個人クリエイターと共同で小さなプラモデルを創りだす! 「キャビコ」ブランドを展開する金型メーカー、エムアイモルデが製品づくりの舞台裏を明かす【ホビー業界インサイド第70回】

2021年05月30日 10:000

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「自分の作品をプラモデル化したい」という野望をもったクリエイターたち


── チョイプラ第1弾のイグザインの次が、1/35スケールのロボット「IV号人型重機」のプラモデルです。これは、どういう経緯で開発されたのですか?

宮城島 IV号人型重機には、「NZ INDUSTRIAL」という商標表記が入っています。出会った当時、NZインダストリアルさんはガレージキットディーラーとして、ワンダーフェスティバルに5年間で計10回参加してコンテンツを育ててきた作家さんでした。自分の作品をプラモデル化したいという野望はあったけど、具体的にどうしたらいいのかわからなかったそうです。NZインダストリアルさんの作品はTwitterで知っていたので、ワンフェスのときに挨拶だけさせてもらいました。帰宅後に「金型屋の名刺があるじゃないか」と気がついたそうで、あらためてNZインダストリアルさんから連絡があり、お会いすることになりました。
「ここで出会ったのは運命だから、ぜひプラモデルをつくろう」「ウチは金型をつくれるし射出成形機で生産もできるけど、資金はどうする?」「クラウドファンディングで資金を集めよう」という話になりました。クラウドファンディングの主催は、NZインダストリアルさん。だけど、金型製造業者である我々がバックにつくことで、安心感を伝えようと考えました。私もPRビデオに出演して、「関わった以上、確実にいいものを作ります」とアピールしました。

── IV号人型重機のクラウドファンディングが成功するいっぽう、チョイプラの第2弾として「可動盆栽」が発売されますね。「ロボットじゃなくて盆栽のプラモ?」と驚きました。

宮城島 可動盆栽は、クレイマンというデザイナーさんの作品を製品化したものです。イグザインを発売してからクリエイターさんと交流ができて、クレイマンさんには私から声をかけさせていただきました。可動盆栽なら、形状がシンプルで製品化しやすいと考えたいっぽうで、ロボットに限定せず、ちょっと変わったアイテムがラインアップされていることでキャビコの可能性を広げられたら、という思いもありました。


── その後のチョイプラは、またロボット主体に戻りますね。「陸上自衛隊07式戦車 "なっちん"」、「クレオパトラ with オベリスクタワー」、「モータースーツ・アモデウス」……と、サイズが共通なだけで世界観はバラエティ豊かなんですよね。

宮城島 IV号人型重機の作者、NZインダストリアルさんは創作活動をしていく中で、ほかのクリエイターさんたちと個人的なつながりができて、戦友のような関係を築いていったそうです。なっちん、クレオパトラ、アモデウスの作家さんたちはNZインダストリアルさんの紹介です。無作為に製品化したのではなく、魅力的な作品かどうか十分に精査して、作家さんたちに声をかけさせていただきました。

── 「みかんかっぱ」だけ、ロボット路線から外れたかわいいチョイブラですね。

宮城島 みかんかっぱは、やはりワンフェスに参加して作品を販売している個人クリエイターさんの作品で、チョイプラより大きなサイズのソフビを販売されていました。原作者のYASUYUKI KOBAYASHIさんの本職は、ジュエリーデザイナーです。プラモデル化の提案はKOBAYASHIさんからで、クラウドファンディングもKOBAYASHIさんがご自身で立ち上げました。


── ということは、「キャビコでならプラモデル化してもらえるかも?」という認識が広がったということでしょうか。

宮城島 はい、一般での認知度は低いけれど、クリエイターさんの間で少しずつ認知されていく実感がありました。自分の作品をたくさんの人に見てもらいたい、いずれはマスプロダクションとして誰でも手に取れるように……という気持ちが、クリエイターさんの中にあるのだなと知りました。なっちん、クレオパトラ、アモデウスもクリエイターさんあっての製品で、そのラインアップが初期キャビコ大きな支えとなっています。

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