「鷲崎健、ついにステージへ!」ゴージャスな生音と彩り豊かな歌声が創り出す大人のアニソンライブ──「Animelo Summer Night II in Billboard Live」レポート

2021年03月23日 15:310
「鷲崎健、ついにステージへ!」ゴージャスな生音と彩り豊かな歌声が創り出す大人のアニソンライブ──「Animelo Summer Night II in Billboard Live」レポート

「アニサマ」発の配信ライブ「Animelo Summer Night II in Billboard Live」が2021年3月14日に開催され、オーイシマサヨシさん、大橋彩香さん、鈴木みのりさん、高槻かなこさん、早見沙織さん、ReoNaさん、鷲崎健さんらが出演した。

「アニサマナイト」は、“ちょっと大人な夜のアニサマ”をコンセプトとした配信ライブ。大人のアニソンファンが自宅でお酒片手にライブを楽しむことを想定し、実力派アーティストによる生バンドライブを「Billboard Live YOKOHAMA」より最高の音質で届けている。出演アーティストも大人の雰囲気の楽曲を多く持ちこんでいる印象だ。初開催は2020年8月30日。今般の状況により、リアルライブに制約がある状況だからこそ生まれた新しい形式のエンターテインメントライブと言えるだろう。

⇒ 最高の音響と空間から届ける配信ならではの“大人の”アニサマ──「Animelo Summer Night in Billboard Live」レポート

トップバッターを飾ったのは高槻かなこさんの「Anti world(King of Anison ver. )」。静寂の光の中に彼女が立つと、繊細なピアノと切なげに鳴くサックスが情感豊かな音を響かせる。歌声を前面に出したエモーショナルなアレンジは、彼女自身が綴った歌詞の世界がメッセージとなってすとんと入ってくる。落ちサビ、気迫のこもった「未来の光──!」のフレーズから、さらに歌唱と演奏がスケールを増して畳みかけていく様は圧巻だった。

 

今夏開催の「Animelo Summer Live 2021 -COLORS-」DAY3にも出演する高槻さんは、MCで「毎年Aqoursとして出演させていただきましたが、ソロでの出演は初めてです。アニソン歌手を初めてはや10年、高槻かなことしての歌をお届けできるようになって、夢をかなえてここにいられることを嬉しく思います」と想いを伝えた。

 

続いては、3月3日に高槻さんが発売したアニソンカバーシングル「King of Anison EP1」より「プラチナ」。同曲はTVアニメ「カードキャプターさくら」オープニングテーマ。ロックテイストのアレンジで、アーティスト・高槻かなこらしさを感じさせる力強いアニソンカバーに仕上がった。間奏やアウトロで、バンドが奏でるサウンドを全身で感じながら、本当に楽しそうに音に身をゆだねる高槻さんの姿が印象的だった。

 

 

鈴木みのりさんがステージに登場すると、ニコニコ生放送の配信では「ネギ」のギフトが待ち構える。これは彼女のデビュー曲が「ラーメン大好き小泉さん」の主題歌(「FEELING AROUND」)で、ネギがMVのキーアイテムになっていたことに由来する。同曲のようなアップテンポナンバーのイメージも強い鈴木さんだが、今回はしっとりとした「夜空」から。星空のような光の中でやさしい歌を紡いだ。「アニサマではネギだったり、手品をやったり、アップテンポな曲で盛り上がることが多かったのですが、今回はちょっと大人にしっとりな曲をお届けしていきたいと思います」(鈴木)。

 

「エフェメラをあつめて」は TVアニメ「本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません」エンディングテーマ。高らかなブラスサウンドが輝かしく響き、間奏のギターの音が粒だって踊る。生バンド隊もまたこの音楽を形作る主役であることを感じさせるサウンドだ。バックの音数を抑えた中のささやくようなやさしい歌声から、壮大に高まり広がっていくサビへのコントラストが鮮烈だった。

 

 

