【TCGルポ】「この店にある天音かなたを全部ください」──秋葉原から店頭在庫が消え失せたヴァイスシュヴァルツ“ホロライブプロダクション”狂想曲をレポート

2021年10月22日 18:240

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2021年10月1日、TCG「ヴァイスシュヴァルツ」のブースターパック「ホロライブプロダクション」が発売された。

「ヴァイスシュヴァルツ」(以下、WS)はブシロードがリリースするトレーディングカードゲームであり、さまざまなアニメやゲームをモチーフとしたパックを発売。異なる作品のカードで組んだデッキ同士でも遊ぶことができる自由度の高さが魅力だ。今回のブースターパック収録のカードには、バーチャルYouTuber(以下、VTuber)事務所「ホロライブプロダクション」所属のVTuberたちが登場する。

 

そんなWS「ホロライブプロダクション」の発売日が、たまたま日本列島をかすめた台風16号とともに過ぎ去って数日、秋葉原界隈から「ヴァイスのホロライブがヤバい」という声が聞こえてきた。数日後に秋葉原を巡回してみたところ、店頭でのWS「ホロライブプロダクション」の扱いはゼロ。入荷なし……というわけではもちろんなく、いずれもすでに完売という状況だ。代わりに加熱していたのが低確率で封入される各VTuberのサイン入りカードの買取&販売で、観測範囲では一時期14万~15万円という買取価格すら見られた。これはあくまで買取価格であり、店頭に並ぶ時はさらに高額ということになる。

 

 ※画像はトレーディングカードゲームショップ193秋葉原店内


列島に台風が迫ったあの日、秋葉原で何が起こっていたのか。カードゲームショップを訪れて現場の店員さんに話を聞いてみた。

 

●トレーディングカードゲームショップ193秋葉原店

──WS「ホロライブプロダクション」発売日の様子はどうでしたか?

 

193スタッフ うちは早朝7時から販売したのですが、朝一で50名程度のお客様に並んで頂きました。一番前の方がシングル売りのサインカードを全部買っていくような状況でした。台風が近づく中、たくさんのパックをまとめ買いしてくださる方が多かったです。

 

──店舗では“未来へ一緒に 桐生ココ(HOL/W91-004SSP)”が15万円程度で販売されていました。高額カードの買取販売状況はどうですか?

 

193スタッフ うちは早い段階で買取告知を出したので、ツイッターのリツイート数はかなり伸びました。ただそちらの反響に比べると、サインカードの買取希望はそれほど多くなかったと思います。実はかなり動いているのがデッキを組むために必要な実用パーツでした。ブースターパックが買えない状況なので、カードテキストが強いカードが伸びています。

 

▲発売日朝にツイッターに掲出された買取価格表の一部。最高値は桐生ココと宝鐘マリンの140,000円(!)だ。(※発売日当日のものであり、現在の買取価格ではありません)

 

●トレカ専門店ドラゴンスター秋葉原店

──WS「ホロライブプロダクション」ブースターパックの初動の売れ行きはどうでしたか?

 

ドラゴンスター秋葉原店スタッフ パックの売れ行きがめちゃめちゃよかったです。発売日の時点で関西の店舗も含めて、予約の枠は全て埋まっていました。普段のヴァイスシュヴァルツタイトルの2倍~3倍は発注したと思うのですが、即日売り切れになってしまいました。秋葉原店では昼頃には完売しています。

 

──シングルカードの動きはどうでしたか?

 

ドラゴンスター秋葉原店スタッフ 秋葉原店の場合、10月最初の1週間で、9月の全シングルカード売上とほぼ同じぐらいの売上が出ています。サインカードの買取も多かったですが販売も多いです。今日だと白上フブキのSSP(参考価格8万5000円)を2枚買っていったお客様がいました。

 

──人気のカードはありますか?

 

ドラゴンスター秋葉原店スタッフ ホロライブさんは推しでデッキを組みたいという需要も大きいので、どのカードもよく動いています。印象に残ったのは、この店にある天音かなたのカードを買えるだけ買いたいというお客さんで、本当に全部お買い上げになりました。

 

※画像はトレーディングカードゲームショップ193秋葉原店内

発売1週間後の週末に改めて秋葉原を巡回してみたが、WS「ホロライブプロダクション」ブースターパックの店頭在庫は確認できず。前週に発売された「トライアルデッキ+ ホロライブプロダクション」にわずかな在庫が確認できたのみだった。サインカードの買取価格相場は最高100,000円前後に落ち着いたようだ(十分高いのだが、感覚が麻痺してくる)。

 

「ヴァイスシュヴァルツ」という人気タイトルとのシナジーで勝負できるシステム、そして封入率がレアなサインカードで価値を創出できるという特性が、ホロライブの爆発的人気とうまく噛み合ったということだろうか。

 

高額なシングルカードといえば思い出されるのが「ポケモンカードゲーム(以下、ポケカ)」。秋葉原でもポケカのシングルカード売場が近年大幅な拡大を見せているが、旧カードや女性キャラクターカードの極端な値上がりも注目を集めている。「マジック・ザ・ギャザリング」では、今では入手が難しいオールドカードが高騰を続けているのは有名なところだ。

 

対して「ヴァイスシュヴァルツ」の、今一番勢いのあるコンテンツの“推しのカードが欲しい”という欲望をエンジンにした完売祭りは、また違った現象に感じられる。TCG業界では売上的には「デュエル・マスターズ」「ポケモンカードゲーム」「遊戯王OCG デュエルモンスターズ」の三強がしのぎを削るという状況が続いているが、「ホロライブ」という強力なパートナーを得た「ヴァイスシュヴァルツ」が、今後、売上でどこまで三強に迫れるかにも注目したいところだ。

 

 ※画像はトレーディングカードゲームショップ193秋葉原店内

(中里キリ)

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