【インタビュー】楠木ともりの才能に注目!! 全曲をみずから作詞・作曲した、2nd EP「Forced Shutdown」が登場
「Forced Shutdown」は、周囲から自分を閉ざす時間を肯定する曲です
── 2nd EP「Forced Shutdown」は4曲収録されていて、全曲が楠木さんの作詞・作曲です(インストゥルメンタルを含めると8曲収録)。まずはタイトル曲の「Forced Shutdown」。どのような発想から作っていったんですか?
楠木 コロナ禍で人と直接会う機会は減ったけど、リモートやSNSで誰かとつながる機会は増えたと思うんです。それは便利ではあるんですけど、ひとりになれる時間、自分と向き合う時間が減ってしまったことに息苦しさを感じて。みんなとつながるのもいいんだけど、たまにはポジティブな意味で自分を閉ざす時間があってもいいんじゃないか、自分を守るため、自分を見つめるためにいったん閉ざしてみるという選択肢もありなんじゃないかということを曲にしました。
── 人とつながらずにいる時間を、肯定的にとらえた曲ということですね。
楠木 そうですね。顔を合わせられないから伝えたいことが伝わらなかったり、誤解がそのまま広がっていってしまったり、うまく人とつながり合えてないなと感じることも多くなって。そういうときこそ、周りからの情報を閉ざしてみたらいいんじゃないかなと思って。
── そういうふうに普段感じていることを、楽曲に落とし込んでいったわけですね。歌詞とメロディはどちらが先に出てくるんですか?
楠木 私は基本的に詞先で書いています。1番の歌詞ができたらメロディを付けて、できたメロディに2番以降の歌詞を付けていくという感じなんですけど、「Forced Shutdown」だけは少し作り方が違っていて。自分がふと思ったことや、普段思っていることを少しずつ書きためていって、それを歌詞としてブラッシュアップしていったんです。だから、書いている期間がほかの曲に比べて長くなりました。
── 作曲するときは、何か楽器を使うんですか?
楠木 いえ、歌いながら作っていきます。「Forced Shutdown」は人間がはらんでいる矛盾や、自分自身がわからなくなることが歌詞のテーマになっているので、メロディも先の展開が読めない感じにしたくて、サビに変拍子が使われている曲というイメージが最初に漠然とあって。そこから自分なりに耳なじみのいいメロディを、歌詞に付けていきました。
── そうしてでき上がった曲を、次はアレンジャーの重永亮介さんに渡して。
楠木 重永さんとはその際に編曲会議をして、楽曲のイメージとともに、こんなサウンドがいい、こんな楽器がいいという希望を私からお伝えしました。
── アレンジに関しても、楠木さんからしっかり自分のイメージを伝えているんですね。
楠木 今回のEPは全曲アレンジャーさんが違うので、どの方にも編曲会議で、こういうイメージですということをお伝えしたうえで制作していただきました。楽曲制作では、私はどの工程にも何かしらの形で関わっていて。、編曲会議はもちろん、ミキシングやマスタリングにも立ち会っているんです。さらに、MVやリリックビデオ、ジャケットのデザインまで、あらゆる行程で意見を言わせていただいて、自分の作品であるという自覚のもとに制作していきました。
── プロにまじって、それができるだけのスキルがあるということですよね。
楠木 周りのみなさんに支えていただきながらです!(笑)。それこそ曲作りを始めた3年前は、「マスタリングってなに?」みたいな状態で。そこからいろいろな方に、これはこういう作業で、こうしたいときはこういうやり方をすればいいと教えていただくことで、自分の理想とする音に近づけていく作業は楽しいなと思えるようになっていきました。
── それぞれの曲に楠木さんのこだわりが込められていると。
楠木 プロの方の技を見て、すごいなと思いつつ、自分がこだわりたいところはしっかりお伝えして、一緒に作っていける環境がすごくありがたいなと思います。たとえば、「Forced Shutdown」だったら、途中でラジカセを止めるカチッという効果音が入っているんですけど、それは重永さんに「この音をここに入れたいです」とお願いして入れていただきました。
── そうしてでき上がった「Forced Shutdown」はクールでかっこいい曲になっていました。
楠木 2nd EPに入っている4曲の中で、「Forced Shutdown」だけが書き下ろしの新曲なので、ほかの3曲ほど自分のイメージが言語化しきれなくて、重永さんにお任せした部分もありました。でも、1st EP「ハミダシモノ」では全曲の編曲をお願いした方なので、私の好きな音楽性をすごく理解してくださっていて。「Forced Shutdown」も最初にいただいたバージョンから完璧すぎるアレンジで、「いいです!」と叫んでしまいました(笑)。1st EPに続いて、重永さんにアレンジしていただいてよかったなと思います。
── 「Forced Shutdown」のMVについては、どんな感想をお持ちですか?
楠木 「ハミダシモノ」と同じ青木監督に撮っていただいたので、こちらもコミュニケーションがスムーズで。「ハミダシモノ」とはまた違ったかっこよさのあるMVにしていただけました。動きには指定がなく、自由演技で歌を表現しなければいけなかったので難しさはあったんですけれど。撮影しているうちに、こうしたいな、ああしたいなというアイデアが湧いてきて、それが枯渇しないまま撮影を終えられたのがよかったなと思います。
── 映像全体の雰囲気についても、楠木さんから監督に要請したことはあったんですか?
楠木 最初にMVの全体像のイメージをお伝えしました。それを元に監督が考えてくださった案はより広がりがあって。今回は「ハミダシモノ」と違って、私が映っていないカットもいろいろあって、意味深な映像を作ってくださったうえにインサートされるバランスもすごくよかったんです。カットがどんどん変わっていくのに、目が疲れず飽きがこないMVになったと思います。
── めちゃめちゃ大人っぽい映像でした。
楠木 ありがとうございます!
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