ここでステージには早見沙織さんが登場。早見さんと鈴木さんのコラボで歌うのはTVアニメ「カードキャプターさくら」エンディングテーマ「Groovy!」で、2人のコラボは3回目となる。腰の低い挨拶が人柄を感じさせる早見さんだが、いざ歌唱となるとパワフルでジャジーなニュアンスを感じさせる。出色だったのが「いつもある」のフレーズの「あーる!!」の響き。鈴木さんの楽しさが突き抜けるような心地よいハイトーンと、早見さんのちょっと巻いた感じのパワフルで情感重視の歌声。色の違うボーカルが響き合う様子は、これぞ生音でのコラボの醍醐味というべきものだった。

 

 

大橋彩香さんはエレガントな私服風の衣装で登場すると、「START DASH」を高らかに、かつパワフルに響かせる。ハイトーンの最高音とテンションの最高潮を更新していくようなパフォーマンスの中でのボーカルの安定感が確かな地力を感じさせる。

 

MCで「アコースティックな大人彩香で」と予告すると、TVアニメ「コメット・ルシファー」エンディングテーマ「ヒトツニナリタイ」をアコースティックバージョンで披露。落ち着いたピアノとともに想いのこもった歌声を紡いでいく。歌声の内圧を徐々に高めていっき、“孤独のはじまりと”のフレーズの余韻でスパッと切る感じが潔い。聴かせどころの“いとしさがとまらなくって”のかすかに吐息を含んだ感情表現の豊かさには聴き入ってしまった。ラストの大団円では大橋さんの「みんなも歌ってください!」の声に応えて、観客がコメント欄に「ノシ(手を振る表現)」と「ラララ」をいっぱいに並べて、気持ちを伝えていた。

 

 

大橋さんのコラボ相手のオーイシマサヨシさんが「エモーい!!」と叫びながらステージに登場すると、大橋さんのトークがとたんに親しみやすい「はっしー」になるのが微笑ましい。そしてオーハシアヤカ×オーイシマサヨシといえば、オーイシさんが楽曲提供した「シンガロン進化論」だ。歌声が弾み踊るようなハッピーな歌い出しはエモーションの塊で、頭上でクラップを打ち鳴らす大橋さんの笑顔がはじける。オーイシさんは大橋さんの歌声に寄り添いながら、コミカルな低音やシンガロングでパフォーマンスに厚みを与えてくれた。間奏でおどけてスイムするような振り付けを見せる2人の楽しそうな様子と、圧巻のサビの歌唱のコントラストが印象的なコラボレーションだった。

 

大橋さんのラストナンバーは「NOISY LOVE POWER☆」。ハッピーでハイテンションなボーカルが、笑顔あふれる「大橋彩香の音楽の世界」にステージを塗り替えていく。その世界を生バンドがバックアップ。高らかなブラスが最高に気持ちいい。生の歌と生の音が、配信越しでもこんなにも瑞々しくダイレクトにエネルギーを届けられる。音楽の力を感じるパフォーマンスだった。

 

その後、ステージ転換と換気等を行なう間、アニサマバンドが奏でるオシャレなBGMがいったん気持ちを落ち着かせてくれる。休憩中も空気づくりにぬかりがない感じだ。

 

 

後半戦はReoNaさんから。ささやくようなMCで挨拶すると、「魂に形ってあるんでしょうか、温度はあるんでしょうか。それはいつか、壊れてしまうものでしょうか」と、まずは語りで世界を形作っていく。彼女の代名詞ともいえるTVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」オープニングテーマ「ANIMA」をアコースティックバージョンで。重厚なピアノとアコースティックギター、そしてReoNaさんのむき出しのボーカルの三者が出会い、せめぎあうようなパフォーマンスだ。落ちサビ、無音の世界に絞り出すようなふるえる歌声の水面に、ピアノの清浄な音が水滴のように波紋を広げていく。怖いぐらいにドラマティックな演奏と歌声に感情をゆさぶられた。

 

