【インタビュー】コンセプトミニアルバム「off」、リリース。東山奈央にゆっくり休むときがやってきた？

タイトル曲「off」には、私が録ってきた本物の生活音が入っています

── 眠りにつく曲がアルバムのラストに来るということで、1曲目から6曲目まで流れのあるアルバムになっていますよね。

東山　まさに、お休みの1日を起床から就寝まで時系列でたどっていく1枚なんです。1曲目の「off」はピピピピッとアラームが鳴るイントロから始まり、2曲目の「プロローグ」で昼間に好きな人と会って「グー」で騒ぎ倒し、「シャンプーリンス」でお風呂に入って「Rhythm Loop」で感傷に浸りながら夜を過ごして、最後の「あした会えたら」でおふとんに入り、そしてまた朝を迎えるという。

── 1曲目の「off」は、□□□（クチロロ）の三浦康嗣さんの作詞・作曲・編曲です。曲のテーマは「日常の音に癒やされるoff」。アラームに始まり、生活音が曲の中にいろいろ入っているんですよね。

東山　アラームは効果音の素材を使っているんですけど、それ以外の生活音は全部、私の家で録りました。ちゃんとしたプロ機材のレコーダーを貸し出していただいて、「これから、ドアを開く音を録ります」と言いながら収録していったという感じですね。どの音がリズムとして映えるか予測がつかなかったのですが、三浦さんが「何も考えずに、自由に録っておいでよ」とおっしゃってくださって。私の家で普段生活しているときの音を、試しにいろいろと録ってお渡ししたら、それが見事にパーカッションの役割を果たしていました。私としては、聞き慣れた音がたくさん曲に入っていて、少し気恥ずかしいんですけど、すごいなって思いました。

── 生活音をリズム楽器として使うというのは、三浦さんのアイデアだったんですね。

東山　はい。でき上がった曲を、私は目をまん丸にして聴いてしまいました。生活音があんなに楽しい音楽に生まれ変わるなんて、私の身の回りのモノたちが命を得て踊っているかのようで、ワクワクを感じました。

── 朝のふわふわ感がありながら、リズムが立っていることで元気な曲になっています。ばっちり爽快な目覚めという感じですね。

東山　朝のルーティンをこなしながら、「今日はお休みだから、1日どうやって過ごそうかな？」って考えている歌詞なんです。これから楽しいことが待っているという期待感とともに、お休みならではのリラックス感があって、サウンド的にもすごく聴き心地がいい曲になりました。

── 最初の曲でもあり、アルバムタイトル曲でもあります。

東山　全6曲、どれもシングルのA面のようなつもりでとらえていて、アルバムリード曲をどれにするかというのは考えてなかったんですよね。でも、三浦さんの曲をいただいたとき、素直に「あ、アルバムのテーマ曲が来た」と思って。歌詞の中にも「オフ」という言葉がたくさん入っているし、楽曲もすごくキャッチーですし。それで、この曲でミュージックビデオ（MV）も撮ることになりました。

── どんなMVになりましたか？

東山　実は今回のミニアルバムでは、楽曲のMVは作らない予定だったんです。一泊二日の旅をBlu-ray Discに入れることにしていたので。でも、スタッフさんからの提案で、「off」でMVを作ってネットで公開することになりました。「いいアルバムになりそうだから、MVを作りましょう」と言ってくださったのがうれしくて、「もちろん、やりましょう！」と。みんなさらに忙しくなるけど、やりましょうと（笑）。

── 働くのが大好きな東山チームですね。

東山　大好きと一口言ってよいものかはわかりませんが、みなさんが前のめりになってくださるのはありがたいことです。 このインタビューの時点では、吉祥寺の街をブラブラ散策するシーンを撮って、今、編集をしていただいているところです。私にとってはリップシンクのない初めてのMVで、まさしく「off」な感じの映像になるんじゃないかなと思っています。晴れ女なので撮影日は天気がよくて、ポカポカと気持ちいいMVに監督さんが仕上げてくださると思います。