【本日発売】スクエニの新作アクションRPG「ヴァルキリーエリュシオン」レビュー! 北欧神話をモチーフにした重厚な物語と、連打でも様になるお手軽アクションが楽しめる

2022年09月29日 12:000

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2022年9月29日に、スクウェア・エニックスから「ヴァルキリー」シリーズの最新作「ヴァルキリーエリュシオン」がPS5とPS4向けに発売(Steam版は11月12日)された。本作は、シリーズ初となるアクションRPGになっているほか、立体的でスピード感あふれるバトルを楽しめるのが特徴だ。

今回は本作のPS4版を遊ぶ機会を得たので、エンディングまでひと通り触れたうえでのレビューをお届けする。物語や世界観、アクションの感触など、いくつかの項目にわけて解説しよう。


なお、本稿で使用している画像は、PS4版からキャプチャーしたものになっている。なるべく控えてはいるが、レビューを行う都合上、一部ネタバレが入っている点も留意して読んでほしい。


世界救済のため、ヴァルキリーは主神の命で地上界へ



本作の舞台となるのは北欧神話をモチーフとした世界。終末の定め「ラグナロク」の影響で世界は破滅に瀕している。



先の「神界戦争」で深手を負った主神オーディンは、残された力を使って「救済の使徒」ヴァルキリーを創造する。世界の滅亡を食い止めるため、ヴァルキリーはオーディンの導きによって救済のための旅に出る。


旅の拠点となるヴァルハラ。白を基調とした外観が神々しく、まさに神殿といった風格がある。絨毯の敷かれた道を進んでいくと、最奥の玉座にオーディンがいる


生まれたばかりだからか、物語が始まって間もない頃のヴァルキリーはまだ感情の薄い人形のような存在。地上界で人間に話しかけられても、機械的な返事が目立つ。ストーリーでは、後述する「エインフェリア」たちとの出会いや交流などを通してヴァルキリーが徐々に人らしくなっていくのも特徴だ。神の命を受けて戦うだけでなく、本人の成長物語にもなっている。



ストーリーのボリュームはコンパクトで、筆者の場合はクリアまでの時間がだいたい14時間前後だった。サブクエストはほどほどに、メインクエストを重視して進めた結果なので、サブクエストの網羅やヴァルキリーの強化といった諸々をやり込むとなると、もっと楽しめそうだ。本作はマルチエンディングにもなっているので、各エンディングを回収するという目的もある。


また、本作はテキストも充実している。ヴァルキリーをはじめとする主要人物の経歴や、会話中に出てきた言葉の意味、戦った敵の特徴に至るまで、こと細かく説明されているため、ストーリーを進めるのと並行してこちらも参照すれば、理解をより深められるだろう。ヴァルキリーの護衛ともいえるエインフェリアたちには、それぞれ音声付きのショートストーリーまで用意されており、こうした情報も含めて楽しむのが前提になっているのかもしれない。


ストーリーはミッション形式で進行。ステージの構造はかなりシンプル



本作のゲーム進行はミッション形式となっており、出現したミッションをこなすことでストーリーが進んでいく。各ステージは基本的に一本道。ミニマップがないので現在地はわかりにくいが、特段入り組んでいるわけでもないので、エンディングに到達するまであまり迷うことはなかった。マーカーで示された目的地に向かいつつ、道中で発生する戦闘をこなしていくだけで、自然とゴールまでたどり着ける。


道中にはいくつか分かれ道があって、そこを進んでいくと行き止まりに宝箱や「欠魂花」といったアイテムがある。なかには浄化されていない魂があり、ヴァルキリーが触れるとイベントが発生。対象のサブクエストを受注できるようになる。サブクエストでは、ヴァルキリーの体力の最大値を伸ばす「アンブロシア」などの貴重なアイテムが手に入るので、なるべくこなしていきたい。



サブクエストを受注できる魂や、回復や強化系のアイテムが入った宝箱など、ちょっとした探索・収集要素はあるものの、ステージの流れがかなりシンプルなのは個人的に少し物足りなく感じた。目的地に向かう→道中で敵と戦闘→目的地に向かう……という一本調子なので、遊んでいると作業的な感じがでてしまう。



攻撃すると動くパネルを使ったパズルや、特定の順番で進まないと戻される分かれ道のような、本格的とはいわずともちょっと頭を使って進めるギミックがあれば、プレイイングにメリハリがあって個人的によかったのにとは思う。


ただ、これから説明するアクションと同様、本作はヘビーゲーマーというよりは、ゲームをあまり遊ばないような人でも楽しめるシンプルかつやさしい作りが重視されているようにも思える。手軽さという点で見るなら、ミッションのこうした構成はむしろ正解とも言えるだろう。初心者かゲーマーか。遊ぶ人がどちらのタイプかで、本作のステージに対する評価は分かれそうな印象だ。


連打でも様になる簡単な武器アクション



初代プレイステーションから続く「ヴァルキリー」シリーズだが、本作は初となるアクションRPGのシステムを採用している。3Dで表現された奥行きのあるフィールドで、さまざまな武器を使った高速のバトルが可能だ。



すべての武器を集めたかはわからないが、現状確認できる数は6種。初期で持っている剣「アルファズル」のほか、槍の「バーレイグ」、ロッドの「シーズグラニ」などがあり、どれも間合いや攻撃モーションが違う。とはいえ、□ボタンの弱攻撃と△の強攻撃は共通しており、弱攻撃を連打、任意のタイミングで強攻撃を織り交ぜるのがコンボの基本だ。どこでくり出すかにより強攻撃は動きが変わるため、空中に打ち上げる派生、広範囲をなぎ払う派生など、各武器の特性を把握するのが重要となる。



