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キャラクター原案にhuke氏、プロダクションデザインに友野るい氏が参加
「RWBY 氷雪帝国」では、キャラクター原案をhuke氏が担当。プロダクションデザイン、異空間設計としてゲームのコンセプトアートなどで知られる友野るい氏が参加しており、ファンタジックな世界観を見事に視覚化している。 虚淵 脚本を僕たちだけで進めたことはなくて、ホン読み(メインスタッフによる脚本の打ち合わせ)で決めていきました。大きな方向転換などなく、かなりスムーズに進んだと思います。途中でイメージボードをもらっていたので、それを脚本に生かすことができました。
冲方 「こんなシチュエーションを思いついちゃいました」という感じで、いろいろな絵が上がってくるんですよね。キャラクターたちが手袋をしていたり、大きなマントを羽織っていたり、そのほかにも細かいアイデアもいっぱい出てきました。
虚淵 そうしたデザインについては、本編内でも触れられていましたよね?
冲方 ちゃんと説明しないと、デザインの意図がわからない気がして(笑)。そういう意味では、イメージボードが脚本と相乗効果を生んでくれました。
虚淵 キャラクターたちの衣装をガラッと変えるのは、たしかhukeさんのアイデアでしたね。寒冷地仕様みたいな衣装にしたら、またいつもと違う雰囲気になるだろうと思いました。
冲方 だけど、実際に絵が上がってくると、これは大変な舞台設定を考えてしまったものだな……と思い知らされますね。絵にするのがとても大変そうな不思議な世界観なので、大丈夫かなあって。
虚淵 僕たちは「キャラクターの主観によって変化する夢の世界」という、観念的な提案しかできませんでしたからね。その点、友野るいさんの描いてくれたたくさんのイメージボードには、とても助けられました。
冲方 キャラクターの感情と記憶が投影される世界設定なんですよね。だけど、すでに登場している主要キャラクターの内面と本心をこちらで考えてしまっているので、原作アニメと齟齬が生じないように気を使いました。意外なことに、ルースター・ティース側からはあまり突っ込まれませんでしたよね。
虚淵 原作は原作で、かなり先へストーリーが進んでいましたからね。ルースター・ティースさんも、僕たちがここまで時間をかけてつくるとは思っていなかったのかもしれません。
冲方 僕たちとしては、原作アニメに登場していない新しいものをなるべく入れないように、既存の要素を組み合わせて新しいストーリーを構築していったわけですね。
虚淵 むしろ、何を省くかが重要でしたよね。主要キャラクターだけで、かなり大勢いるので……。当初は原作アニメに出てこない新しいチームを考えて登場させようという案もありましたし、ジョーンたちチームJNPR(ジュニパー)を出さないようにしようか悩んだ時期もあります。ジョーンたちを出すなら出すで、チームRWBYとどうからませればいいのか、かなり考えましたね。
冲方 何しろ、ジョーンがいじめっ子に絡まれる原作アニメのエピソードを丸ごとカットしましたからね。そうしたディテールは、原作アニメを見て補ってほしいと考えています。
虚淵 ええ、あらためて原作アニメを見るための呼び水になってほしいと、初期のプロットの段階から考えていました。これだけ豊潤な原作アニメがあるのだから、ぜひそちらも見てほしい。冒頭の総集編パートは、「RWBY 氷雪帝国」を理解するのに必要な基礎的要素だけをまとめてあります。たとえば、敵の勢力はひとりでも出すと数珠つなぎ式に大勢出てくることになってしまう。ですから、敵側が本格的にストーリーにからみはじめる前に完結できるよう、心がけました。また、主要キャラクターのうち、ブレイクはファウナスという組織に属していましたが、「RWBY 氷雪帝国」では、まだ彼女の回想としてのみ語られている段階です。なので、ファウナスの内情に踏み込みすぎないように気をつけました。
冲方 その代わり、ファウナスから離脱したブレイクがどこで野宿していたのかは、ルースター・ティースさんに確認をとったんです。すると、「ファンが作ってくれた地図があります」と……。ファンの作ったものを「正確な地図」として見せてくれるなんて、なんて大らかなスタジオだろうと思いました。
虚淵 微笑ましいですね(笑)。
冲方 だけど、背景の木の色によってどの地域かわかるように考えてあって、感心させられました。初期のトレーラー映像にも本編につながる情報がいっぱい入っているので、それも活用させてもらいました。
── 「RWBY 氷雪帝国」では、かなり物語の核心に触れる描写が出てきますね。 冲方 原作アニメで秘密のままになっている部分は、たとえばルビー本人は自覚していないし、周りのキャラクターたちは目撃していない。だけど、オズピン学長だけは知っていることにしました。オズピン学長は新キャラクターのシオンについて説明してくれるし、何が起きても受け入れてくれる懐の深いキャラクターです。「これなら、新しいストーリーを深く掘り下げられる」と確信しました。この「RWBY 氷雪帝国」は、まるでクロスワードパズルのようなユニークなつくり方をした作品なんです。
虚淵 企画当時、明らかになっていた原作アニメの情報だけをシャッフルして、まったく新しいストーリーを組み立てましたからね。
冲方 引き算と、少しだけの足し算でできているんですよね。書いていて楽しかったし、勉強にもなりました。まだ映像は見ていませんが、監督は楽しそうにつくっていました。
虚淵 完成した作品を見られる日を、僕もすごく楽しみにしてるんです。
(取材・文/廣田恵介)
RWBY 氷雪帝国 作品情報
放送情報
TOKYO MX 7月3日(日)より毎週日曜22:30~
BS11 7月3日(日)より毎週日曜23:30~
MBS 7月5日(火)より毎週火曜27:00~
●メインスタッフ
■原作:Rooster Teeth Productions' "RWBY" by Monty Oum
■監督:鈴木利正/アニメーション原案:虚淵 玄(ニトロプラス)/シリーズ構成・脚本:冲方 丁
■アニメーションキャラクター原案:huke/キャラクターデザイン・総作画監督:杉山延寛
■ビジュアルディレクター:武内宣之/チーフディレクター:岡田堅二朗/総作画監督:伊藤良明、山村洋貴、岩本里奈
■メインアニメーター:長田寛人、川田和樹/プロダクションデザイン・異空間設計:友野るい
■美術ボード:飯島寿治/美術監督:内藤 健/色彩設計:日比野仁/撮影監督:会津孝幸/編集:松原理恵
■音楽:戸田信子 x 陣内一真/ 音響監督:明田川仁/アニメーション制作:シャフト
■製作:Team RWBY Project
■オープニング主題歌:「Beyond Selves」 Void_Chords feat. L /エンディング主題歌:「Awake」早見沙織
●メインキャスト
ルビー・ローズ:早見沙織/ワイス・シュニー:日笠陽子/ブレイク・ベラドンナ:嶋村 侑/ヤン・シャオロン:小清水亜美
ジョーン・アーク:下野 紘/ノーラ・ヴァルキリー:洲崎 綾/ピュラ・ニコス:豊口めぐみ/ライ・レン:斉藤壮馬
オズピン:井上和彦/シオン・ザイデン:七海ひろき
(C) 2022 Rooster Teeth Productions, LLC/Team RWBY Project