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・くノ一ツバキの胸の内
OP「ハイライト・ハイライト/the peggies」
今期のthe peggiesも、キャッチーなのにちょっとヘンな楽曲で私は大変嬉しいです。
ヘン、というと誤解が生まれそうですが、どう考えても「ハイライト・ハイライト」の聴きどころ、ひいてはthe peggiesというバンドの特徴は「ちょっとヘン」なところにあると思う。
具体的にはBメロの展開の仕方がちょっとヘンです。このBメロがあるからサビへの期待感が高まり爆発力が生まれるのです。
アニソンに限らずどんなジャンルの音楽にも定番のコード進行があります。気持ちよく聴こえる音の並び方に規則性があって、それに沿って音楽が作られているんですが、「ハイライト・ハイライト」(を含む多くのthe peggiesの楽曲)は定番のコード進行とは違うちょっとヘンなコード進行をBメロに持ってきます。
まるっきりヘンでも成立しないし、ヘンじゃなくても成立しない。「ちょっと」という絶妙なバランスは狙ってできることではありません。この仕組みを解説するにはもっと難しい話になるので割愛。
いや、難しいことはどうでもいいんです。いい曲! 超いい曲! 優勝! 音楽はこれでいいんです!
・ダンス・ダンス・ダンスール
OP「鳴り響く限り/YUKI」
跳ねるような軽やかなリズムに透明感のある伸びやかな歌が映える楽曲は、バレエの躍動感と抜群にマッチしています。ブラックミュージック由来のリズムにクラシカルなストリングスのハネ感が合わさって、独特の躍動感が生まれているのが面白いです。
作品をリリースするごとにYUKIがどんどん若返っているような気がするのは、私だけではないと思います。今年で50歳を迎えるそうですが、JUDY AND MARYの頃からまったく変わらない若々しい歌声は驚異的です。
・キャップ革命 ボトルマンDX
OP「レディキャップ!/岡崎体育」
タカラトミーから発売中の大ヒット玩具「キャップ革命ボトルマン」のアニメ化作品です。
主な視聴層となるのは小学生高学年辺りなので、その点を考えるとこの楽曲は主題歌として完璧だと思います。
今般の音楽シーンにおいて独特の立ち位置で活動する岡崎体育。彼のスタイルはメタ的な歌詞やMVなどで見られる、ふざけているようなふるまいが特徴ですが、キワモノと思わせておきながら音楽に関しては超実力派。特にメロディラインはキャッチーさと特徴的な「クセ」のバランスが絶妙で、一度聞いたらすぐに覚えてしまう浸透力の強さがあります。
そのメロディの強さを最大限に引き出しているのが、うますぎない歌です。これが本当に素晴らしすぎる。少年性というか、休み時間にクラスの男子が主題歌を歌っている時の無敵感というか。
男子による男子のための男子のアニメソング。これが、岡崎体育が歌うアニメソングの本質なのかもしれません。
・遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!
ED「One Way/佐伯ユウスケ」
昨年まではモータウン系のアニメソングが大量にある印象でしたが、今期はそこまで多くなかったように感じます。状況としては一時のモータウン系アニソンのブームが鎮静化した、といったところでしょうか。
そんな中、これまでのモータウン系アニソンを過去の曲にしてしまう決定版として登場したのが「One Way」です。軽快にうねるグルーヴが楽曲を支配するピアノを中心に、休符を活かしてリズムに緩急つけるアンサンブルはスティーヴィー・ワンダー(有名なところでいえば「Sir Duke」あたりか)を彷彿とさせます。有名曲の引用ではなく、佐伯ユウスケ本人のルーツであるスティーヴィー・ワンダーをはじめとするブラックミュージックに正面から取り組んだ、と解釈するのが正しいと思います。
2020年放送「遊☆戯☆王SEVENS」オープニング「ナナナナナナナナ」では、今楽曲とは真逆の超ハイテンションなブラックミュージックなアニメソングをリリースしているので、同じジャンルでの振り幅の広さに注目して聴き比べてみると面白いです。
今期はジャズ系アニソンが多く、この手のサウンドが好きな私としては非常に嬉しかった反面、選出がとても難しくもありました。1曲だけ選ぶのは無理!ということで、ジャズ系アニソンをまとめて複数曲選出します!
・SPY×FAMILY
OP「ミックスナッツ/Official髭男dism」
・トモダチゲーム
OP「ダブルシャッフル/水樹奈々」
・まちカドまぞく 2丁目
OP「ときめきランデヴー/shami momo」
・名探偵コナン ゼロの日常(ティータイム)
OP「Shooting Star/RAKURA」
なかでも推したいのは「まちカドまぞく 2丁目」オープニング「ときめきランデブー」。
いいぞ、これはいいぞ。跳ねるようなスウィング・ジャズのリズムに少し抑制の効いたボーカルのバランスは、1990年代渋谷系を正しく継承しているように思います。
音楽的にものすごく高度なことをやっているのに、それを感じさせずに聴かせる上品さも素晴らしくいい。
そのほかのジャズ系アニソンもまとめておりますが、ジャズといっても楽曲のタイプはそれぞれ違うのでぜひ聴き比べてみてください!
・TIGER & BUNNY 2
ED「AIDA/ano」
最後に出口的に今期一番の楽曲である「TIGER & BUNNY 2」エンディング「AIDA」をご紹介します。
1990年代グランジを通った方なら、このサウンドは絶対にハマると思います。イントロから曲の最後まで全体を支配するギターのアルペジオフレーズや、退廃的で生々しくて暴力的なのにどこかキラキラした美しい音像はグランジ、オルタナティブロックのマナーに則っていて懐かしさも感じます。
が、そこにanoの特徴的なボーカルが入ると一気に新しい音楽として成立するのが素晴らしくいい。めちゃくちゃいい。歌がうまいボーカリストではこうはなりません。anoでなければ「AIDA」が音楽として完成しないのです。
以上、今期アニメソング10曲選出でした。
気になっていた作品、楽曲を知るきっかになってもらえたら幸いです!
アキバ総研では毎クール、恒例のアニソンアンケートも実施しておりますので、投票がスタートしたらお気に入りの楽曲への清き一票をよろしくお願いいたします!
それでは、次回もお楽しみに!
(文/出口博之)
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