【インタビュー】夏川椎菜が2ndアルバム「コンポジット」をリリース。喜怒哀楽をテーマに感情をゆさぶる楽曲が並んだ、パワフルな1枚に!

2022年01月30日 12:000

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吠えるような歌い方を初めてしたのが「アンチテーゼ」でした


── 2曲目は「烏合讃歌」。「喜」と「楽」両方のイメージの曲で、夏川さんの作詞です。

夏川 「ヒヨコ群」(夏川椎菜ファンの総称)に向けて、みんなの士気を高める曲です。サビの最後が「高らかに宣誓しよう!」という歌詞になっている通り、ライブで歌うことを前提に歌詞を書いていきました。作曲・編曲はいつもお世話になっているHAMA-kgnさんで、チーム夏川が作ったら、こういう感じになるよねという王道を感じていただけると思います。

── 気分が上がるのはもちろん、夏川さんにやさしく背中を押してもらっているような曲だとも思いました。

夏川 社会の荒波にもまれて、「自分ひとりじゃ戦えないなあ」と弱気になっているヒヨコ群をまとめて、みんなで烏合になって一緒に戦おうぜ! という曲ですね。

── 「烏合」っていいイメージの言葉ではないんですけど、こういうポジティブな歌詞の中で使われると、みんなで一緒に戦えるのなら、烏合もいいかなって思えてきます。

夏川 本来ならばネガティブな意味がある言葉を、使い方次第で反転させる歌詞が、私は好きなんです。「烏合」もかっこよく聞こえたらいいなと思って、選びました。

── 続く3曲目は4thシングル表題曲の「アンチテーゼ」(作詞・作曲・編曲:すりぃ)。ここまでの3曲はどれもアップテンポで、スタートから一気にテンションが上がる感じが、聴いていて気持ちよかったです。

夏川 ありがとうございます。「アンチテーゼ」はそれまでとは違う、吠えるような歌い方を初めてやった曲で、これをきっかけに私のファンになってくださった方も多いんです。だからアルバムでも、いい位置に置きたいと思いました。


── たしかに夏川さんの表現の幅が広がった曲でした。4曲目「トオボエ」は新曲で、これも吠えるような歌い方をしています。作詞は夏川さん、作曲は岩瀬晃二郎さん、編曲は川崎智哉さんで、「アンチテーゼ」と連続しての「怒」の曲です。

夏川 ライブでお客さんに、何も考えずにガーッと盛り上がっていただける曲を作っていただきました。ゴリゴリでバチバチのロックで、本来、私のような高めの声の持ち主が歌うような曲じゃないんです。でも、こういう曲にあえて私のピヨピヨとした声を乗せてみるのが大好きで、自分のやりたいことをやれた曲でした。

── 続く「RUNNY NOSE」は「アンチテーゼ」のカップリング曲で、作者は夏川さん、作曲・編曲は森宗秀隆さんです。これもまた「怒」の曲ですね。

夏川 「RUNNY NOSE」もゴリゴリしていて、大好きなんです。4thシングルを作ったのは、バンドと一緒にライブをやりたいなと思い始めたころで、必然的にバンド映えする曲になりました。

── それからこの曲は、夏川さんの作詞テクニックが光っているんですよね。「はみ出したい 笑いたい」「曝したい まだ痛い」というふうに「たい」で終わる言葉を繰り返し使っていて、それがリズミカルに心地よく響きます。

夏川 この曲の歌詞は難産だったんです。一番難しかったのはAメロで、1番では「我で 自で 素で えでん れでぃ (go !!!)」、2番では「枷 否定 癖 愛で らぶ (me !!!)」と歌っているところでした。ここが書けないと全体もうまくいかないだろうなと思って、最初に手をつけました。


── 今あげていただいたような言葉を畳みかける歌詞は、夏川さんの持ち味のひとつだと思います。続く6曲目は「サメルマデ」。作詞・作曲はやぎぬまかなさん、編曲はめんまさんで、「怒」と「哀」の2つの感情が入りこんだ曲です。

