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新しい物語の舞台は、“夢の世界”……。そこで活躍する新キャラクター、新アイテムとは?
「RWBY 氷雪帝国」は、原作のCGアニメ「RWBY」をなぞりつつ、オリジナルの展開がなされるスピンオフであるとのこと。あるキャラクターの精神を反映した夢の世界が主な舞台となり、夢の世界へ介入できる特殊能力をもつアニメオリジナルの新キャラクターが重要な役割を果たす。 虚淵 「RWBY」を日本でセルアニメとしてつくりたいので、何かアイデアを出してほしいとグッドスマイルカンパニーの安藝(貴範)さんから相談を受けたのは、何年も前のことです。アイデアはすぐ出たのですが、まだその時点では「RWBY」という物語がどう着地するのか見えていなかったので、どのキャラクターについてのどんな話にするのかが悩みどころでした。
冲方 2年半ぐらい前、虚淵さんからプロットをいただいた時点で、「RWBY」本編に抵触しない構成案はすでにでき上がっていました。ですから、そのプロットをどうふくらませるかをまず考えはじめたわけですが……その頃、話数は決まっていましたっけ?
虚淵 ええ、1クール12話というフォーマットは決まっていたと思います。僕のプロットのままでは8話ぐらいで終わってしまいそうだったので、冒頭に原作アニメの「RWBY」の総集編を新しい映像で入れたらどうかと提案しました。
冲方 初見の人には、いきなり「ビーコン・アカデミー」などと言われても何のことかわかりませんからね。最初の何話かは、かなり慎重につくっていきましたよね。原作アニメも並行して展開していたので、ちゃぶ台返しのような急展開が来るとも限りませんから。
虚淵 そういう意味では、総集編パートにもっとも気をつかったかもしれません。
冲方 新キャラクターのシオン・ザイデンを新たに登場させるにあたって、キャラクターたちの能力であるセンブランス、身体にまとうオーラ、エネルギー源となるダスト、そして所有している武器との関係を原作のルースター・ティースに何度も確認しました。似たアイデアの武器が本編に登場する予定があるから、別の武器を考えてほしいなど、何度かやりとりがありました。夢の世界のアイテムとして電話を出したのは、虚淵さんのアイデアでしたね。
虚淵 パソコン通信の黎明期にカプラという装置があって、それを生かせないかと脚本会議で言ったおぼえがあります。メディアの過渡期に現われる情報機器には、昔から心惹かれていました。カプラは「ウォー・ゲーム」という1983年のアメリカ映画にも出てきますが、黒電話の受話器をガチャッと別の機械に乗せて通信するんです。すごくカッコいいので、いつか絶対に使いたいと思っていました。
冲方 鈴木利正監督は、カプラがどういう物なのかがんばって調べていましたよ。そういう新しいアイテムを考えるのは楽しかったです。
── キャラクターを描くうえで、お2人の間で齟齬(そご)は生じなかったのでしょうか? 虚淵 むしろ、2人で組んだからこそ、1人ひとりのキャラクターをきちんと捉えられたんです。もし僕ひとりだったら、絶対にキャラクターの解釈を間違えていたでしょう。さらに言うなら、僕はキャラクターをいじめすぎてしまう。ですから、もう少し手心を加えてくれる脚本家を加えてくださいと、製作サイドにお願いしました。それで、冲方さんを呼んでもらえたんですけど、「僕なんかより個性の強い脚本家が来てくれたけど、大丈夫かな」って(笑)。
冲方 何をおっしゃいます(笑)。
虚淵 だけど、お互いに「このキャラクターはこう見えているのか」と確認しあったから、最後までブレが出ずにすみましたよね。
冲方 ええ、冒頭の総集編パートのあたりで、どのキャラクターをどう描くか、指標が見えてきましたからね。
虚淵 いまの原作アニメでルビーたち4人組は硬い友情で結ばれていますけど、この「RWBY 氷雪帝国」の頃は、まだ4人はギスギスした関係でした。その頃の感覚に巻き戻さないといけないのが、大変ではありましたね。
冲方 特に、ヤンとブレイクは今でこそ熱い関係ですが、当初の距離感のある状態に戻さないといけない。虚淵さんのおっしゃった「キャラクターをいじめる」という意味では、原作アニメのVolume.3でヤンが片腕を切られてしまいますよね。そんな衝撃的なシーンが原作にあるぐらいだから、それほど気にしなくていいのではないかとも思いました。手足を失う描写は、日本のアニメでは難しい気がします。
虚淵 そうかもしれません。
冲方 キャラクターを精神的に追い込む展開にしても、まだ学校で勉強しているような年齢の子たちですからね。
虚淵 そういう意味では、原作アニメのほうがよほどヘビーな問題を扱っていますよね。結果として、やりすぎることなく、いいバランスで物語を書けたと思います。
冲方 「RWBY」の世界で、自由に遊ばせてもらったという印象です。
虚淵 ルースター・ティースの方たちには「とにかく楽しんでほしい」と言ってもらえましたけど、そうは言っても預かりものですからね。「RWBY 氷雪帝国」は、「スター・ウォーズ」で言うとスピンオフドラマ「マンダロリアン」のような外伝です。キャラクターの性格を大事にしながら、本編の隙間をすり抜けるようにしてドラマを考えていきました。
── 次に、ビジュアル面についてもお話を聞かせてください。