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かつて「ガンダム」に熱狂していた少年たちが、円熟した今だからこそ……
小形 『閃光のハサウェイ』の劇伴は、『機動戦士ガンダムUC』の澤野弘之さんです。あと、録音演出の木村絵理子さんも『ガンダムUC』から続投です。しかし、効果をふくめて音響全体のディレクション(音響演出)は、笠松広司さんにお願いしました。木村さんが宮崎駿監督の『風立ちぬ』(2013年)を録音演出したときと同じ組み合わせです。監督の意向をふくめて、音響の設計自体をこれまでとは変えています。物語の舞台が、宇宙世紀0100年代に突入しているからです。『ガンダムUC』からは10年近くが経過していて、主役ガンダムは2機ともミノフスキー・フライトを使っています。今まで視覚化されたことのないテクノロジーですから、音を変えるならここだろう、という考えもありました。
── 試写会では、音までは気にしませんでした。 小形 この作品はドルビーシネマが、100%のスペックを発揮する作品です。ドルビーシネマでの上映を前提とした音響設計ですので、アトモス環境で見ると、音の包まれ方が違います。私もドルビーアトモスは「天井にもスピーカーがある」程度に思っていましたが、驚きました。特に中盤の空襲シーンやラストの戦闘シーンは、クリストファー・ノーラン監督の映画を、IMAXで見るのに近い体験です。ですので、まずは普通の映画館で見てから次に4D、そしてドルビーシネマで鑑賞していただきたいです。スペックとしては、映画館でこそ鑑賞するのにふさわしい完成度になっています。
── 6月に『閃光のハサウェイ』、7月に劇場版『Gのレコンギスタ Ⅲ』「宇宙からの遺産」が上映されますが、連携を考えてのことですか? 小形 その公開タイミングになったのは、主にコロナウイルスの感染状況によります。しかし、『閃光のハサウェイ』を見てくれた新しいお客さんが、富野由悠季というクリエイターに関心を持ってくれるのではないか……。そういう期待はしています。
── 『閃光のハサウェイ』のターゲット世代は? 小形 現在、ガンダム作品のメイン層は30~40代半ばぐらい、団塊ジュニア世代です。私も、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を14歳のときに観た同世代です。昔から応援していただいた皆様の見る目が円熟してきたから、『閃光のハサウェイ』のような作品がつくれました。ただ、ガンダム作品を私たちの世代で独占すればいいとは思っていなくて、若い世代にどう継承していくのかが、我々の世代のミッションだと考えています。この『閃光のハサウェイ』も、洋画に興味を持ちはじめる小学校高学年から中学生くらいに、ちょっと背伸びをして観てもらいたいです。
── まだ『閃光のハサウェイ』は完結していませんが、今後のガンダム作品はどうなるのでしょう? 小形 宇宙世紀作品はもっとコンスタントに続けていきたいのですが、ガンダムシリーズは多様性があっていいと考えています。『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2015~17年)のような新しい世代のためのテレビ作品ふくめて裾野が広いことが、ガンダムシリーズの魅力だと思います。『閃光のハサウェイ』のようなハードな大人っぽい作品も『ガンダム』なら、SDガンダムだって『ガンダム』です。今、本広克行さんが総監督を務めている実写ドラマの『ガンダムビルドリアル』も配信されていますし、サンライズとLEGENDARY PICTURESと共同で企画しているハリウッドでの実写映画もあり、横浜には動く実物大ガンダムがあります。そうした状況の中で、『閃光のハサウェイ』のような質感のフィルムをサンライズがつくれたことには、とても意義があると考えています。実写版を軸にしながら、今後のガンダム作品がどうなっていくのか、日本だけでなく海外の展開も視野に入れつつ、5年、10年のビジョンを考えていかねばなりません。
(取材・文/廣田恵介)
(C)創通・サンライズ
作品情報
■映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
<公開情報>6月11日(金)全国ロードショー Dolby Cinema/ 4D同時公開
<キャスト>
ハサウェイ・ノア:小野賢章
ギギ・アンダルシア:上田麗奈
ケネス・スレッグ:諏訪部順一
レーン・エイム:斉藤壮馬
ガウマン・ノビル:津田健次郎
エメラルダ・ズービン:石川由依
レイモンド・ケイン:落合福嗣
イラム・マサム:武内駿輔
ミヘッシャ・ヘンス:松岡美里
ミツダ・ケンジ:沢城千春
メイス・フラゥワー:種﨑敦美
ハンドリー・ヨクサン:山寺宏一
<スタッフ>
企画・製作:サンライズ
原作:富野由悠季、矢立 肇
監督:村瀬修功
脚本:むとうやすゆき
キャラクターデザイン:pablo uchida、恩田尚之、工原しげき
キャラクターデザイン原案:美樹本晴彦
メカニカルデザイン:カトキハジメ、山根公利、中谷誠一、玄馬宣彦
メカニカルデザイン原案:森木靖泰
色彩設計:すずきたかこ 撮影監督:脇顯太朗
CG ディレクター:増尾隆幸、藤江智洋
編集:今井大介
音響演出:笠松広司
録音演出:木村絵理子
音楽:澤野弘之
主題歌:[Alexandros]
配給:松竹ODS事業室
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』Blu-ray情報
・公開劇場全館にて劇場限定版Blu-ray、数量限定発売!
公開劇場全館にて劇場限定版Blu-ray、数量限定発売! 劇場限定版特典として、小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』上巻(著者:富野由悠季/表紙イラスト:美樹本晴彦)と、録り下ろし朗読CD(小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』上巻/6枚組/総尺407分)が付属! その他、澤野弘之による劇伴を収録したオリジナルサウンドトラックCD、 2020年3月24日に開催された「GUMDAM FAN GATHERING -『閃光のハサウェイ』Heirs to GUNDAM-」や、『機動戦士ガンダムUC』の音楽を大迫力で感じられる「Hiroyuki Sawano / Project【emU】 “MOBILE SUIT GUNDAM UNICORN”suite」を収録した特典ディスクなど、豪華特典満載! 本編ディスクには、ドルビーアトモス音声を収録!
(C)創通・サンライズ