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面白くするために、迷ったり悩んだりするので必然的に制作は遅れる
── 「地球外少年少女」の後半では、未来が重要なテーマとなりますね。 磯 今の日本は、未来から目をそむけているように感じます。私たちの世代は、いわば“未来教”でした。しかし、信じていた未来がやってこないとわかった時点で解散したわけです。その反動なのか、ゆとり世代は今だけを信じる“今教”で、老人は“過去教”という感じではないでしょうか。そんな風潮の中で口にしづらいのですが、私はやはり希望をもって未来を描きたいと思いました。
── その葛藤に、ほかにはない磯監督らしさを出しているように思います。 磯 今の日本人は、変化を嫌っています。ネットやドローンなど、未来的なものは外の世界からやってくるだけで、日本は未来を生み出せない社会になりつつあります。「地球外少年少女」のキャッチコピーは、「未来からは逃れられない。」。これは作品の後半で、ある人物が口にするセリフです。どんなに目をそらしていても、いずれ未来は確実に訪れるということです。
── 物語の中で未来へ繋がるロジックをちゃんと組み立てて、安易な世代論にすり替えなかったのがよかったです。 磯 だけど、ことさらに強調しないかぎり、新しい世代に未来を託したい気持ちは自然なことだと思います。考え方の固まった大人を変えることはすごく難しいので、世代交代によって改善していく。世界には絶望的な状況が多いのですが、子どものときに適切な教育によって大人とは違う価値観を学び、次の世代から変えていく。結局は、次世代に未来を託すという結論になります。それは私なりに考えて選択した結果ですので、同じように迷ったり悩んだり遠回りする人たちに見てもらいたいです。
今はコストをかけずに、省力化して短時間に結論にたどりつくのが勝ちとされていますが、私たちの世代はまったく逆でした。私たちはがんばってムダな努力を重ねれば重ねるほどカッコいい……と、信じていた世代です。確かにムダに終わったことも多いので、そこから学んで若い世代は無駄を省いているのかもしれないけど、同時に可能性をも閉ざしているように見えるんです。可能性は、やっぱり捨ててはいけません。いっぽうの価値観を信ずるあまり、もういっぽうを見もせずに切り捨てることは危険だ、ということです。
── ところで、「地球外少年少女」は最初に企画が発表されてから随分と時間が経ってしまいしまたね。 磯 制作は、遅れるものです。単に遅れていたのではなく、面白くするために迷ったり悩んだりした結果なんです。もし順調に制作が進むのであれば、それほど悩んでいないわけだから、たいしたアニメにならない気がして、とことん拘ってしまうんです。
(取材・文/廣田恵介)
photo by Atsushi Fujimoto
作品情報
オリジナルアニメ「地球外少年少女」
・2022年1月28日(金)前編、2月11日(金)後編、新宿ピカデリーほかにて各2週限定劇場上映
・劇場公開限定版Blu-ray&DVD同時発売
・Netflixにて世界同時配信
<スタッフ>原作・脚本・監督:磯光雄
キャラクターデザイン:吉田健一
メインアニメーター:井上俊之
美術監督:池田裕輔
色彩設計:田中美穂
音楽:石塚玲依
音響監督:清水洋史
制作:Production +h.
配給:アスミック・エース/エイベックス・ピクチャーズ
製作:地球外少年少女製作委員会
<キャスト>相模登矢:藤原夏海
七瀬・バイコヌール・心葉:和氣あず未
筑波大洋:小野賢章
美笹美衣奈:赤﨑千夏
種子島博士:小林由美子
那沙・ヒューストン:伊瀬茉莉也 ほか
<主題歌>春猿火(KAMITSUBAKI RECORD)「Oarana」
作詞・作曲:Vincent Diamante
<上映劇場>【東京】新宿ピカデリー・MOVIX亀有・立川シネマシティ
【神奈川】川崎チネチッタ
【千葉】京成ローザ⑩
【埼玉】MOVIXさいたま
【愛知】ミッドランドスクエアシネマ
【大阪】なんばパークスシネマ
【兵庫】MOVIXあまがさき
【京都】MOVIX京都
<配信>Netflixにて世界同時配信(1-6話全話一挙配信)
http://www.netflix.com/orbital-children
(C) MITSUO ISO/avex pictures・地球外少年少女製作委員会