「Disorder」は彼女が「神崎エルザ starring ReoNa」名義で歌唱した「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」劇中歌。こちらもアコースティックバージョンで、重厚なピアノの低音がどこか不安をかきたてるように物語を綴る。ピアノとギターの圧倒的な力量と、歌声が持つ世界の力に対する信頼を感じるパフォーマンスだった。観客がいない空間だからこそ可能な3つの個性の真剣勝負は、極めて強い世界観を持ったアーティストが配信ライブだからこそ見せられる表現を突き詰めたものに感じられた。

 

 

ドラムとピアノが紡ぐ大人の調べがいったん空気を落ち着かせると、早見沙織さんが再登場。「eve」ではトランペットが沈む陽の最後のきらめきのように眩く光る。彼女には、生バンド、そしてシャンデリア輝くBillboard Liveという環境自体が誰より似合う。まるで「早見沙織」のためにあつらえたような空間だ。「yoso」のオシャレなサウンド、そしてもはやアニサマナイトの代名詞にも感じるジャジーな「ESCORT」は早見沙織さんとアニサマナイトの組み合わせでしか表現できない音楽だ。「ESCORT」は心地のいい音の連なりが旋律となってなめらかに流れていく感じで、上質なジャズを聴いている感覚だ。メンバー紹介中のトランペットソロの圧倒的なテクニックに息を呑んだ。

 

そして圧巻だったのが、早見さんが披露したカバー曲の「オルフェンズの涙」だ。原曲はMISIAさんが歌うTVアニメ「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」エンディングテーマ。ゆったりと雄大で力強い歌声は、原曲へのリスペクトと彼女自身の表現を高い次元で両立させている。ラストの叫ぶような痛切な畳みかけにも圧倒された。歌唱中のコメントのギフトやコメントの少なさに対し、歌い終えた瞬間に爆発した拍手コメントの量に、本当にすごいものは人を黙らせるのだと感じた。

 

ステージにパトカーのサイレン音が響くと、オーイシマサヨシさんの「楽園都市」へ。ビッグバンド風のサウンドがどこまでもかっこよく、作品と楽曲が持つオシャレで乾いた世界観に金管の響きがマッチしていた。このスタイリッシュさと、MCでのコミカルさがシームレスにつながっているのがオーイシさんならではの個性だろう。

 

 

ここでステージには鷲崎健さんがサプライズ登場。鷲崎さんといえばアニサマの発表会などでもおなじみの当代一のMCだが、彼はソロで、そしてユニット・ポアロとして活動するアーティストでもある。MC中のジョークで鷲崎さんは、(オーイシさんが手がけた)「なんてカラフルな世界!」は、鷲崎さんが2015年にリリースした「What a Pastaful World ~なんてスパゲティ世界~」のパクリではないかと告発。オーイシさんは「元をたどればどっちもルイ・アームストロングの(「What A Wonderful World」の)パクリじゃないですか」と切り返した。

 

この流れで披露するのは、もちろん「What a Pastaful World ~なんてスパゲティ世界~」だ。同曲のMVでは特別参加した久保ユリカさんのキュートな姿が印象深いが、今回は高槻かなこさんがステージに参加。「ラブライブ!」つながりもちょっと意識した感じだろうか。楽曲が始まると、大橋彩香さんのギフトアイコンとして用意されたペペロンチーノ(彼女の好物だ)が画面を埋め尽くす視聴者とのコンビネーションが楽しい。楽曲の後半では右下のワイプ画面に大橋彩香さん本人が登場してペペロンチーノを食べ始める生演出もアニサマらしい遊び心だった。

 

鷲崎さんとオーイシさんが並んで歌ってみると、アーティストとしての顔と軽妙なMCのギャップが魅力的な新旧巨頭が並び立った感じだ。アニサマの発表会の司会などで長年貢献し続けてきた男が、アニサマの名がつくステージにアーティストとして初めて立った瞬間だった。特記しておきたいのは高槻さんとオーイシさんがハモったコーラスの存在感の大きさで、楽しく踊りながら、時にいたずらっぽい感情表現を交えてのコーラスは主役と言ってもいいほど。それも含めてステージ全体をエンターテインメントとして成立させているのが鷲崎さんのアーティストとしての懐の深さであるように感じた。

