【「怪人開発部の黒井津さん」特集!】特撮ヒーロー作品のキャストが多数登場! レジェンド&ローカルヒーロープロデューサー・鈴村展弘が語るキャスティング秘話【インタビュー】

2022年04月01日 15:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

秘密結社アガスティアでヒーローを倒す怪人を生み出すべく、日夜、研究に明け暮れるヒラ研究員・黒井津燈香(くろいつとうか)を主人公に据えたアニメ「怪人開発部の黒井津さん」。

「怪人開発部の黒井津さん」は、「COMICメテオ」(フレックスコミックス)にて連載中の、水崎弘明さんによるマンガが原作のアニメ。

本作では毎回のお楽しみとして、実在するローカルヒーローの登場や、特撮ヒーロー作品に出演したキャストが名を連ねており話題を呼んでいる。その仕掛人が、スーパー戦隊シリーズ、平成仮面ライダーシリーズなど、監督として数多くの作品を手がけて来た鈴村展弘さんだ。

本作では「レジェンド&ローカルヒーロープロデューサー」の肩書で関わる鈴村さんに、登場するヒーカルヒーローの魅力、そしてレジェンドキャストによるキャスティング&アフレコ秘話について語っていただいた。

【「怪人開発部の黒井津さん」特集!】水崎弘明先生描きおろしの特撮モノらしい最終回は必見!? 斎藤久監督、クライマックス直前インタビュー 

 

 

レジェンド&ローカルヒーロープロデューサーとは?

 

――実写畑の鈴村展弘さんがアニメでのお仕事ということで、ちょっと意外に思ったのですが、そもそもどういった経緯でオファーがあったのでしょうか?

 

鈴村展弘(以下、鈴村) アニメ関係の友人がいまして、その彼から相談を受けたのが、最初のきっかけです。「怪人開発部の黒井津さん」は、特撮を題材としたマンガで、これをアニメ化するに当たり、ご協力いただけないでしょうか、とのことでした。その時点では詳細はわからなかったけど、僕はもともと特撮ヒーローが好きで業界に入り、実際に監督もしてきたので、「自分に何かできることがあれば」と思い、今回のプロデューサーのひとりである、Quadの黄樹弐悠さんとまずはお会いしました。

 

――原作についてはどのような印象をお持ちになりましたか?

 

鈴村 最初に黄樹さんとお食事をした際に単行本の1巻をいただいたので、それを読ませていただきました。特撮ヒーローものでは、悪の視点からとらえた作品はほとんどなかったので、まずはその着眼点が面白いなと。ほかにもアニメ化したら、楽しくなりそうな要素がいろいろと詰まった作品だと思いました。

 

 

――番組クレジットは、「レジェンド&ローカルヒーロープロデューサー」と聞きなれない役職ですが、実際の関わり方についてもお聞かせください。

 

鈴村 僕が主に関わった部分が2つありまして、まずひとつは、原作にない要素ですが、ローカルヒーローの登場です。これに関しては、全国ネットでの放送が決まっていたことが大きくて、北は北海道、南は九州、沖縄まで全国で放送されるわけだから、「全国各地のローカルヒーローを登場させたら面白いのではないでしょうか」とご提案いただき、ローカルヒーローの選定をさせていただきました。それと地方局だと、地域によって深夜だったり、夕方だったりと放送時間が違いますよね。

全国ネットでもそういうケースがあるんですけど、今回は全国ネットで、しかも全ての地域で同じ時間帯での放送だったんです。それだったら地域差でネタバレを気にしなくていいので、サプライズで毎回ローカルヒーローを出せば、その地域のファンは「あ、うちのところのヒーローが出てる!」と、テンション上がりますよね。僕自身も「ドゲンジャーズ」(2020年~)という福岡発のローカルヒーロー番組に監督として関わっているし、そんな経緯から、ローカルヒーローのプロデュースという形で関わることになりました。そこはアニメ発の企画であり、今回の大きな目玉だと思っています。

 

――もうひとつは?

