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そもそもですよ、どうしてバルディオスの両肩に山のような、積み木のようなおにぎりブロックが乗っているのか? このパーツは、合体前のメカ‟パルサバーン”の機体後部にある突起で、合体時に左右にスライドして、その真ん中から頭が出てくる。なので、けっこう印象に残るパーツではある(このおにぎりブロックからも武器が出る)。
だけど、ガンプラ的に関節フル可動を前提にすると、ロボット形態ではじゃまになる……ここが、スーパーロボットとガンプラ構造のプラモとの相性が悪い点なのかもしれない。では、このキットでは、どうやって可動機構の中におにぎりブロックを織り込んでいるのだろうか?
▲ 胴体パーツの内側に、すごく小さな穴があいていて、そこにおにぎりブロック側の細い軸をはめて、上下動させる。正攻法ですね。この方式で動かすなら、おにぎりブロック自体をもっと大きくしてもよかったんじゃない?
この時代の合体ロボは、合体前の各メカからロボット形態へ移行する段階で、手足の関節が蝶番でつながっていることを明かしてしまう。そこを、ロボット形態のみで模型化する場合、「実は、合体時にはなかった関節が手足の内部に仕込まれていました」と、解釈しなおすしかないのね。
だったら、固定ポーズで作画がいいときのバルディオスを模型にしてよ……と、やっぱり思ってしまう。さて、武器を見てみましょう。
▲ シールドは、もうお手のものですね。ガンダムそっくりのパーツ分割。手首の穴の部分にはめるだけなので、腕に密着させることも前に構えることもできる
▲ 胴体の前後で頭・手足・おにぎりブロックを挟んで接着すれば完成なので、いつの間にか形になってます。右手には、パルサーベルという剣を持たせてあります胴体の前後が薄いんですが、ブロック状のメカが折れ曲がって足になって合体したりするデザインであることを考え合わせると、どうしても縦横に広い平べったいロボットになってしまう気がします。
▲ あと、この武器! 上のシールドもそうだけど、劇中未登場だそうです。つまり、玩具化前提のロボットは、武器をとりあえず多く設定しておく=プレイバリューを高める、というわけですね。必ずしも、劇中に登場するとは限らないと
▲ アクションポーズは、こんな感じで。腕は外側に回転するし、肩のおにぎりブロックの位置はそのまま、腕も上げられます。各部関節の処理は、スマートでセンスいいと思う。こぶしの大きさも、割といい感じ
▲ おっと、忘れるところだった。脚部ミサイルポッドの可動も、この通り。最初は「何やねん、このギミック?」と驚いたけど、完成後は割といいアクセントとして、遊べるよ
「バルディオス」って、敵軍からスパイと疑われつつも味方側に参加する主人公の孤独という「蒼き流星SPTレイズナー」にも通じるような大河ロマンで、高年齢向けのハードな展開もある。しかし、その熱血ぶりと「レイズナー」の繊細さとは、好対照だよね。
「レイズナー」も「ガンダム」もそうだけど、サンライズ作品はロボットのルックスやシナリオ上での扱いに気を配って、世界観が破綻しないように気をつけていたんだな。その知的な雰囲気が、プラモデルとは相性がよかったんじゃない?
いっぽうで、「バルディオス」のような70年代風の荒々しい作品を値段なりの「模型商品」として成立させるにはどうすればいいのか? その行く先を考えさせられるよ、このキットを組んでいると。「リアル」「ミリタリック」だけがロボットプラモではないはずだよ。君は、どう思う? ではまた来月(連載が打ち切られなければ)!
(文/廣田恵介)