「ガシャポンの知名度は4%!?」あえて楽しくカジュアルに盛り上げる、バンダイ「ガシャポン45周年プロジェクト」の舞台裏を、ワッキー貝山がインタビュー!

2022年12月23日 20:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

バンダイのカプセルトイブランド「ガシャポン」45周年イヤーもクライマックス!

ということで、芸能界随一のカプセルトイコレクターのワッキー貝山が、バンダイのベンダー事業部に突撃! マーケティング担当の瀬谷朋子さんに、45周年プロジェクトがスタートした経緯から、さまざまな企画の裏側。今後のガシャポンに対する展望まで、カプセルトイファンならではの目線でグイグイ切り込んだ!

 

ガシャポン45周年プロジェクトで見えた知名度

──45周年プロジェクトは、いつ頃から始まったんですか?

 

瀬谷 プロジェクトが最初にローンチされたのは2022年2月で、そのタイミングでロゴのリニューアルと、「フラットガシャポン」という、最大A4サイズ、厚さ1センチまでの商品が出るガシャポンをリリースしました。

 

──ロゴのリニューアルは以前から考えていたんですか?

 

瀬谷 けっこう話には出てくることがあったんですが、周年の記念が切り替えにちょうどよいのでは…?ということで、このタイミングになりました。

 

ガシャポン新ロゴ

──いろんなロゴ案が出てきたんですか?

 

瀬谷 実際に案を出す前にどんなデザインにするか議論する場があって、そこである程度方向性が見えたところで「こうしたいです」とデザインを3つくらいに絞って決めていきました。

 

──ガシャっと出てきて弾ける感じが出ていてすごくいいですよね。そもそもなのですが、今回のプロジェクトの目的は何なのでしょうか?

 

瀬谷 今までカプセルトイ事業を45年やってきて、周年をここまで盛大に盛り上げるような施策をやったことがなかったんです。単発企画はあったみたいですが、大きく年間を通じて何かやるということはなかったので、一度やろうということになりました。

そこでまず出てきた話が、弊社は「ガシャポン」というブランドでやっているカプセルトイですが、全国的にはガチャポンとかガチャガチャなどいろんな呼ばれ方をされています。

その中で、「ガシャポンの知名度」というのは、どの程度あるのか調べてみてもいいかもね、という話になりまして、全国調査と、その結果の新聞広告を打たせていただきました。

 

各都道府県の「ガシャポン」知名度

──斬新な企画だったと思います。意外と「ガシャポン」って知られてないんだなと……。

 

瀬谷 そうなんですよ。まさかの知名度が全国平均4%でした。

 

──正直、何%くらいだと思っていました?

 

瀬谷 言っても20%……30%くらいはあるんじゃなかろうか。でもさすがに60%はないかなと思ってたんですが……(笑)。社内でも「まさか4%(全国平均)…どうする? 出す?」みたいな話にはなったんですが、私たちがカジュアルにカプセルトイを出している事業体だから、カジュアルな感じで面白く「4%だったよ」って出してもネタになるし、気にも留めてもらえるんじゃないかなということで出すことにしました。

 

──それをきちんと出すっていうところがすごいですよね。逆に興味がない人も、「ガシャポンっていうんだ」ってこの企画で知ったと思うんですよ。だから、ある意味自虐的なこのPRは功を奏したのではないかなと。ハンドルを回すと「ガシャポン」という“答え”が出てくる自販機の設置も面白かったです。

 

瀬谷 自分たちのいいところって、体験と物がセットになっているところだと思うので、ただ見せるだけじゃなくて、やってもらうことで答えが出てくるという体験型の広告にしました。

 

京王井の頭線渋谷駅に設置された、回すと「答え」が出てくる限定ガシャポン販売機

──「ガシャポンオデッセイ」やタッチパネル式の自販機「ガシャポンコネクト」など、いろいろな自販機も発表されました。

 

瀬谷 これらはずっと企画は走らせてはいたのですが、45周年のタイミングで出そうということになりました。

 

──電子マネー決済のガシャポンも出ましたが、あれは究極的にはハンドルを回さなくてもいいんですよね。でも必ず回すのは……。

 

瀬谷 やっぱりハンドルを回すことが楽しいんですよね。そこも体験型のエンターテインメントを提供しているという思いから譲れないところです。

 

ガシャポンオデッセイ

──そのほか、88回連続ガシャポンや、わくわくさんによるカプセルを使った工作動画など、さまざまな企画が展開しましたが、やはり現代らしいなと感じたのがSDGs的な取り組みです。

 

瀬谷 そうですね。SDGsについては常に考えていて、カプセルレスの商品を出させていただいたりとか、バンダイナムコアミューズメントとの協業でカプセルをリサイクルしてまたカプセルを作ったりしています。あとは紙を主原料にした「マプカプセル」というものも開発しました。

 

──これ紙なんですか?