 

鈴村 ナレーションですね。普通、ナレーターは番組ごとに固定で、毎週変わるなんてことはないけど(笑)、これを「レジェンドヒーローを演じられた俳優さんたちにやってもらうのはどうでしょうか?」とご相談を受けたので、「それは面白いんですね!」と、そこに関してもお力添えすることになりました。時代は昭和、平成、令和と移り変わり、今も「仮面ライダー」や「スーパー戦隊シリーズ」、「ウルトラマン」の新作が続いているけど、僕のこだわりとしては、あえて20世紀のヒーローたちにナレーションをしてもらおうと思い、チョイスさせていただきました。最初に20人くらい候補を出しまして、番組スタッフのほうで12人を選んでいただき、独断と偏見で選ばせていただき、個人的に仲良くさせていただいている方々にお願いしました(笑)。

 

全国のローカルヒーローが集結!

 

――ここからはローカルヒーローについて詳しくお聞かせください。そもそも、どういった基準で登場を決めていったのでしょうか?

 

鈴村 全12回なので、さすがに全都道府県のヒーローを出すことはできなかったけど、12話の中で同じ地方に偏らず、なるべく全国各地、まんべんなく登場させたいと思ったので、そこの選定はすごく考えました。それと皆さん、やっぱり地元愛がすごいんですよ。その中でも、独断と偏見ではあるけど、自分が住む土地に誇りを持ち、なおかつ強い意思を感じさせる方々を選ばせていただきました。

あとは場所も重要ですが、劇中にもからんでくるので、設定がしっかり練られているとか、名乗りポーズがキチッと決まってるとか、そういった点も重視しました。それから、声も全てローカルヒーローのオリジナルの方に(声を)当ててもらうのも絶対に必要だと思っていたことで、そこもひとつのテーマでした。

 

 

――今や全国に大勢のローカルヒーローがいますが、独自に調べたりもしたのでしょうか?

 

鈴村 ええ。「ドゲンジャーズ」を機にいろいろなローカルヒーローを紹介していただく機会が増えたけど、そこから全て選ぶというわけにはいかなかったので、自分でもいろいろと調べました。ローカルヒーローも昔と違って、今はデザインも造形も素晴らしいですし、カッコいいヒーローばかりなのでどれを選んでも間違いはないんですけど、YouTubeで検索したり、Twitterアカウントを見つけて、「資料とかあればデータをいただけないでしょうか?」と直接DMをお送りした方もいましたね。

 

――今回のプロデュースを通じて、魅力を感じたローカルヒーローはいますか?

 

鈴村 そうですね。第7話に登場した「ダルライザー」という福島県白河市のヒーローがちょっとお気に入りです。モチーフは「だるま」で、努力と工夫の「七転び八起き」で、何度でも立ち上がるところが、昭和のヒーローテイストを感じさせて実にいいんですよ。しかも設定自体、改造人間でも強化スーツでもなくただのおじさんで(笑)。ようするにコスプレでしかないんだけど、気合いと気持ちでがんばるところにすごく共感します。僕なんかは昭和の特撮ヒーローに元気付けられてきた世代なので、「ダルライザー」の設定は非常に燃えるものがありますね。

また、敵側にはダイスというサイコロをモチーフにした戦闘員がいて、これが非常におしゃれな感じで、そこも魅力のひとつです。

 

 

――特にご当地愛を感じたヒーローは?

 

鈴村 第9話に登場した「安全第一大知マン」は沖縄のヒーローです。沖縄といえば、すでに「マブヤー」が有名ですが、今回は敢えて大知マンにしました。沖縄は一時期、コロナ禍でかなり大変だったでしょう。大知マンからは、そんな中だからこそ「勇気と元気を与えなくちゃいけない!」という熱意を感じました。

 

 

――ご当地ならではのエピソードもいろいろとありそうですね。

 

鈴村 今回、ローカルヒーローが登場する場面では、背景にもこだわっています。先方から「瀬戸大橋がいい」とか場所を指示していただくケースもあって、「なるほど」と思いましたね。第3話では、北海道のローカルヒーロー「梟の戦騎カント」が札幌の大通公園のテレビ塔前で戦っているのですが、あれも確かカントさんからのリクエストでした。そうやって縁ある場所でローカルヒーローが戦っていたら、地元の人は「あそこじゃん!」と喜んでくれると思うし、逆に県外の人はググったりして、その土地に興味を持つきっかけになればいいなと思っています。観光需要、聖地巡礼と言ったらオーバーかもしれないけど、いい意味での連鎖が広がっていけば嬉しいですね。

 

――第2話では、監督も参加されている「ドゲンジャーズ」の面々も登場しましたね

 

