アニソンのパラダイムシフトがついに発生!? 話題作だらけで大盛況の2022秋アニメのおススメアニソン10選!【いいから黙ってアニソン聴け! in 2022秋】

2022年11月13日 12:000

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全国1千万人のアニメソングファンの皆様こんにちは。ベーシスト、DJとして元気に活動中の出口博之がお送りする、今期アニメ主題歌から10曲選ぶコラムこと「いいから黙ってアニソン聴け!」の時間がやってまいりました。

当コラムは、私、出口がクールごとに放送される全アニメ作品のオープニング曲、エンディング曲を聴いて主観と偏った好みでもって10曲を選び、それをみんなで聴くコラムです。今期アニソンをディグる(深堀りする、の意)際のちょっとした副読本として読んでいただければ幸いです。

 

さっそく10曲選出、といきたいところですがその前に。2022年秋アニメについて。

今期はそのクールの看板タイトルになり得る強力な作品が同時に何本も放送され、異様な熱気に包まれたクールになりました。2022年を振り返ったとき「あの年の秋はすごかった」と語り継がれるレベルの惑星直列っぷり。

なかでも注目度が高かったのは「うる星やつら」「BLEACH 千年血戦篇」など、多くのファンを有するリブート作品群でしょう。まさかもう一度見られるとは思っていなかった作品の復活は、やはり胸が熱くなります。「機動戦士ガンダム 水星の魔女」も、ガンダムシリーズが新たな局面を迎える作品として放送前から注目が集まりました。

それらシリーズもの、リブートものを迎え撃つ形になるのが「チェンソーマン」「SPY×FAMILY(第2クール)」といった現行の作品群です。「チェンソーマン」は作画レベルがテレビアニメのそれをはるかに超えたものになっていて、クオリティの高さで見ればほかの作品を一気に引き離す独走状態。また、音楽面でも1話ごとにエンディング曲を担当するアーティストを変えるなど、これまでの慣例に縛られないやり方も大きな話題になり、注目度の高いリブート作品たちと渡り合っています。

そのほかにも安定した面白さで人気を集める作品が多く、2022年秋は例年に比べて非常に充実したクールになったと思います。

 

そんなわけで、そろそろいきましょう、2022年秋アニソンから10曲選出!

私が選んだ楽曲はこちらになります!

  

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました

OP「共感されなくてもいいじゃない/高橋李依」

うる星やつら

OP「アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti/MAISONdes」

永久少年 Eternal Boys

OP「Dreamy Life/Gentlemen」

おばけずかん!(第2シリーズ)

OP「おばけ ばけばけ ばけがっちゃ!/BMK」

機動戦士ガンダム 水星の魔女

OP「祝福/YOASOBI」

後宮の烏

OP「MYSTERIOUS/女王蜂」

チェンソーマン

OP「KICK BACK/米津玄師」

農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。

ED「ローリンソウル・ハッピーデイズ/ポップしなないで」

夫婦以上、恋人未満。

ED「Stuck on you/Nowlu」

不徳のギルド

OP「Never the Fever!!/佐咲紗花」

 

今期は話題作がおしなべてよかったから、その楽曲をバシバシ入れました。やっぱりこの曲入ってないのはさすがに逆張りすぎるだろう、ということで「うる星やつら」「水星の魔女」「チェンソーマン」の楽曲を選出しました。

普段このコラムでは、話題作や注目度の高い作品の楽曲よりも、あまり積極的に語られない知る人ぞ知るアニメやショートアニメの楽曲を多く選出していました。そういった作品はいい意味でアニソンらしくなく、既存のアニソンのカウンターにもなるように思ったので積極的に選んでいたのですが、今期の看板タイトルクラスの作品のアニソンはどれも従来のアニソンらしくないんです。

これまでアニソンらしい楽曲のカウンターになってきたような曲が、今期アニメの中心になったように思います。選出する基準は変わらないのに、看板タイトルクラスの作品の楽曲を多くを選んだのはそのため。

見方を変えれば、アニソンのパラダイムシフトがいよいよ本格的にはじまった、とするのは言い過ぎかもしれませんが、ここ数年のアニソンが移り変わるスピードに比べて今期は変化の流れが急激に感じられます。これまでの価値観が刷新される、新しい時代が始まっているとしてもおかしくはないと思うのですが、いかがでしょうか。

ここから楽曲別の解説に入ります!

