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バイク形態にするために取り付けたパーツを、今度は全部取り外して箱に戻す!
この時代のプラモは、ちょっとした衝撃で
メキメキメキ!!と割れる危険性が高いので、今のうちにバイク形態の美しさを堪能しておこう。ホント、この手の変形を前提とした旧キットは、
バキィ! と不可逆的に破損することが多いんだ。
▲ 箱絵とは全っ然、形が違うけど、これはこれでいいバランスに仕上がっている。なんとなくフォルムに説得力が出てくるんだから、樋口雄一さんのデザインはすごい
▲ さて、謎の関節可動が組み込まれている前輪を、動かしてみた。うーん、まあ贅沢というか不要というか、でもこの無意味さがカッコよく思えてくるでは、アクロバンチの腕に変形開始しますか。まずは、残っているパーツを組み立てておかねばね。合体変形モノの玩具やプラモによくある、余剰パーツってやつね。
▲ こ、この無味乾燥とした関節パーツは……肩の関節だね。ああ、これで胴体と腕とを繋ぐわけだ。この仕組みだと、肩は横方向にも開くね。ただ回転するよりは、よほど凝った構造でしょう
▲ あとまあ、ドリルと手首と。手首は、ちゃんと左右ともあるので、キットを同じ2つ買わないとアクロバンチにならない。最初に確認したことだけど、あらためて、その事実を嚙みしめてしまうそして、説明書に従ってバイク形態から不要になるパーツを取り外すのだが、これがまた滋味深い作業なんです。賽(さい)の河原というか、「今までの作業は何だったの?」的な。
▲ ハンドル、マフラー、メカ状の前輪、車輪状の後輪、とにかくバイクの記号として機能していたブロックをすべて外す! 今までの工程とまったく逆の道をたどる。これは哲学的な、シュールな経験だよ
▲ 説明書を確認しながら、変形を進める。なるほど、シート部分が90°回転して、肩の装甲になるわけか。バイク時にもいいアクセントになっていたバーが、ダグラムのような実在感を演出していて、これはこれで面白い
▲ ドリルは、もう手首を外して、その穴に取り付けるだけ。そりゃそうだよね。こういうパーツはひねらず、ストレートに処理したほうがいい。ドリルは、ドリルだ
▲ しかし、腕の外側のカウリングは、腕に変形させるときはいったん半球状のパーツを外して、もっと内側にある穴に付け直すんだよね。そのくせ、カウリング上部のバイザー部分はスライド可動する。なんというか、この理不尽さが不思議な妙味を出している
小学校のころ、いとこと一緒に祖母の家に泊まりに行った。その夜、駅前の玩具店に行って「どれでも好きなミニカー買ってあげるよ」と祖母に言われのだが、いとこは車そのものではなく、ボートを車で運ぶためのトレーラーを選んだんだよね(輸送されるボートが付属するので、値段はほかのミニカーと一緒)。どうせなら、車1台を買ってもらったほうがよくない? でも、車本体じゃなくて、車がないと成立しない「ボートを輸送するトレーラー」だけを欲しがるのって、とってもいい趣味だよね……と、今なら思える。全体ではなく部分を欲しがるセンスがうらやましい、というか。
今回の「バイクなんだけど、ロボットの片腕にしかならない」プラモを組んでみて、そんな話を思い出しました。来月はぜひ、何かのアニメの敵メカを素組みしたいな!
(文/廣田恵介)