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「ミモザ」というタイトルがついた、意外な理由とは?
── お2人とも映画のシナリオは読まれていると思いますが、キャラクターの成長について、どのように感じましたか? 佐々木 大人になって社会に出たみんなの姿を描くオリジナルストーリーということで、「思いきったなあ」というのが第一印象でした。しかも社会人になってからそれなりの年数が経った設定なんですよね。楽曲打ち合わせのとき、京極(義昭)監督からその年齢感について、「子どものころから見ると、大人だなという年齢なんですけど、自分の体験として、意外と中身は子どものころのまま変わってなかったなあという思いがあった」とおっしゃっていたのが印象に残っていて。でも、帰省して久しぶりに同級生たちにあったりすると、少しは自分たちも成長したのかなと感じられるのかなと。そこに共感して「ミモザ」の歌詞を書いていきました。
亜咲花 私は、TVアニメの第1作目が放送されたとき高校3年生で、同年代として彼女たちの気持ちを歌っていたんです。でも、『へやキャン△』や『ゆるキャン△ SEASON2』になると、私だけ大人になっていて。みんなより少し大人になった立場からメッセージを送るというように、歌への気持ちが変わっていったんです。そして、今度の映画では、なでしこたちが私の年齢に追いつき、少しだけ追い越していて。だから1作目のころに戻って、同世代を意識して歌おうと、脚本を読んで思いました。
── 亜咲花さんは、なでしこたちと年齢感が離れたり、また近くなったりと、長いシリーズの中で面白い体験をされてますよね。 亜咲花 不思議な感じですね。ここまで長い期間、同じ作品に関わらせていただいているのは『ゆるキャン△』だけなので、一緒に成長してきたという実感があります。「SHINY DAYS」も当時歌っていたのと大人になってから歌うのとでは、全然気持ちも違うんです。
── 気持ちが違うというのは、どういうことでしょう? 亜咲花 「SHINY DAYS」をレコーディングしたのは、アニソン歌手でやっていこうか、大学に進学して勉強と両立させようか迷っていた時期で、そんな中、「SHINY DAYS」の歌詞に背中を押されて、アニソン歌手という未知の世界に踏み出すことができたんです。今もまだ道の途中ですけれども、あのときの選択は間違えていなかったという思いがあって、迷っている最中と、意思が固まった後に歌うのとでは、やっぱり気持ちが全然違うんですね。そういう意味でも、「SHINY DAYS」の表現は年を重ねるごとに成長しているなと思っています。
── では、余計に「Sun Is Coming Up」は成長を感じる歌になっているということですね。 亜咲花 はい。大人になったみんなを、さらに大人の視点から俯瞰して描いている歌詞だったので、それを読んだら、同じ年代の目線で歌わないほうがいいなと思いました。歌詞のお気に入りポイントは、歌うたびに変わっていくんですけど、今は「重ねた昨日がGuiding light 明日を導く」というところが好きで、昨日があるから今日があり、明日があるということを、すごくおしゃれに表現していると思うんです。ある程度の経験を積んで、物事を理解した人ではないと出てこない言葉だと思って、私も大人っぽさを意識して歌いました。
佐々木 すごいね。私はそういうふうに、なでしこたち登場人物との距離を感じたことがないから、今の話は面白かったよ。いつもそうなんですけど、歌うときは何かを訴えたり伝えようとするのではなく、淡々と物語を読んでいくような感覚なんです。
── 「ミモザ」の歌詞は、どのようなお気持ちで書いていったのでしょうか? 佐々木 久しぶりに帰省して、あのころの仲間に会うという映画のストーリーを意識して書いていきました。歌詞のテーマは「ノスタルジー」で、「ふゆびより」にあった「あたたかい火を 囲んで座ろう たわいもないこと 話しながら」という歌詞を、少し言葉を換えて入れてみたりしています。
── 「ふゆびより」とのつながりが感じられることで、なつかしさ、ノスタルジー感は増しますよね。 佐々木 歌詞の内容的には、それぞれの日々を重ねてきて、お互いに少しは変わったのかな、大人になれているのかなという気持ちを描いています。特に2番のAメロ、Bメロはそうですね。
── 今おっしゃった言葉が、そのまま歌詞になっているのが2番の冒頭ですね。「ミモザ」という言葉は歌詞の中には出てきませんが、なぜ、このタイトルにしたのでしょうか? 佐々木 それにはMV撮影が関係しているんです。「ミモザ」のジャケットとMVは、楽曲の共同制作者の中村ヒロさんとディレクターの村上純さんと私の3人だけで撮った手作り感あふれる映像で、全部、地元の福岡で撮影していて。私の大好きな「ANTS Garden(アンツガーデン)」というお花屋さんで、ロケをさせていただいたんです。撮影日にお店におうかがいしたら、「応援しています」とミモザの花束をくださって。3月だったので、ミモザが一番きれいに咲いている時期だったんですね。そのときはまだ曲のタイトルが決まってなくて、家に帰った後にミモザの花言葉を調べたら、「感謝、友情」という映画 『ゆるキャン△』にぴったりの言葉で。
── すごいお話ですね。ということは、その花屋さんでMV撮影をしていなかったら、「ミモザ」というタイトルにはなっていなかったと。 佐々木 間違いなく別のタイトルがついていたと思います。だから、本当に奇跡で。感謝の気持ちをこめて、その後もお店で爆買いをさせていただきました(笑)。
亜咲花 楽曲にぴったりのタイトルなので、びっくりしました。曲のタイトルって一番最後に決めがちなんですけど、一期一会の出会いによって生まれたタイトルというのは、ステキだなと思いました。