「作って終わり」ではなく、「学べる教材」としてプラモデルの可能性を掘り起こす——BANDAI SPIRITSが、マンモスをプラモ化する理由【ホビー業界インサイド第77回】

2022年01月29日 11:000
(C) BANDAI SPIRITS

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説明書はミニ図鑑に組み替え可能、作り終わった後にも親子の時間を提供する


── 骨格のうえに、新素材の毛皮を重ねる構造ですね。毛皮パーツは、着脱できるのですか?

染谷 はい、完成後も着脱して楽しめます。骨格のままでもカッコいいので、私個人は、毛皮パーツを外した状態で飾っておくのが気に入っています。骨格はアイボリーで成形されていますので、塗装しなくても雰囲気が出ます。

── 骨格の形状はどうですか?

染谷 日本のマンモス研究の第一人者・近藤洋一先生に監修していただきました。最新の学説を取り入れており、小さなサイズながら立体としては極めて正確です。もちろん、各関節は可動します。特にスケールは設定せず、お子さんが手で遊びやすいサイズ感にしてあります。


── 色の変わる毛皮パーツは、普通の金型なのですか?

染谷 はい、普通の樹脂を射出すれば、ごく普通のプラモデルとして生産できる金型です。ただ、今回は特殊樹脂を注型しなくてはならないので、樹脂を押し出す力や色を混ぜこむ温度次第で変色樹脂成分が破壊されてしまいます。全部で何十パターンもテストして、もっともマンモスらしい色にしてもらいました。やってみたら、成形の条件出しと生産の管理が予想以上に大変でした。自社工場だからこそ、細かな設定を詰めることができたんです。


── 今回は、「学研の図鑑LIVE」とコラボしていると聞きました。

染谷 学術的な正しさを追求したり、動物としてのカッコよさに関して造詣が深いのは、図鑑を編集している出版社ではないかと思い、学研プラスさんとのコラボに至りました。特に取扱説明書にはこだわっていて、プラモデルを組み立てて終わりではなくて、説明書をハサミで半分に切って折りたたむと、オールカラーのミニ図鑑になります。

── このミニ図鑑に、学研プラスさんの知識が生かされているんですか?

染谷 はい、資料的な写真も掲載されていますし、このためにオリジナルのイラストも描き下ろしていただきました。文体も図鑑を意識したもので、かなり読みごたえがあります。また、学研プラスさんの協力によって、組み立て説明中にも学べるコラムが掲載されています。いま自分が手にしているパーツはただのプラスチックのパーツではなく、実際には何キロもあるマンモスの骨格なのだとわかるよう、具体的なデータが書いてあります。いつもは組み立て終えたらしまわれてしまう説明書も、コラムを読んで学習して、お子さんが親御さんに自慢しに行ったりしてくれるとうれしいですね。
今回の商品のターゲットは6歳以上ですから、かなり下の世代です。それぐらいの年齢のお子さんが自分でプラモデルにを購入する機会は、とても少ないと思います。ですから、親御さんと一緒に組み立てて、完成後に色の変化を楽しんだり、ミニ図鑑を読んだり、親子で長く楽しめる製品を目指しています。

── パッケージデザインは、いかがですか?

染谷 「あんなことも、こんなこともできるよ」と、情報量をなるべくたくさん入れました。骨格と毛皮を着た状態の2種類を再現できること、温度で色が変わること、ミニ図鑑のつくり方、それとランナー状態の写真も入れて組み立てキットであることを強調しました。さらに、工具がなくても手でパーツを外せるタッチゲートであることも、パッケージで伝えています。既存製品の動物玩具は完成品フィギュアが多いので、組み立て式のプラモデルであることを印象づけるよう説明要素を多くしました。

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