鈴村 「ドゲンジャーズ」には悪の秘密結社という敵組織がいて、この作品も敵目線の要素があるので、「黒井津さん」と割と共通するところがあるんですよ。劇中、黒井津さんと悪の秘密結社のヤバイ仮面が名刺交換する場面があったけど、もともと「ドゲンジャーズ」にも名刺交換の場面があるから、理にかなったシーンになっていたんじゃないかな。僕が関わっているから、「ちょっと出番が多くね?」と思われるかもしれませんが(笑)、そういう意味でも、親和性が高い2作品だと思います。

 

レジェンドナレーターの声の魅力

 

――ナレーションについても詳しくお聞かせください。

 

鈴村 先ほど20世紀のヒーローを中心に出ていただいた、とお話ししましたが、ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊、メタルヒーローの日本四大特撮ヒーロー出演者を中心に、なるべく偏らないように気を使いました。たとえば、ライダーばかりとか、戦隊レッドばかりになるのは避けようと思い、なるべくまんべんなくキャスティングしたつもりです。なかにはそれらのどれにも当てはまらない「超人バロム・1」などのヒーローもいたりもしますが(笑)、それはそれで幅になったのかなと思っています。キャスティングについては「こんな企画があるんですけど、やっていただけないですか?」とお願いしたところ、本当に皆さん懐の広い方ばかりで、快諾していただきました。

 

――第1話は渡洋史さんでしたね。

 

鈴村 渡さんといえば、「宇宙刑事シャリバン」(1983年)、「時空戦士スピルバン」(1986年)で主役を演じられたほか、「巨獣特捜ジャスピオン」(1985年)のブーメランと、ヒーローを複数演じられていたので、第1話がハマるんじゃないかなと思ったのが理由のひとつです。それと、昭和の人間だけでなく、最近も「宇宙刑事 NEXT GENERATION」(2014年)があったので、昭和の人間だけでなく、今の若い人たちにもある程度の知名度がある、というのもありましたね。あとは、第1話で「毎回、渡さんがやるの?」と思わせておいて、第2話から違う人になるので、いい意味での裏切りも狙っていたところです。

 

――その第2話が、村上弘明さんで驚かされました(笑)。

 

鈴村 「仮面ライダー(新)」(1979年)の村上さんですよね。これはABCアニメーションのプロデューサーの梅田和沙さんが事務所さんと繋がりがあって実現しました。こちらとしては「どうでしょうか?」「やっていただけるかな」と思っていたのですが、出演が決まって僕自身もテンション上がりましたよ。

 

 

――各話のナレーションを聞かれてみていかがですか?

 

鈴村 本当にそれぞれの個性を感じますね。たとえば、第4話は「超人バロム・1」(1972年)の高野浩幸さんでしたが、普段、俳優としての高野さんは割と高めの声質なんですけど、ナレーションだとけっこう低めの渋い声で話されていて、そこでまた新しい一面を感じました。また、第7話は「ウルトラセブン」の森次晃嗣さんにお願いしましたが、さすがベテランの重厚な感じでやってくださいました。それと、毎回冒頭のナレーションは同じセリフで、ナレーターを変えているので、それぞれの読み方の違いが面白いですね。これが違うセリフだと比較しづらいけど、同じセリフだからこそ比べられる部分になっていると思います。

 

――すでに俳優を引退された方が担当されている回もありますね。

 

鈴村 第4話の「光戦隊マスクマン」(1987年)の海津亮介さん、第7話の「機動刑事ジバン」(1989年)の所宏吏(当時は日下翔平)さんですね。お2人も僕がオファーしたところ快諾してくださったのですが、そうした方が担当するのもちょっとレアじゃないですか。海津さんは、お子さんがアニメ好きで「現場に連れて行っていいですか?」「どうぞどうぞ」と、アフレコ当日はお子さんが目をキラキラさせながらアフレコを見学していました。海津さん的にも家族サービスできたのではないでしょうか。お引き受けいただいた以上、何かメリットがあればいいなと思っていたので、そういう光景もまた嬉しかったですね。

 

 

――ローカルヒーローの声にもレジェンドの皆さんが一部キャスティングされていますね。

 

鈴村 第4話では「重甲ビーファイター」(1995年)や「電磁戦隊メガレンジャー」(1997年)の金井しげるさん(当時は金井茂)にエドゴールドの声を担当してもらいました。

