※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
高校生バンドに加わった女の子の葛藤を描いた、初めての長編小説
── 小説「さよならの空はあの青い花の輝きとよく似ていた」は、高校3年生の心音(ここね)という女の子が主人公です。彼女はギターの千景(ちかげ)と出会ったことで、同じ高校のメンバーで構成されるバンドにボーカルとして加わり、ともに音楽を作り上げていく中での心のやり取りが描かれていきます。この設定やストーリーは、どのように着想されたのでしょうか? みあ SNSで若いリスナーさんから、「今、高校3年生で進路を決めなきゃいけないんだけど、自分の未来をうまく想像できない」とか、「音楽に興味があるけれど、その道に一歩踏み出す勇気が出ない」といったメッセージをいただくんです。それに答えながら自分自身の人生を振り返ると、未来と初めて真剣に向き合って、進路を選択した時期が高校3年生だったなと。将来に対する不安と期待がないまぜになっていたというか、不安を打ち消すために無理矢理、将来の自分に期待をかけていたというか、とにかく複雑で繊細な気持ちの中にいたなあと思って。そこから、そういう季節のさなかにいて一生懸命に迷う男の子や女の子の姿を、音楽と絡めて書きたいと思ったところから、今回の小説が生まれました。だから、若い読者のみなさんにどのように受け取ってもらえるのか、楽しみであり緊張します。
── 枚数も多いですし、主人公だけでなくバンドメンバーみんなの心情がしっかりと描かれていて、読み応えがありました。 みあ 初めての長編小説だったので、1冊のボリュームに足りるだけの枚数を自分に書き切れるのかという不安があったんですけど、書き終わってみたら、当初に想定していた1.5倍くらいの長さになっていました。それだけ書きたいことが自分の中にあったんだなと思いました。
── ギターの千景を筆頭に、バンドメンバーは学校でも目立つタイプの男女が多いんですよね。 みあ あえてそういう設定にしたところがあります。楽しそうな学校生活を送っているように見える人たちにも、本当は誰にも言えない悩みや秘密があるということも、テーマのひとつでした。
── そんな人たちの中に、引っ込み思案なタイプの心音が入っていくんですよね。彼女に、みあさん自身の思いが一番投影されているように感じました。 みあ やっぱり書いていて一番感情移入するのは、主人公です。私自身、音楽をやっていく中で思いが空回りして、うまく声がでないことがあったりして。そのときのもどかしさや、やるせなさが、この小説の中にかなり投影されています。
── みあさん自身は、高校時代にバンドを組んでいたりしたんですか? みあ いえ、中学生のころに女の子同士でコピーバンドを組んだりはしたんですけど、千景たちのように曲を自作して、メンバーみんなでセッションしてアレンジを練り上げていくようなバンド経験はなくて、一種の憧れとともに、知らない世界を書いてみたいという気持ちがありました。ホリエアツシさんが「バンドセッションのシーンはちょっとプロっぽいけど、最近の高校生ならこれくらいできるから大丈夫」と感想を言ってくださったんですけど、高校生にしてはかなりテクニックがある人たちだと思います。
── 心音の父を筆頭に親世代もしっかりと描かれていて、そこもすばらしいと思いました。 みあ ありがとうございます。親世代も単なる背景にするのではなく、魅力的に描きたいという気持ちがありました。取材を受けていても、心音のお父さんのことを好きと言ってくださる方が多くてうれしいです(笑)。
── あれだけの長編を書き上げたとき、どういうお気持ちでしたか? みあ すごい達成感がありました。去年から少しずつ、三月のパンタシアの活動と並行して書き進めていたんですけど、書いても書いても先があるので、「これいつ終わるのかな?」と思っていました。そのうちに、ホリエアツシさんに主題歌を作曲していただくお話が動き出したので、早く書き上げないといけないというプレッシャーがありましたね。でも、最後は納得のいく結び方ができて、曲ができたときとはまったく違う高揚感がありました。
── 力作なので、ファンのみなさんはぜひ手に取っていただきたいです。