これぞ変形ギミックの宝石箱! 「機動戦士Zガンダム」の1/300サイコガンダムを組み立てて、無限のアイデアの本流に溺れよう!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第16回

2021年11月27日 11:000

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薄い板を外して付け直して、股間にフレームを通して……そして、立体パズルの楽園へ!


胴体に組み込む、よくわからない可動ユニットを組んで、いよいよ胴体の組み立てへ……って、ロボットの形に組み立てた後、あのピラミッドみたいな形に変形させるんだよね? もう、エベレストの頂上に登って、そこで逆立ちして降りてこいと言われてる気分ですよ。

▲ とりあえず、さっき組んだ可動ユニット「A」を上半身と下半身の裏側に接着する。見えづらいが、可動ユニット「B」は、両肩に取り付けてある。すると、胴体が腰から前後へ開いたり閉じたりすることになる

▲ 変な可動ユニットを組みこむのは、飽くまでも胴体の前面であって、後面はかなり普通だ。肩を受け止めるポリキャップを左右にはめ込んで、外れないように板で止めるだけ……と言いたいが、左右の肩にまたしても薄い板パーツを取り付ける。しかも、上下に可動するように

▲ 一刻も早く安心したいので、胴体の後面パーツに両足をはめ込んでみた。このまま胴体の前面パーツを接着すれば、とりあえずはロボットの形になるはずだ

しかし、いつもと違って、単純に頭と手足、胴体を組めば完成という甘いものではないのです。いろいろと付属パーツがあるのです。

▲ まずは、これ。「ヘッドカバーアーマー」と呼ばれるユニット。台形のパーツを左右から合わせるが、薄紫色の小さな板をはさむ。その板は接着しない。すると、板が上下にスライドする。このヘッドカバーアーマーは、背部に位置する

▲ そして、左腕につく巨大なシールド。これがまた、かなり不思議な構造。バスタブのように深くえぐれたシールドに板でフタをするのは分かるんだけど、板は接着してはいけないらしい。そして、2枚のシールドを合わせて1枚にするが、これも接着せずに取り外し可能とする

とにかく、全身いたるところに可動したり外したりできる板が満載なのはわかった。早くモビルスーツ形態を見たいので、頭(シンプルな前後分割)を組み立てて、胴体の前後を貼り合わせて、最初に組み上げた両腕を差し込んでみた。

▲ シールドが重たいので、左腕が内側に傾いてしまうが、スタイルは重厚で好感がもてる。スネ裏側の「シャフトギア」はフトモモと同じ色で、いかにも内部メカらしい雰囲気が出ている

では、飛行形態に変形させてみますか。ここから先は、完全に未知の領域です。いやー、一体どうなってしまうのか。

▲ まず、ここまでパーツを分解する。頭と手首は、これ以降は不要となる。だけど、両肩の小さな板、シールド、スネから下は再利用する。この写真では付いたままだが、首のすぐ下の突起も外せるので、これも外して再利用する

▲ 背中に位置する「ヘッドカバーアーマー」を頭の部分まで回転させる。その中の薄い板を引き出して、そこに胸の突起(この写真では外してある)をはめて、前腕の板を開いて、そこに肩に付いていた小さな板を組み合わせて、いちばんすごいのは胴体を前後に開いて、その隙間から股関節に長いフレームを取りつけるところ!

いやもう、ここまで部品を外して別の個所に付け直すのであれば、変形とは言えない気がするが、こんな面倒な構造よく考えたよなあ……驚異ですよ。圧倒的にすごい知性だ。金属シャフトで可動する肩を軸にして胴体を開き、長いフレームを中にくぐらせて股関節にはめ込んで、その左右にシールドを取りつける。もう芸術品ですよ、これは。

▲ シールドの組み換え作業。内側の板を外すのが、なかなか大変。外した板は、直角に位置するように付け直す。板を固定するために小さなスリットが設けてあったりして、本当に素晴らしい。アイデアの宝石箱だ

▲ スネは、内側のシャフトギアを動かして足首の前に位置するように、スライドさせる。そして、フトモモから突き出たジョイントを足首の穴へ差し込む。本当に、こんな力技のアイデア、どうやって考えついたのか……コンピューター付きブルドーザーかよ!

▲ で、できた! 頭のピラミッド的なシルエットを肩の左右の板が立ち上がって作り上げているという、前衛的なセンスがすごい。折り曲げた腕の前面に、板を斜めに立てているところもカッコいいし、頭が変になりそう

いやもう、大胆不敵というか、常識知らずというか、お行儀がよろしくないギミックのメガ盛り状態です。多分、もっと合理的にスッキリと変形させる賢い方法もあったのかもしれないけど、こんなワケのわからない神々しい神秘のカタマリを誕生させるため、ロボットのあちこちに板を取り付けて、もう強引にシルエットを変えてしまう。
「だから何なんだ!」「この形、この仕組みにどんな意味が?」と思うのだが、それが芸術ですよ。まあ、芸術じゃなくてプラモデル、玩具のはずなんだけどね……。いやあ、感動しました。皆さんもこのキットを探し出して、ぜひ組んで変形させて、心の内側から吹き出る壮大な感動に打ちのめされてください。ではまた来月、また面白いプラモを組み立てるよ!

(文/廣田恵介)

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