 

 

再びステージがオーイシさんのソロに戻ると、「世界が君を必要とする時が来たんだ」と「英雄の歌」と2曲のヒーローソングを披露。「英雄の歌」では画面がモノクロになり、同曲のMVの映像演出をリアルタイムで再現してみせた。配信ライブならではの見せ方だが、ここに視聴者が薔薇の花びらや、金の紙吹雪といった色のあるギフトを画面に表示。それはまるで意図した演出のようで、観客と一緒に作る信頼関係を感じた。MCでアニサマ初のトリを務めた感慨を伝えたオーイシさんは、「僕にとってのヒーローは、聴いてくれるみなさんです。そんなヒーローたちが活躍できる場所を作ってくれるのがアニサマだと思います」と語っていた。

 

ライブを締めくくったラストナンバーは、アニサマ2020-21テーマソング「なんてカラフルな世界!」。オーイシさんが今日の出演者全員──もちろん鷲崎さんも呼びこんで一緒に歌う大団円となった。印象的だったのはソロパートで各人が全力で歌唱の色を入れてくることで、高槻さんと大橋さん、早見さんと鈴木さんがそれぞれ向かい合って歌声を響かせ合った。ReoNaさんや早見沙織さんのような、自身の世界観の強いアーティストが楽曲に寄り添うのも新鮮で、早見さんの「そっか!」のストレートに伝わる感情表現が役者としての彼女を感じさせた。とことんカラフルで個性的な歌声が合わさってひとつのテーマソングを形作っており、全員で歌うテーマ曲の新しい見せ方であるように感じた。

 

 

最後は演者たちの「バイバーイ!」の声とエンディングロールとともに、2時間強のぜいたくなライブの時間は終了。ラスト2曲はヒーローたちへの想いを歌うモノクロの世界がカラフルな色を得て終わる構成だったが、今年の夏こそは、超満員のさいたまスーパーアリーナで「なんてカラフルな世界!」をともに歌えることを願いたい。

 
なお残念ながら「アニサマナイト2」を見逃してしまった方も、3/27(土)まで ニコニコ生放送で 【見逃し券】を発売中! 今から感動のステージをチェックしてはいかがだろうか?

(取材・文/中里キリ)

 

●Animelo Summer Night II in Billboard Live

2021.3.14 セットリスト

M01:Anti world(高槻かなこ)

M02:プラチナ(高槻かなこ)

M03:夜空(鈴木みのり)

M04:エフェメラをあつめて(鈴木みのり)

M05:Groovy! (早見沙織×鈴木みのり)

M06:START DASH(大橋彩香)

M07:ヒトツニナリタイ -Acoustic Ver.-(大橋彩香)

M08:シンガロン進化論(オーハシアヤカ×オーイシマサヨシ)

M09:NOISY LOVE POWER☆(大橋彩香)

M10:ANIMA -Acoustic ver.-(ReoNa)

M11:Disorder -Acoustic ver.-(ReoNa)

M12:eve(早見沙織)

M13:yoso(早見沙織)

M14:ESCORT(早見沙織)

M15:オルフェンズの涙(早見沙織)

M16;楽園都市(オーイシマサヨシ)

M17:What a Pastaful World ~なんてスパゲティ世界~(鷲崎健 feat. オーイシマサヨシ&高槻かなこ)

M18;世界が君を必要とする時が来たんだ(オーイシマサヨシ)

M19:英雄の歌(オーイシマサヨシ)

M20:なんてカラフルな世界!(高槻かなこ、鈴木みのり、大橋彩香、ReoNa、早見沙織、鷲崎健、オーイシマサヨシ)

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