【ゲームレビュー】ファントムソサエティ再び! 25年ぶりに登場したシリーズ最新作「ソウルハッカーズ2」PS4版プレイレポート!

2022年09月13日 19:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

突然の「ソウルハッカーズ2」の発表に驚いたメガテンファン……いや、ゲームファンは多かったことだろう。当然、筆者もそのひとりだ。

ここに来て「ソウルハッカーズ」にナンバリングを付けた新作が登場するなど、誰が予想できただろうか。

そもそも、ファン側の認識では「真・女神転生 デビルサマナー」(1995年)、「デビルサマナー ソウルハッカーズ」(1997年)とリリースされた後、「デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 超力兵団」(2006年)、「デビルサマナー 葛葉ライドウ 対 アバドン王」(2008年)という2作の「デビルサマナー」シリーズの外伝的作品がリリースされ、以降は系統作のリリースは途絶えていた状況であった。ただ、新作が出るならば「デビルサマナー」を冠したタイトルであると思い込んでいたのである。というか、「ソウルハッカーズ」は、シリーズ2作目のサブタイトルという認識であり、まさかそれが正式タイトルとしてナンバリングされるとは予想外中の予想外の出来事だったのだ。

 

そんなまさかの復活を遂げたと言ってもいい「ソウルハッカーズ2」、発売直後の序盤プレイレポを織り交ぜつつレビューしたいと思う。

 

 

プレイヤーの数だけ存在する自分だけのメガテンヒストリー

 

「ソウルハッカーズ」1作目がリリースされたのは1997年。今から25年前のことだ。かろうじて3DS版でリメイク版が2012年にリリースされているものの、それでも10年前。年数だけを見れば当時のファンがついてきてくれるのか心配してしまうが、そこは多くの派生タイトルでファンをつかんでいるメガテンシリーズ。さまざまなタイトルをきっかけに入ってきた幅広いユーザー層が本作の登場を歓迎していることだろう。そんな幾多の入り口を持つシリーズだけに、ファンの数だけ「僕の、私の、メガテンヒストリー」があるのだと思う。

 

もちろん、筆者にも「自分だけのメガテンストーリー」が存在する。少しだけ自分語りすることを許してほしいのだが、初代「デジタル・デビル物語女神転生」(開発:アトラス 発売:ナムコ)がファミコンでリリースされたのが1987年。ゲームリリース前から話題作として注目され、当時中学生だった筆者も期待作として待ちわびていたものだ。

ゲームがリリースされるまでの間、友人と集まってOVA版を観たり、それだけでは飽き足らず西谷史氏の小説版も読み漁りながら期待に心をふくらませたものである。余談だが、勢い余って同氏のオリジナル小説「神々の血脈」にも手を出したが、内容が難解過ぎて1巻の途中で投げ出したことは個人的黒歴史だ。すっかり忘れていた中学生時代の苦い記憶思い出したぜ……。これをきっかけに再読に挑戦するか迷うな。

 

その後もシリーズ作品も追いつつ、「デビルサマナー」と「ソウルハッカーズ」がリリースされる頃にはすでに社会人になっていた筆者。当時は駆け出しのゲーム雑誌編集者として働いていた頃で、深夜に帰宅するとすぐさまセガサターンの電源を入れてプレイしていたものである。そんな25年前のことを回想することから「ソウルハッカーズ2」のプレイが始まった筆者であった。これを読んでいる皆さんはどうかな?

 

 

今回も登場する謎の組織ファントムソサエティ、またもや悪企みをしているに違いない!

 

さて、前置きが長くなったが「ソウルハッカーズ2」の紹介をしていきたいと思う。

本作は、前作とは直接ストーリーや世界観に関わりはないが、前作に登場したキャラや用語、そしてアイテムなども若干登場し、前作をプレイしたユーザーをニヤリとさせてくれる演出も存在する。個人的にはマダム銀子の再登場にほっこりしてしまった。

また、前作に登場した謎の組織「ファントムソサエティ」が今作でも重要な存在として登場する。さすが街ひとつ支配するだけの力を持つ組織だけあって(前作参照)、簡単になくなる組織ではないようだ。シリーズファンは長い付き合いになりそうだな。前作ではとっかかりとして街の住人の魂を集めつつ、最終的には世界の魂を集めて全ての元凶であったマニトゥへと奉納しようとしていたファントムソサエティ、今作ではどんな企みをしているのか。前作をプレイした人なら、この名前を聞いた時点で悪い予感というワクワク感が込み上げてきたことだろう。

 