エドゴールドは江戸川区の「エドレンジャー」というローカルヒーローのメンバーなんですけど、金井さんは現在、江戸川区で区議会議員をされているんですよ。今回は、正式に江戸川区の許諾を経たうえで出演していただきました。金井さんとは「芝居は久々なんで、ガッツリ付けてくださいよ」「いやいや」なんて話してたんですけど(笑)、楽しかったですね。

第8話では同じ「ビーファイター」に出演していた土屋大輔さんにナレーションをお願いしました。お2人のアフレコは別々だったんですけど、連絡を取り合っていたらしいですし、金井さんとも「これでレッドルが揃えばねぇ」と話していたんですよ(笑)。僕はメタルヒーローで助監督をしていたこともあり、そこは若干色が濃い目に出ているかもしれませんね。

 

 

――青柳尊哉さんが演じた第2話の斜陽戦士ゴゴレッドについては?

 

鈴村 これは「ウルトラマンガイア」(1998年)や「仮面ライダー龍騎」(2002年)の高野八誠さんが監督した「HE-LOW」シリーズに登場するヒーローです。僕はこのシリーズには、スーパーバイザーとして関わっていて、この5月には最新作「HE-LOW THE FINAL」(2022年)も公開するので、せっかくだから出したいなと。

青柳さんは「ウルトラマンオーブ」(2016年)のジャグラスジャグラー役で、実写のアフレコは経験していますし、奥さんも声優(湯浅かえでさん)なんですが、青柳さん自身はアニメのアフレコはあまり経験がないそうです。青柳さんで言うと、ちょっと面白いのが、第2話に登場した「炎の天狐トチオンガーセブン」という新潟のローカルヒーローがいるんですけど、その劇場版には新潟出身の渡洋史さんが出演されているほか、青柳さんも敵役(鬼魔獣人オニウラミ)の声で出演していたんですよ。そういう縁もまた不思議なものですね。それから、第9話のスライダー仮面龍騎士も「HE-LOW」シリーズのキャラクターで、「龍騎」の須賀貴匡さんが声を当てています。ちなみにスライダー仮面には、ワルインダー仮面という敵役がいるんですけど、その声で「仮面ライダー響鬼」(2005年)や「キバ」(2008年)の松田賢二さんにも出てもらいました。

 

 

――「龍騎」や「響鬼」は、鈴村さんも監督として関われていましたね。今回の出演では何かエピソードはありますか?

 

鈴村 須賀っちや何人かのアフレコは、ちょうど「ドゲンジャーズ」の撮影で福岡に行っていて立ち会えなかったんですよ。今回、自分のスケジュールが被らない限りは、極力アフレコには立ち会わせていただいたんですけどね。

 

――それでは逆にアフレコ全体を通して、何かエピソードがあればお聞かせください。

 

鈴村 僕も特撮作品で声優さんのアフレコをしますが、メインは俳優さんとのお仕事じゃないですか。アニメのスタッフの皆さんは、役者さんが来られると、「子どもの頃、観てました!」とか「『シャリバン』、大好きでした!」と明らかにテンションが違うんですよ(笑)。シリーズ構成の高山カツヒコさんも「おおおおっ!」と興奮してましたけど、逆に僕は、今回の豪華な声優陣に対して、「おおおおっ!」とドギマギしてました(笑)。そこがまた普段とちょっと違う囲気で新鮮でしたね。

 

――ローカルヒーローのアフレコは実際に演出も?

 

鈴村 いやいや(笑)。そこは監督の斎藤久さんや音響監督の飯田里樹さんがいますから。ただ、面白かったのは、僕は後ろから見ているだけだったんですけど、振り返って聞いてくださるんですよ。「今の感じでいいでしょうか?」「あ、いつも通りでとてもいいと思います」みたいなやりとりもあって、何やら大変恐縮する気持ちもありつつ、非常に楽しい現場でした。

 

――アニメのアフレコをご覧になっていかがでしたか?