 

・チェンソーマン

OP「KICK BACK/米津玄師」


「作詞作曲・米津玄師 編曲・常田大希」の並びからわかる通り、2022年現在の日本の音楽の最先端に位置する曲。つまりは最先端のアニソン、ということになりますが、キャッチーなメロディや親しみやすいアレンジといった広く受け入れられる従来のアニソンらしさ、みたいな要素はほとんど感じられません。

それなのに、アニメ作品の主題歌として完璧に機能しているのが面白さでもあると同時に、恐ろしさでもあります。

少し前であれば、いわゆる万人受けする間口の広いアニソンに対するカウンターに位置する楽曲だったはずなのに、今期ではそれが逆転している。メインに対するカウンターが、反転してメインになる。

この構図は、そのまま原作の「チェンソーマン」にも当てはまります。テーマや作風に至るまで、作品に漂う雰囲気すべてが青年誌で連載されていてもおかしくない内容なのですが、「週刊少年ジャンプ」で連載されている。つまり、従来のジャンプ漫画らしくないんです。

昭和世代の感覚や慣例に縛られず、これからの時代を作る新しい世代の代表格と言えるのが「チェンソーマン」であり、その精神性が米津玄師、常田大希の作家性と完全にシンクロした結果「KICK BACK」が生まれた、と考えると、この曲の持つ異物感の正体がわかるような気がします。

今、この時代に求められる音楽、求められる作品の筆頭だと思います。

  

・機動戦士ガンダム 水星の魔女

OP「祝福/YOASOBI」


名称以外の設定をリファインして2022年にチューニングを合わせ、ある意味で「ガンダム」という呪いからの脱却を図った「水星の魔女」。

女性主人公や暖かい家族像など、プロローグからこれまでのガンダムシリーズでは見られない展開が続出し、本編第1話から学園ものとして展開するなど、新鮮な驚きとともに新時代の幕開けを感じさせました。ですので、「ガンダム」シリーズに新風を送り込む主題歌に、新世代の旗手・YOASOBIの楽曲が起用されるのは必然でしょう。

この曲は特に歌詞が素晴らしくいい。作品の本質をていねいにすくい上げてYOASOBIのフィルターを通し、作品の世界観と楽曲をつなげる手腕は「小説を音楽にするユニット」として他の追随を許さない解像度の高さです。サビの「僕たちが作っていくストーリー」の一節には、スレッタ・マーキュリーの想いと、今の時代にあるべきガンダムを模索する「水星の魔女」と、今の時代の走り続けるYOASOBIと、今を生きる私たちがつながっているからこそ、異常なカタルシスが生まれるのです。新しい歴史がはじまる期待感や新時代への渇望感が「祝福」に込められているのも、詩的で素晴らしいです。

  

・うる星やつら

OP「アイウエ feat. 美波, SAKURAmoti/MAISONdes」


令和になって、40年も前の作品(と、それに付随する空気感)を完全再現の方向でリメイクするとは完全に予想外でした。リメイクやリブート作品が多く作られる中、ここまで徹底して原典に近づけるのは珍しいと思います。ここまで原典に寄せるのであれば、主題歌も「ラムのラブソング」に準拠した楽曲になるのでは、と思ったら実際はそんなことはなく、がなり系のボーカルを中心に隙間を埋め尽くすメロディ、手数の多いピアノなど、いい意味で乱雑な音像の楽曲で、完全に今の時代にピントを合わせているのが面白いです。

この乱雑で異様な疾走感は「うる星やつら」のにぎにぎしい雰囲気と重なります。スピード感あふれる楽曲に合わさるオープニングの映像も見どころ。スペースインベーダーから始まりコンシューマーゲームを経て、instagramや「踊ってみた」動画に着地する展開は、今作の原典「うる星やつら」開始時から2022年までの若者文化の総ざらい、アカデミックに言えば、文化史としての側面があります。これがあるから、当時の空気感まで再現するリメイクでありながら懐古主義にならず、2022年最新アニメ作品としての力強い説得力が生まれています。

感覚は令和なのにルックは徹底的に80年代。このギャップが作品独特の面白さになっているのは、リメイク作品の新たな可能性ではないでしょうか。

 

・不徳のギルド

OP「Never the Fever!!/佐咲紗花」


メロディに対し、極限まで歌詞を詰め込んだスキルフルなボーカルが印象的なAメロから全パートがバシッと決まるBメロを経て、最終的に歌謡曲に合流するジェットコースターばりのアレンジが最高すぎます。セクションごとで曲の方向性が異なるのに全体に統一感があるのは、チップチューン(ゲーム音楽のピコピコサウンド)が効果的に使われているから。どんなにジャンル感がバラバラでも曲の肝になる重要なフレーズをチップチューンが奏でていることで楽曲に一本筋が通って整合性が生まれています。

しかし、チップチューンはクセの強い独特な音色なので、扱いを間違えるとノイズになってしまう危険な音色でもあります。

その音色の特性を知り尽くしていなければ、ここまで効果的に扱うことができません。何度聞いてもこの曲はすごいぞ!と思ったら、それもそのはず、作編曲を担当しているのはヒゲドライバー。日本におけるチップチューンの発展に貢献しまくった大人物。職人です。

チップチューンを、音色のバリエーションではなくひとつの楽器として完璧にコントロールしているところが聴きどころです。目まぐるしく変化する楽曲を完璧に歌いこなす佐咲紗花のボーカルの表現力もすさまじさがあり、これも大きな聴きどころになっています。

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