未来バイクが巨大ロボの腕になる! だけど片腕だけ? 「魔境伝説アクロバンチ」のバンチャー・アロー(アオシマ)を変形させてみた!【80年代B級アニメプラモ博物誌第22回】

2022年05月28日 11:001

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バイク形態にするために取り付けたパーツを、今度は全部取り外して箱に戻す!


この時代のプラモは、ちょっとした衝撃でメキメキメキ!!と割れる危険性が高いので、今のうちにバイク形態の美しさを堪能しておこう。ホント、この手の変形を前提とした旧キットは、バキィ! と不可逆的に破損することが多いんだ。

▲ 箱絵とは全っ然、形が違うけど、これはこれでいいバランスに仕上がっている。なんとなくフォルムに説得力が出てくるんだから、樋口雄一さんのデザインはすごい

▲ さて、謎の関節可動が組み込まれている前輪を、動かしてみた。うーん、まあ贅沢というか不要というか、でもこの無意味さがカッコよく思えてくる

では、アクロバンチの腕に変形開始しますか。まずは、残っているパーツを組み立てておかねばね。合体変形モノの玩具やプラモによくある、余剰パーツってやつね。

▲ こ、この無味乾燥とした関節パーツは……肩の関節だね。ああ、これで胴体と腕とを繋ぐわけだ。この仕組みだと、肩は横方向にも開くね。ただ回転するよりは、よほど凝った構造でしょう

▲ あとまあ、ドリルと手首と。手首は、ちゃんと左右ともあるので、キットを同じ2つ買わないとアクロバンチにならない。最初に確認したことだけど、あらためて、その事実を嚙みしめてしまう

そして、説明書に従ってバイク形態から不要になるパーツを取り外すのだが、これがまた滋味深い作業なんです。賽(さい)の河原というか、「今までの作業は何だったの?」的な。

▲ ハンドル、マフラー、メカ状の前輪、車輪状の後輪、とにかくバイクの記号として機能していたブロックをすべて外す! 今までの工程とまったく逆の道をたどる。これは哲学的な、シュールな経験だよ

▲ 説明書を確認しながら、変形を進める。なるほど、シート部分が90°回転して、肩の装甲になるわけか。バイク時にもいいアクセントになっていたバーが、ダグラムのような実在感を演出していて、これはこれで面白い

▲ ドリルは、もう手首を外して、その穴に取り付けるだけ。そりゃそうだよね。こういうパーツはひねらず、ストレートに処理したほうがいい。ドリルは、ドリルだ

▲ しかし、腕の外側のカウリングは、腕に変形させるときはいったん半球状のパーツを外して、もっと内側にある穴に付け直すんだよね。そのくせ、カウリング上部のバイザー部分はスライド可動する。なんというか、この理不尽さが不思議な妙味を出している

小学校のころ、いとこと一緒に祖母の家に泊まりに行った。その夜、駅前の玩具店に行って「どれでも好きなミニカー買ってあげるよ」と祖母に言われのだが、いとこは車そのものではなく、ボートを車で運ぶためのトレーラーを選んだんだよね(輸送されるボートが付属するので、値段はほかのミニカーと一緒)。どうせなら、車1台を買ってもらったほうがよくない? でも、車本体じゃなくて、車がないと成立しない「ボートを輸送するトレーラー」だけを欲しがるのって、とってもいい趣味だよね……と、今なら思える。全体ではなく部分を欲しがるセンスがうらやましい、というか。
今回の「バイクなんだけど、ロボットの片腕にしかならない」プラモを組んでみて、そんな話を思い出しました。来月はぜひ、何かのアニメの敵メカを素組みしたいな!

(文/廣田恵介)

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魔境伝説アクロバンチ

魔境伝説アクロバンチ

放送日: 1982年5月5日~1982年12月24日   制作会社: 国際映画社
キャスト: 柴田秀勝、若本規夫、野島昭生、三輪勝恵、杉山佳寿子、中原茂、倉川きよみ、加藤精三、大木民夫、麦人、大林隆介、弥永和子、玄田哲章、戸谷公次、塩沢兼人、森功至、広瀬正志、加藤正之、石森達幸、窪田等
(C) 国際映画社・つぼたしげお

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コメント(1)
ソウキソウキ2022/06/01 04:38

えっ!他のマシンは扱わないんですか? でも記事拝見してると、可動しないバイク用のボディと可動する肩から肘先くらいの腕を用意して、特徴的な肩アーマーやらカウルやらを付け替える方がスマートなような。 アクロバンチはバクシンガーとコンセプトが共通で「中々うまいこと考えるなぁ」と「それはあまりに安易じゃないか」がどちらも強い、印象的なロボットでした。

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