夏川 「怒」の成分を残しつつ「哀」が入ってきて、「RUNNY NOSE」から曲調がガラリと変わるので、意表を突く流れにできたと思います。私にとっては今まで歌ったことがない曲調で、みんなの反応がすごく楽しみです。ハマる人はめちゃめちゃ好きになってくれると思うんですけど、「えっ、どういうこと?」ととまどう人もいるかもしれないです。作詞・作曲のやぎぬまかなさんは、「カラスは真っ白」というバンドをされていたころからファンで、コンペで曲を聞いた瞬間「やぎぬまさんの声だ!」と気が付きました。曲をいただいたのは少し前で、今回のアルバムで満を持して表に出すことになりました。


「ボクはゾンビ」では、うまく生きられない主人公をゾンビにたとえました


── 7曲目「奔放ストラテジー」は、ボカロPでもあるノイさんの作詞・作曲・編曲による「哀」の曲です。

夏川 ノイさんはYouTubeなどで楽曲を発表されているクリエーターで、ノリやすい楽曲を作ってくださいました。ボーカルは熱を帯びていない、クールな印象があるんですけど、ライブでは盛り上がれる曲になったんじゃないかと思います。言葉がぎゅっと詰まっている感じとか、メロディの展開の仕方に今っぽさがありつつ、リズム的にはドスドスいっているのが、私の曲らしくて。「アンチテーゼ」を作ってくださったすりぃさんもボカロPなんですけど、こういうタイプの曲をこれからも歌ってほしいというファンの方の声がたくさん届いてますし、私自身にとってもボカロ曲は身近な存在なので、今後も歌っていきたいと思っています。

── 次の「ミザントロープ」は、作詞が田中秀典さん、作曲・編曲がebaさんで、年齢感が高めの曲になっています。

夏川 1stアルバムに「キミトグライド」というバラードが入っていて、その曲をライブで歌ったとき、ほかの曲とはまったく違う世界観を出すことができたんですよね。それで今回もバラードを1曲入れたいなと思って作っていたのですが、この曲ができたことで、ライブ中盤のしっとりとしたパートが組み立てやすくなりました。

── タイトルの「ミザントロープ」はフランス語で「人間嫌い」という意味なのだそうですね。

夏川 はい。言葉の響きはかわいいんですけど、意味はかわいくなくて(笑)。それも私の楽曲らしいなと思いました。AメロBメロは主人公が見ている景色が思い浮かぶような情景的な歌詞になっているんですけど、サビに入ると感情がぐっと前に出てきて、ドラマチックになります。

── 人間嫌いと言いつつ、本心では人恋しいところがある主人公なのかなと思いました。

夏川 そうですね。これも「哀」の曲で、主人公の複雑な心情を想像しながら聴いていただきたいです。

── 続いては「ボクはゾンビ」。夏川さんの作詞、山崎真吾さんの作曲・編曲です。

夏川 山崎さんも私の楽曲をいくつも書いてくださっている、おなじみの方なんですけど、今回はちょっと方向性を変えてヒステリックな楽曲になりました。メロディもリズムもデコボコが多くて、感情が忙しく動く曲です。最初に聴いたときに私がイメージしたのはアメリカンコミック風の世界観で、ポップな曲でありながら、歌詞はもの悲しい内容になっているというのがいいなと思って、ゾンビをテーマに書いていきました。

── 主人公のうまく生きられない感じが、ゾンビにたとえられているんですよね。サビの最後で「どーせなら、噛み付いてなかま 増やすか?」という同じ歌詞が何度か繰り返されるんですけど、「なかま」と読ませる漢字が、曲が進むごとに「理解者」「被害者」「共犯者」と変化していきます。ここもアイデアに満ちた書き方だなと思いました。

夏川 曲とともにストーリーが進行していくイメージで書いていって、サビごとに主人公が抱いている感情が移り変わっていくんです。それを「なかま」と読ませる字が変わっていくことで、印象的に伝えたいなと思いました。1番は「なかま」=「理解者」で、誰かにわかってもらいたいという切実な思いがあって、2番は「なかま」=「被害者」で、周囲に対して攻撃的になってしまい、最後は「なかま」=「共犯者」で、もう開き直っている感じがありながら、自分と同じ人を見つければいいんだという希望を感じているんです。

── 「共犯者」がもっとも、なかまと呼ぶにふさわしい存在なのかなと思いました。主人公は、いい方向に進むことができたんだなと。

夏川 そうですね。主人公的にはハッピーエンドになっていると思います。

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