衛のうさぎちゃんに対する想いは、どこか三石さんと重ね合わせて演じてます──劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《後編》公開記念!地場衛/タキシード仮面役・野島健児インタビュー

2021年02月10日 10:000

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時代、世代を超えて愛され続ける伝説的少女漫画「美少女戦士セーラームーン」が、25年の時を経てスクリーンに帰ってきた!

ちびうさとエリオスの“初恋”とセーラー戦士たちの“成長”を描いた〈デッド・ムーン〉編が前後編で映画化! 大ヒットとなった劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》が全国公開中で、《後編》は2月11日(木・祝)に公開される。

 

いよいよセーラー戦士が勢ぞろいし、クライマックスを迎える《後編》は予告編を観るだけでも大興奮! この興奮は、ぜひ劇場の大画面で味わっていただきたい。

そんな「美少女戦士セーラームーンEternal」のインタビュー連載の最後を飾るのは、地場衛/タキシード仮面役の野島健児さんだ。

 

 

今監督がOKを出せばOK! そういう安心感と信頼感があります

ーー劇場版が公開されると聞いたときは、どう思いましたか?

 

野島 劇場版を作るという話は、結構前に製作チームからうかがっていたんです。「美少女戦士セーラームーンCrystal」は配信から始まっているんですけど、かなり前の段階で「劇場版まで行くのでみんなでがんばっていきましょう!」という話があり、しっかりとそこまでたどり着けてしまう。この作品の力強さ、底力を目の当たりにしました。

 

それと僕は、もともと映画が好きなので、映画に対するテンションというか、どこか自分の中から自然と湧いてくるワクワクが止められないんです。「うれしい!」「本当に劇場版をやるんだ! 劇場でみんなと僕の声が聞けるんだ!」という喜びはありました。

 

ーー映画館の音響で、あの映像を見られる感動は大きいですよね。

 

野島 今回の映画も本当に迫力がありますからね! 僕が役者になるきっかけが「映画に出たい」という思いだったりするので、僕の原点でもある劇場作品に出られるというのは、感慨深いものがあります。

 

ーー野島さんの「美少女戦士セーラームーン」という作品に対する印象は、どんなものだったのですか?

 

野島 作品名はもちろん知っていました。ただ僕は男の子ということもあって、(90年代のアニメの)オンエアを観る機会はなかったんです。その中で出演のお話をいただいて、自分が演じる立場になった時に、周り(の関係者)からは「(作品の)空気感が前とは全然違う」という話を聞いて、どう違うんだろうと気になるところはありつつ、なんだか前作を観てはいけないんじゃないかという自分の中の思いがあったんです。

 

(観ることで)いい影響はきっとあるんでしょうけど、どこか観る勇気が出ない自分がいる。その勇気のなさって何だろうと考えてみたら、お芝居が影響を受けるということではないと思ったんです。

じゃあ何かと言ったら、女の子の世界……たとえば友達の家に遊びに行って、隣が妹さんの部屋だったらそこは入っちゃいけない領域じゃないですか。つまり僕にとって「美少女戦士セーラームーン」の世界って禁断の世界という印象で、乙女の世界だからけがしてはいけないという思いがあったんです。自分で演じることになって、今はその中に入れさせてもらっているんですけど、やっぱりけがすことがないように取り組んでいこうというのが、この作品に対して思う、僕の中の変なところなんです(笑)。

 

ーー確かに、姉や妹がいないと見てはいけないんじゃないかというところはあったかもしれないです。実際に女性の多くの方がハマっている作品でしたし。

 

野島 その世代の女性と話すと、誰もが知っていて、しかもみんな熱く語っていて、もう常識の世界ですよね。自分が男であることはうれしいんですけど、唯一女性だったらよかったのになって思うのは、そこです。女性だったら、「美少女戦士セーラームーン」を見て一緒に楽しめたのに!

 

現在、その作品に出ている僕は、ファンの女性以上に熱く語るべきだと思うけど、みんながそれだけ大事にしている作品だから、それを壊してはいけないという思いが先立ってしまって、どこかのめり込んでいくチャンスをずっと失ってしまっているような感じなんです。

それだけに、僕は僕の役をいかにまっとうするかに集中しています。

「美少女戦士セーラームーン」という作品を特別な存在として受け止める最初のチャンスを手にすることが90年代にはできなかったので、今の作品でそれを追いかけている感じではあります。

 

 

ーー今千秋監督の印象をお聞かせください。

 

野島 監督は、「美少女戦士セーラームーン」が本当に好きなんだということを体現している方です。もう、放っておくとセーラームーンのコスプレをして、そのままスタジオに来るような方ですから(笑)。実際にコスプレをしているのを見たことがあるんですけど、そのくらい「美少女戦士セーラームーン」を愛している方なので、アフレコの時も今さんがOKを出せばOKなんだなっていう、そういう安心感と信頼感は持っています。

 

ーー地場衛はこういう感じです、と言われたりすることはありましたか?

 

野島 90年代のアニメとの違いとして、今回は原作に準拠していくというコンセプトがあります。だから(90年代アニメ版の衛とは)少し違うかもしれませんという話があったんですけど、「前作は観ていないんです」と言うと、「だとしたら大丈夫です!」と言ってくれて。彼の王子様的な美しさとか、芯があるところなど、大事にしていくべき部分は共通認識として確認させていただきました。

 

 

三石さんが「ここは『美少女戦士セーラームーン』の世界」というのをパッと作ってくださるんです

ーー《前編》のアフレコでは、みなさんと一緒にアフレコができたとうかがっていますが、どんな印象の現場でしたか?