ダッシュ中に弱(強)攻撃、ジャンプ中に弱(強)攻撃といったバリエーションはあるが、地上で弱攻撃を連打、好きなタイミングで強攻撃に切り替えるという初歩的なコンボさえできていれば、本作のバトルはとくに問題ない。コマンドも共通なので、たとえば初期武器であるアルファズルのコンボを覚えてしまえば、残り5つの武器に同じ操作を応用できる。


敵や宝箱から手に入れた素材をもとに武器を強化できる。段階を経るごとに技が追加されていくほか、物理と魔法の攻撃力も上がる


敵の攻撃をタイミングよく防御する「ジャストガード」、弱攻撃ボタンを敵の攻撃に合わせて入力する「カウンター」など、やや高度なテクニックはある。ただ、HARD以上の難易度でもないかぎり、こちらはどちらかというと使えたほうがいい程度。エインフェリアや「ディバインアーツ」のほうがお手軽なので、まずはそちらに慣れるのがオススメだ。


物語を進めていくと、拠点であるヴァルハラに「ヴィーンゴールヴ」という訓練所が解放される。こちらでは過去に倒した敵と好きに戦えるので、ジャストガードなどの難しい技を極めたい人は、積極的に利用するといい。訓練所では、ヴァルキリーが受けるダメージの有無、敵AIや無敵判定のオンオフを自由に決められる。どの武器でどれほど攻撃すれば倒せるか試したり、敵ごとに与えてくるダメージ量の違いを確かめたりと、さまざまな検証に役立つ。


攻撃の幅を広げるエインフェリアとディバインアーツ



武器を使ったアクションはシンプルだが、そこにエインフェリアとディバインアーツが加わると、立ち回りの幅が一気に広がる。



エインフェリアとはヴァルキリーに仕える英霊であり、優れた魂を持つ人間が死後、神の力によって召し上げられる。本作では、大剣使いのイーゴン、弓兵のサイファ、槍を振るうクリストフェル、魔法を使うタイカの4人がヴァルキリーを助けてくれる。エインフェリアはそれぞれ○、△、□、×の各ボタンにセットされており、R1と任意のボタンを組み合わせることで、対応したエインフェリアが召喚される。


攻撃の間合いや方法はエインフェリアごとに異なるが、ヴァルキリーのコンボに追撃させたり、窮地に追いやられた際の防御役として使ったりと、役割はかなり多い。なお、彼らを召喚するには「ソウルゲージ」が必要となる。



もうひとつのディバインアーツは魔法のようなもの。こちらは「アーツゲージ」を消費して発動する。ショートカットとして、○、△、□、×にそれぞれひとつずつセット可能。R2と任意のボタンを組み合わせることで、対応したディバインアーツを使える。単体向けの技から、広範囲の敵を巻き込む大技まで、さまざまな種類がある。


ソウルゲージは、敵が落とす「ブルーソウル」を手に入れるか、専用のアイテムを使わなければ回復できない。そのため、一度の戦闘で好き放題使えるわけではないが、アーツゲージに関しては敵に攻撃を当てるごとに、あるいはコンボ数に応じて回復するので、ディバインアーツはどんどん使っていける。エインフェリアやディバインアーツがそろってくる中盤になると、戦闘にもだいぶ慣れてくる頃合いでもあって、武器、エインフェリア、ディバインアーツをガンガン回せるようになってくる。



エインフェリアとディバインアーツの操作方法は、武器のアクションと同じくわかりやすい。どちらも○、△、□、×にそれぞれひとつずつセットされ、R1かR2を組み合わせるだけで発動できる。コンボに組み込めるだけでなく、□や△を使う武器のアクションとはボタン操作の感覚も近いので慣れやすいのもポイント。



本作の敵には雷や火といった属性があり、弱点となる属性で一定数のダメージを与えると対象はダウン。しばらくの間は無防備になる。本作のバトルでは、この属性の相性をいかに利用できるかも重要なのだが、ここでもエインフェリアとディバインアーツが役に立つ。どちらにもキャラクターや技に応じた属性が設定されており、こちらに有利な状況を作るうえで欠かせない。


とくにエインフェリアを召喚している間は、最後に召喚したキャラクター、あるいは入力したコマンドに対応した人物の属性が、そのままヴァルキリーの武器に付与される。ボス戦などの長期戦では、弱点属性を付けるかどうかで戦い方の効率も大きく変わるため、敵との相性は必ず確認するクセを付けておくといいだろう。



「ヴァルキリー」シリーズらしい北欧神話の世界を舞台にした物語は、ヴァルキリーの成長やエインフェリアの過去、ゲーム中に用意されたテキストなど、さまざまな点から楽しむことができる。いっぽう、バトルアクションはハードルの低さが魅力的で、ボタンを連打しているだけでもそれなりに戦えるし、同じコマンドを別の技に応用できる。重厚な物語とお手軽なアクションを同時に楽しめる、ゲーム初心者にもオススメの一作だ。


(文・夏無内好)

  • 【タイトル情報】
  • ■「ヴァルキリーエリュシオン(VALKYRIE ELYSIUM)」
  • 対応機種:PlayStation 5/PlayStation 4/Steam
  • ジャンル:アクションRPG
  • 発売日:PS5/PS4 2022年9月29日、Steam 2022年11月12日
  • 価格:8,580円(税込)
  • CERO:C(15歳以上対象)
  • 開発:ソレイユ株式会社
  • 音楽:桜庭 統
  • キャラクターデザイン:永井 悠也(株式会社CyDesignation)


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