 

鈴村 実写だとCGや合成は仮でも、画自体はあるんですよ。それがアニメの場合、絵コンテを画面に入れ込んで、次々と変わっていき、「ここからセリフです」みたいなことで声優さんが入れていくのですが、皆さん、実にうまいですね。僕なんかは画面を観ていて「え、いったい、どこでセリフを言えばいいんだろう?」と思っている中、動かない絵に生き生きと声を入れていて、そこは感動しました。

 



悪の組織に感情移入できる面白さ

 

――長く実写畑を歩まれてきた鈴村さんですが、実写とアニメの表現の違いなどを感じられたところはありましたか?

 

鈴村 アニメは作画の大変さはもちろんあると思うのですが、どんなすごいアングルやカットでも、端的に言えば、描けば成立するんですよね。たとえば、我々が空から引きのカットを撮りたいと思ったら、ドローンを使ったり、特殊機材が必要になるし、それこそ「マトリックス」みたいなアクションを撮るとしたら、カメラ10数台にCG処理も必要になるから、たとえ、いいアイデアがあったとしても、「リモートクレーンを呼べないなら諦めよう」みたいなこともあるんですよ。アニメにもさまざまな制約があるのでしょうが、実写畑の僕としては、アニメならなんでもできると思えるところがあって、すごく夢を感じますね。

 

――逆にアニメに関わったことで、実写の魅力に再度気付かされるようなことも? 

 

鈴村 それもありましたね。実写にもコンテがあって、寄りがあって、引きがあって、今度は役者さんの背中からカメラがトラックアップしていくといった具合にカット割りしていくんですが、基本的に絵コンテに従い、作画をして完成していくアニメと違い、実写の場合は役者の芝居を見て、カット割を変えることがあります。

ほかにもロケ先で木漏れ日が差し込む場所を見つけたら、「ここでシルエット気味で役者を立たせてみよう」とか、その場その場でいい意味でのハプニングがあるんですよね。実写を撮る醍醐味はまさにその部分で、計算だけではない面白さがあることを今回改めて思いました。

 

 

――それでは、スタッフを代表して「怪人開発部の黒井津さん」の見どころをお聞かせください。

 

鈴村 最初にも少し話しましたが、やっぱり悪の組織側からの視点が「怪人開発部の黒井津さん」の魅力だと思います。普通は地球の平和を守ってくれるヒーローに感情移入して「がんばれ!」となるところですが、アガスティアでは怪人一体作るのにも、予算やら各部署の許諾を得なくちゃいけないとか、すごく大変なんですよ(笑)。だから普段のヒーロー番組とは全く逆で「がんばってアガスティア! 黒井津さん!」と視聴者が悪の組織目線になれるんですよね。

それと悪の組織もひとつじゃなくて、ブロックロアという組織はブラック企業だったり(笑)、そういう悪の組織の在り方の違いも広がりを感じる部分だと思います。

それから特撮ヒーローものの定番として、ヒーローのパワーアップがありますよね。そこは我々からしたら「カッケー!」と思うところだけど、そこもアガスティア視点だと「聞いてねーよ」「なんでだよ!」「データにないよ」みたいになる(笑)。そうやって、普段の特撮ヒーロー番組では見えない、悪の組織の裏側がいろいろと描かれているのが楽しいんですよ。

 

 

――最後にお気に入りのキャラクターをあげるとしたらいかがですか?

 

鈴村 それはもちろん黒井津さんです。熱さ、信念の強さ、そして一生懸命さ。さらには幹部を目指す意欲も持ち合わせているし、彼女自身、けっこう強いので、たぶん筋トレとかもしているはずなんですよ(笑)。そういう見えない努力が足りない人もいるんじゃないかなと思わせるものがあって、すごく共感しますね。それからもうひとりあげるとするとメギストスです。

 

――稲田徹さんが声を当てていますね。

 

鈴村 ええ。今回、打ち合わせからずっと参加させていただいていたのですが、最初に決まった声優さんが稲田さんだったんですよ。「メギストスは稲田さんだよね」「ああ~、わかる!」と満場一致で決まりました。稲田さんが声を当てることで、アニメなんだけど、特撮の幹部感が出ていて、これは非常にうまいキャスティングだなと思いましたね。

画像一覧

関連作品

怪人開発部の黒井津さん

怪人開発部の黒井津さん

放送日: 2022年1月8日~2022年4月2日   制作会社: Quad
キャスト: 前田佳織里、天野聡美、梅原裕一郎
(C) 水崎弘明・COMICメテオ/「怪人開発部の黒井津さん」製作委員会

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。