ストーリーは、テクノロジーの進化によって生まれた電子生命体の“Aion”が感知した「世界の滅び」を防ぐため、Aionのエージェントで、今回のプロジェクトのためにAionから実体化したリンゴとフィグの2人と仲間になる3人のデビルサマナーと組んで、世界の滅びを阻止するというもの。マザーコンピューターが街や住人を管理するといったSF要素のある作品は数あれど、コンピューターが生み出した電子生命体が実体化して事件を解決するという、SF好きにはたまらない設定がプレイヤーを引き込んでいく。

そもそも、実体化したリンゴとフィグの2人は見た目こそ女性だが、性格な性別が存在してるのだろうか、と冒頭からそんな追及をしてしまう筆者だが、かわいければいいか、という結論に達したのであった。

 

 

さて、世界の滅びを阻止するべく、プレイヤーはリンゴとなってゲームを進めていく。相棒のフィグは主に司令官役になり、リンゴに情報を伝えたり、ミミというフクロウ型のドローンを使って直接リンゴの助言をする役目を担ってくれる。フィグは実際の調査や戦闘には参加しないのでパーティーメンバーと比べて影が薄くなりがちだが、メンバーが休息するセーフハウスに戻ればいつでも会えるので、フィグ推しのプレイヤーも安心だ。

 

そして今回の世界の滅びを防ぐために仲間になってくれるデビルサマナーの3人がアロウ、ミレディ、サイゾーの3人だ。ゲーム開始時はリンゴひとりなのだが、ストーリーの進行とともにひとりずつ仲間になっていき、最終的に4人パーティーとなってゲームが進んでいく。

その、パーティーへの加入場面がインパクト大かつショッキングなのだ。なぜかというと、リンゴとのファーストコンタクト時に、デビルサマナーたちは全員死んでいるからである。

 

 

ソウルハックで死んだデビルサマナーの魂と対峙

 

それではパーティーメンバーについて説明していこう。

1人目の仲間・アロウはファントムソサエティと対立関係にある組織ヤタガラスのメンバーだが、潜入捜査中にファントムソサエティの刺客に殺害されてしまう。

2人目のミレディはファントムソサエティのメンバーだが、同じ組織内の仲間であるR.S.に殺害されてしまう。

3人目のサイゾーはフリーのデビルサマナーだが、こちらもファントムソサエティの刺客によって殺害されてしまう。やはりというか、ファントムソサエティが何らかの暗躍をしているようであるが、この時点では真相は闇の中である。ヤタガラスというライバル組織と対立しているという構図が明らかになるが、おそらくファントムソサエティの悪巧みを阻止しようとしている側の組織なのでは、と予想できそうだ。

 

 

リンゴは特殊能力である「ソウルハック」を使い、殺害されたデビルサマナーの精神世界へと潜入して魂と対峙し、死への後悔をもっている彼らを蘇生していく。このソウルハックという特殊能力は、前作でも似た形で登場する。死者の精神世界に入り込み、生存時に起きた事象を追体験することで情報収集をするというもの。

この追体験モードは「ビジョンクエスト」と呼ばれ、今回もソウルハック時に映し出される追体験映像としてビジョンクエストが登場している。このあたりのシステムに触れると、より本作が「ソウルハッカーズ」の新作だな、と感じられて嬉しくなることだろう。

 

余談だが、この「ソウルハック」というシステム、当時プレイした時も感じていたことだが、1989年よりシリーズ展開されたPCゲーム「サイクックディテクティブシリーズ」に登場する、人の精神世界に入り込んで、情報を聞き出すという通称「サイコダイブ」という特殊能力がヒントになっているのではないかと勘ぐったりしている。開発スタッフに同シリーズのファンがいたのではないかと憶測していたので、機会があれば聞いてみたいものである。

  

やり込みは「ソウル・マトリクス」で!

 

基本的なゲーム進行は、舞台として登場する街などで情報を集めつつ、ダンジョン攻略、重要キャラとの戦闘などを重ねていくことで進行する。移動場面は全て3Dで表現されているが、ひとつひとつの街はそれほど広くないうえに目的もわかりやすく、ダンジョンは移動した個所が表示されていくオートマッピングが常に画面に表示できるシステムなのでとてもプレイしやすい。

また、シナリオも、次にプレイヤーがするべきことが画面左上に表示されており、久々のプレイ時に「何をすればいいのかわからなくなった」というRPGあるあるの救済仕様も取り入れられている。しばらく仕事でプレイ期間が空いてしまう社会人には嬉しい仕様だ。

 

 

