃しつつ、仲間をパワーアップさせる風変わりなキャラクター。団結スキルの「羽衣」は、一定ダメージを防ぐシールドを味方全員に付与するといううれしいサポート効果になっている。

 

 

最後は「回復型」。
これはその名のとおり、仲間を回復する効果にたけており、チームの生命線となるタイプだ。基本的には前線で戦う仲間のそばにくっついて回復を繰り返す立ち回りとなるが、チームの生命線であるがゆえに、自身の体力が尽きないように心がけるのも超重要となる。この回復型の最注目キャラクターは、初代「いっき」で名物おじゃまキャラとして数多のプレイヤーを絶望させたあの「腰元」だ。ゲームのパッケージでも圧倒的な存在感を見せていたあの腰元が、本作ではついにプレイヤーキャラクターとして一揆に本格参戦したのだからファンは感涙せざるを得ないだろう。投げキッスを武器に敵を攻撃しつつ、メインアイテムの「恋心」で味方のもとへ向かい、愛の力で(?)回復させよう。

 

 

4種類のタイプは、それぞれ得意な立ち回りが異なるが、「仲間とともに行動することが重要」という立ち回り方は、一貫して共通している。どのキャラクターも個人ではそれぞれの能力を十分に発揮することは難しく、皆で協力しあってこそ、その真価を発揮できるような作りとなっているのだ。

ココがスゴい! 「いっき団結」の筆者的推しポイント



さて、ここからは、本作における「筆者的推しポイント」を紹介していこう。

1,16人で共闘する団結感と達成感

本作の最大の醍醐味は、やはりなんといっても、タイトルにもなっている「団結」にあると筆者は考える。押し寄せる大量の敵の猛攻を皆で一緒に耐え切り、強力なボスキャラを皆で一緒に倒したときの達成感はすさまじく、まさに脳汁がドバドバ出るような快感を味わえる。ゲーム開始時は4人1チームだが、ボスを倒してステージが先に進むに連れてほかのチームと合流していく作りになっているため、ゲームが進めば進むほど「団結感」が濃くなっていくのも本作の面白い特徴だ。

 

 

また、倒れた仲間は生き残ったプレイヤーが復活させることもできる。体力がなくなりカゴ状態になった仲間に一定時間重なることで蘇生させられるのだが、カゴに重なっている間は武器が発射されないため、必然的にかなり危険な状況になる。そのため、復活担当のプレイヤーの周りでほかのプレイヤーが敵の撃破を受け持つなど、チームプレイが重要となり、皆で一丸となって仲間を助けるという「団結感」も楽しめるのだ。

なお、本作にはテキストチャットは実装されていないが、「ナイス!」(ゲームスタート時は「よろしく!」)と「集合!」という2種類の定型文チャットがある。コミュニケーションツールとしてはシンプルなものではあるが、これもまた、仲間との「団結感」をほどよく加速させる仕掛けのひとつと言えるだろう。

 

 

2,遊ぶたびに展開が異なるローグライク要素の中毒性


本記事の序盤でも紹介したが、本作は「団結ローグライクアクション」というジャンル名が掲げられている。この「ローグライク」という言葉、ゲーマーならよく耳にする言葉かもしれないが、ざっくり説明すると「プレイするたびにマップやダンジョンが新しく生成されるといった特徴を持つゲーム」のことを指す。本作「いっき団結」も、その特徴のとおり、マップの構造やショップの品ぞろえはランダムとなっており、さらには自分が16人のうちのどのキャラクターを担当するかさえもランダムで決まるため、毎ゲーム新鮮な気持ちでプレイできる作りとなっているのだ。

 

 

遊ぶたびに異なる展開が楽しめるローグライクゲームは、その特徴ゆえに、総じて非常に中毒性が高いのが特徴だ。本作「いっき団結」もその例に漏れることなく、中毒性がバツグンに高い。本記事でも紹介したとおり、本作は難易度が高めに設定されているが、その難易度設計もまた本作の中毒性に拍車をかけているように筆者は感じた。「もう1回!」が止まらないこの感覚は、ぜひ、実際にプレイして体験してみてほしい。

3,“伝説のクソゲー”の遺伝子を受け継ぐ、ゆる~いおバカ要素の数々

「一揆はひとりやふたりでするものではない」に代表されるユニークでおバカな要素の数々によって、伝説的クソゲーの名をほしいままにした「いっき」の正統進化作である本作は、もちろんおバカな要素もしっかりと(?)正統進化している。

たとえば、プレイヤーがゲームを開始して最初に戦う敵は「イナゴ」である。イナゴの大量発生によって飢饉となり、そこに重い年貢の取り立てがあったことで一揆を起こす……という物語の流れに沿ってはいるものの、「いざ、いっき開始!」と意気込んで最初に戦う相手がぴょんぴょん飛び跳ねるイナゴというのは、若干の脱力感があり、なんとも言えないバカゲーっぽさが漂うものだ。ちなみに、イナゴのあとに出現する敵は、カタツムリ、カラス、カエル、サルと続き、ボスはイノシシ、クマと続く。……はたしてこれは「一揆」なのか……?

 

 

おバカな要素的には、ショップに並ぶアイテムにも注目したい。体力の最大値をアップするアイテムが「ふんどし」だったり、サブ武器として「ブーメラン」や「守護霊」で攻撃したり、茶屋に「唐揚げ」や「ステーキ」が並んでいたりと、時代設定や世界観がなんともハチャメチャで、ツッコミどころが盛りだくさんとなっているのだ。一揆というシリアスなテーマを題材にしつつも、ゲーム全体に流れるこのクスッと笑えるゆるい脱力感は、まさに令和によみがえった「いっき」の名にふさわしい、堂々たる貫禄(?)と言えるだろう。

 

 

簡単操作でやみつきになる「いっき団結」は、アクションが苦手な人にもオススメ!



というわけで、「いっき団結」のレビューをお届けした。

 

仲間とともに大量の敵と強大なボスの猛攻を突破していく達成感と、繰り返し遊べるローグライク要素がガチッとかみ合い、思わずやみつきになってしまう「いっき団結」。基本的に移動だけという簡単な操作性と、カジュアルに作られたマルチプレイ要素も非常に遊びやすく、アクションゲームが得意でない人にもオススメできる。気になる方はぜひ実際にプレイして、皆で“団結”する楽しさを存分に味わっていただきたい。

 

  • ■タイトル情報
  • いっき団結」(SUNSOFT)
  • 発売日:2023年2月15日
  • 価格: 1,480円(税込)
  • https://www.sun-denshi.co.jp/soft/ikkiunite/
筆者:百壁ネロ
ゲーム買いすぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ゆびさき怪談 一四〇字の怖い話」(PHP研究所)、「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)など。
Twitter:https://www.twitter.com/KINGakiko
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