 

瀬谷 はい。紙が主原料です。普通のカプセルは不燃ごみなんですけど、これは燃えるゴミで出せます。(※編注:ごみは各自治体が定める分別ルールに従って捨ててください)

 

マプカプセルの原料となるチップと、マプカプセル

──45周年のタイミングでいろいろなカプセルを展開するのは、ユーザーに対するPRとしてもちょうどいい感じですよね。

 

瀬谷 そうですね。このプロジェクトの目的は、やはりブランド認知になります。カプセルトイを知ってても、それが「ガシャポン」と知らずに買われている方が多いと思うので、そういう方たちにガシャポンに目を向けていただければと考えています。

いろんな切り口でやることによって、普段はカプセルトイに接点のない方にも知ってもらえるかなと思っていて、先日もSDGs関連だと「食品ロス削減」を目指してイトーヨーカドーさんと一緒に「まちぼうけコーナー」というのを設置させていただきました。「見切り品」を「まちぼうけ」と呼びかえて、ガシャポン自販機も一緒に置かせていただいて、「まちぼうけ対策」とか。

 

まちぼうけコーナー

──「まちぼうけ」フィギュアを使った食品売り場が展開されたんですね。

 

瀬谷 そうなんです。「見切り品」を「まちぼうけ」って言ったほうが買いやすいよね、という話になりまして。「まちぼうけ」って言われると、買ってあげなきゃって思うというか。この施策について、今後何をするのかは具体的に何か決まっているわけではないのですが、また何か機会があればやっていきたいと思います。

そのほか、5月はこどもの日、おもちゃの日があるので、バンダイの商品には検査基準がこんなにありますよ。だから安全・安心ですよ、ということをTikTokやSNSなどを使って楽しく見てもらえるように工夫して情報発信を行いました。

 

まちぼうけコーナー
 

業界No.1ならではの強みを生かして

──プロジェクトはいつまで動く予定ですか? 反響についても教えていただけますか?

 

瀬谷 45周年プロジェクトとしては年内いっぱいで終わりということになります。お客さまからはけっこう反響がありまして、特に「キンケシフルアクションスペシャル01」や「ガシャポン名鑑 黄金戦士ゴールドライタン」などの商品、1/12サイズでガシャポン自販機を商品化した「1/12ガシャポンステーション」が話題になっています。みんな、本物の自販機の上にミニ自販機を乗せて撮ったりしてましたね。かわいいですよね。

あとはSDGsに関連したことをやってみたり、おもちゃの安全安心をうたってみたり、新しい自販機を出してみたり、小学館の学習雑誌「小学8年生」の付録を作ってみたりとありとあらゆることをやってみたので、今までガシャポンを知っていたけど特に気にはしていなかったという人たちが、ガシャポンを認知してくださるようになったと思います。

 

ガシャポン名鑑 黄金戦士ゴールドライタン

キンケシフルアクションスペシャル01

──変な言い方かもしれないのですが、やっぱりバンダイさんっておもちゃがメインにあって、それと比較すると、ガシャポンって少しジャンクな立ち位置というか……。その中で、今年は本気で面白いものを作ってくださったように感じました。

 

瀬谷 ベンダー事業部は、ほかのおもちゃの事業部とは異なる動きをする事業部なので、上とか下ではなく別部隊というつもりで動いています。今年は、別部署の人からも「今年のベンダー事業部は面白い動きをしているね」と言われたりもしています。短い期間でいろんなラインアップをたくさん揃えて、買いやすいものを出すというのがベンダー事業部のスタイルなので、その強みがハマった1年だったのかなと思います。

 

──なるほど。それにしても、今年は新商品が多かったですよね。

 

瀬谷 過去最多ですね。多い月で90点くらい新作が出ていました。ここ最近は1か月に70~100種類くらい出しています。

 

──コロナ禍や円安で出すのは大変じゃありませんか?

 

瀬谷 確かに生産面では苦労したんですけど、おもちゃ業界に限らず、どこも一緒かなと思います。

 

──少し大きなテーマかもしれませんが、今後、カプセルトイ業界はどうなっていくと思われますか?

 

瀬谷 今後も広がっていくとは思っています。カプセルという枠を超えて平らなものを出したり、液晶画面の自販機を出してみたり、カプセルを大きくしてみたり。あとはオンラインで購入できるようになったりと進化をたどっているので、これからもいろいろな変化と進化をしていくんだろうと思います。

 

フラットガシャポン

──そんな中で、バンダイのガシャポンにおける今後の課題は何でしょうか?

 

瀬谷 SDGsは気にしたいなと思っていて、エコカプセルが拡大するようになればと考えています。あとは、自分たちは業界No.1だという自負がありますので、どこよりも早く新しいことをやりたいなと思っていますね。

たとえば、出てくるものもカプセルでなく、箱であったり。形やサイズにこだわることなくやっていきたいなと思いますね。もちろん真面目なだけじゃなくて、ちょっとふざけたものとかも出しつつ。

 

自販機と商品を自社で開発しているので、両方を進化させられるのが弊社のいいところだと思います。最近、出せるカプセルのサイズを大きくしたので大きな商品も作れますし、巨大な液晶画面を持つガシャポンオデッセイやガシャポンコネクトも作りました。

今は300~400円の商品が多いのですが、「小銭で買える」というイメージより驚きのある商品が出てきたり、まさかダンゴムシがそのまま自販機から出てくるとは思わないでしょうし、まさか平らな物が出てくるとも思わないんじゃないかなと思います。

ですので、今後も新しいことのどんどん先手を打って、皆さんを驚かせていきたいと思います。

 

画像一覧

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。