さて、無事パーティーが4人になると同時に世界も広がっていくのだが、その広がった世界のひとつが「ソウル・マトリクス」というダンジョンだ。

このダンジョンは、序盤で登場する「湾岸倉庫」や、この後に攻略することになる「中央地区放棄路線」などの現実世界を舞台としたとダンジョンではなく、Aionの拠点であるアクシス内にある、リンゴの精神世界を具現化したダンジョンであり、パーティーメンバー3人に関連したダンジョンとなっている。

最初にアロウのエリアを攻略することはストーリー上必須となるが、以降解放されるミレディとサイゾーのエリア、そしてアロウエリアの最初のボス戦以降の深部に関しては、(一部を除き)自由なタイミングで攻略できる扱いである。主にパーティーメンバーの強化やアイテム集めなど、やりこみプレイ向けのダンジョンだ。筆者はまだクリア前なのだが、ソウル・マトリクスをがっつり探索するのを楽しみにしつつ、メインシナリオを進めている最中だ。

 

 

また、本作にはメインストーリーのほかにサブクエスト的な「リクエスト」も存在し、マダム銀子のいるClubクレティシャスのほか、ゲーム中のさまざまな場面で依頼を受ける機会がある。シナリオを進めつつ、こうしたリクエストもこなすことで「ソウルハッカーズ2」の世界をよりディープに感じることができることだろう。

 

 

ちなみに、本作に登場する街やダンジョンは現実世界にモデルが存在している。

新参道は「表参道」がモデルで、TOKYU PLAZAのエスカレーターを模したZafiroの入り口が印象的だ。華楽町は新宿の歌舞伎町がモデルで、本来ゴジラが顔をのぞかせている場所にはじゃあくフロストが顔をのぞかせている。萬世レルムは秋葉原の雰囲気を取り入れて作られているし、最初のダンジョン「湾岸倉庫」は有明ふ頭など、登場する背景のお店のパロディ名称も凝っていて、細かいところを見ながらプレイするのも楽しい。

 

 

メガテンシリーズ定番の悪魔合体のシステムも当然取り入れられており、今回は「シルク・ドゥ・業魔殿」にて悪魔合体が可能。合体前に手持ちの悪魔を元におススメ合体を表示してくれるという親切さ。仲魔にした悪魔はどんどん合体させて強い悪魔を作り出したいところだ。

本作では、悪魔はパーティーメンバーの武器「COMP」にセットことでともに戦ってくれる。ケースバイケースでセットする悪魔を変えていきながら攻略していくことになるのだが、プレイしながら試行錯誤して、キャラや対峙する敵ごとに最適な悪魔を見つけていきたい。

 

ストーリーは前半の山場、中央地区放棄路線で、アロウを殺害したカブラギと再会し、戦うことになる。世界の滅亡を防ぐという共通の目的に向かいつつ、デビルサマナーたちの過去を知り、運命を見届けていくことになるのだが、本作がどういった結末を迎えるのか、世界の滅亡は防げるのか──気になることが多すぎてプレイする手がなかなか止まらない筆者である。

  

復活、そして新たな看板タイトル誕生

 

さて、紹介してきた「ソウルハッカーズ2」。25年ぶりの新作ながら、今作から入っても当時プレイした人でも安心して楽しめることができる1作なのは間違いない。

冒頭でも触れたが、前作で「真・女神転生」の冠が外れ、今作では「デビルサマナー」の冠が外れている。となると、今作からは「ソウルハッカーズ」がメインタイトルとなって新たな看板シリーズとして展開されていくということなのだろう。新たなメガテンシリーズとして、楽しませてくれそうだ。名悪組織になりつつあるファントムソサエティさんも滅ぶことなく、次回作でも元気に悪巧みをしてきてほしいところだ。

 

最後にめでたく25年ぶりに復活した「ソウルハッカーズ」シリーズに向けて、筆者からこの言葉を贈って締めくくりたい。

 

「コンゴトモヨロシク……」

 

(文/風のイオナ)

 

【商品情報】

■ソウルハッカーズ2

※パッケージ画像はPS5版です



・発売中

・ジャンル:RPG

・プラットフォーム:PS5、PS4、Xbox Series X|S(DL版のみ)、Xbox One(DL版のみ)、Windows10/11、Steam

・通常版価格 パッケージ版:9,878円(税込)、ダウンロード版:9,878円

・限定版価格 パッケージ限定版:17,380円(税込)、ダウンロード豪華版:15,378円

・年齢区分:CERO C(15歳以上対象)

・メーカー:アトラス

画像一覧

関連ゲーム

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

関連リンク

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。