 

野島 わりとセーラー戦士は揃っていたかもしれませんね。僕は病に臥している立場だったから、アフレコのことを思い出すのに、少し記憶を取り戻さなければいけないんですけど……(笑)。

 

 

ーー戦いの役に立っていないことを気に病んでいたというのは、三石(琴乃)さんなどからうかがっています。

 

野島 そうですね(笑)。役の上ではずっと足手まといというか、うさぎ(スーパーセーラームーン/月野うさぎ)の役に立てていないんですよ。「美少女戦士セーラームーンCrystal」の時から思っていたんですけど、今回特にみんなでがんばらなければいけないときに、急に病になってしまって……。しかも「帰ってくれ!」みたいにきつい言葉を言って、うさぎと距離を取ろうしてしまう。

心配かけまいとして、最善の道は何かと模索するんですけど、そういう気遣いってなかなかできないことだと思うんです。自分がそういう立場になったときにどういう選択をするかと考えたら、僕はわりと全部話してしまうタイプなんです。

「今、病気でやばいかもしれない、でも心配しないで自分で治すから」って。

でも衛って、そういうことをしないんですよね。さらにその先の相手のことを気遣っているところがあって、その繊細さは女性的だなと思ったんです。もともとこのシリーズに関しては、一貫して「衛はヒロイン」だと思っているんですけど、《前編》を演じるにあたって、さらにそれを強く感じましたね。

 

そしてその中でうさぎも、ちゃんと距離を取って心配をしながら、私が迷惑をかけてはいけないという思いで衛を見守ったり、できることがないかと模索する姿は、これまで見られなかった彼女の成長を感じられました。その成長を感じながら、僕も演じさせていただきました。

 

ーー今回の三石さんとの共演では、どんなことを感じられましたか?

 

野島 《前編》の収録時、衛を演じるのは久しぶりだったので、役になじむまで時間がかかるかなと思っていたんですけど、スタジオに入ってみんなの顔を見て、そこに三石さんが……うさぎがいると思うと、そういった不安感から解放されたんですよね。「大丈夫!」と思えたんです。

つまり、三石さんが「ここは『美少女戦士セーラームーン』の世界」というのをパッと作ってくださるんです。三石さんがいることで、僕も含めてみんなが安心してそれぞれの役に入っていけるという不思議な連帯感が生まれる。やっぱりリーダーだなと思います。

 

ーーずっと「美少女戦士セーラームーン」を背負ってきていますからね。

 

野島 そうですよね。いったい何年背負ってきているんでしょう。僕は恋人役なのでうさぎちゃんを意識するんです。ただ、野島健児よりも全然年下のキャラクターだし、かわいらしいなと思うところはあるけど、その中に含まれる“憧れ”のような感情を生み出すのは、僕の中でなかなか難しい部分があるんです。

 

でも、三石さんに対しては尊敬していますから、“憧れ”の感情を持つことは容易なので、アフレコのときに、衛のうさぎちゃんに対する大事にしたい気持ちとか恋する想いは、どこか三石さんと重ね合わせて演じさせてもらっているところはあります。

 

 

《後編》では衛も成長していくので、その姿もぜひ見ていただきたい

ーー《前編》の感想を教えてください。

 

野島 ポイントになってくるのは、デッド・ムーンサーカス団のアマゾネス・カルテットですよね。敵なのに何であんなにかわいいの?って(笑)。戦わなければならないのがもったいないという印象のあったサーカス団ですけど、楽しさとその裏の怖さ──光と影みたいなのがはっきりしていましたよね。そしてそこに加わってくる、バラエティに富んだアマゾン・トリオ。よくもまぁこんなにバラエティに富んだ敵を集めてきたなと思いました。本当に見事な演じっぷりでしたよね。

なかでも、注目はホークス・アイ(CV.豊永利行)ですよね。ハーブのお店を持つという夢を一瞬でもかなえることができたと言っていて、敵なのに?って思いました。もっと「やっつけた! やったー!」って思わせてよって(笑)。すごく切なかったです。

 

そうやって泣ける要素もありましたし、思いがけないところで笑わせてももらいました。水野亜美ちゃん(スーパーセーラーマーキュリー:CV.金元寿子)の画家のお父さんから来た絵ハガキに、かなりエキセントリックな魚の絵が描かれていて、これを娘に送るか? どういう心情で送ったんだろうってちょっと心配になりました。そういう細かいツボやツッコミどころがいろいろありましたね。そのおかげで退屈させないし、いろんな面白さが散りばめられている映画だなと感じました。

 

あと、エリオス(ペガサス:CV.松岡禎丞)という存在も謎すぎて! 彼も出てきた時に、洗いざらいしゃべってくれればいいのに、なかなか素性を明かしてくれないんですよ(笑)。ちびうさちゃん(スーパーセーラーちびムーン:CV.福圓美里)の前に、急に人間体で現れたかと思うといきなりのキスですよ! どうですか? ちびうさちゃんを安心させるためにいきなりキスをするというのは、なかなかずるい登場の仕方だなと思いました(笑)。彼の存在は《後編》でも大きなキーになってくるので、期待していてください。

 

 

ーーでは、その《後編》の注目ポイントはどこになりますか?

 

野島 《後編》はオールスターなんです。全ヒーローが登場するみたいな感じです。キャスト表を見ただけでもすごいと思ったので、これは期待していただいて間違いないです!

 

衛はこれまで鬱積してきた自分の立場、自分の弱さ、うさぎを守ってあげられない思いからやっと解放されて、自分のやるべきことと、自分の本当の強さを見つけていくんですね。そういう意味では、衛の成長が描かれていきます。

《前編》ではうさぎちゃんたちセーラー戦士たちが成長していく姿が見られたけど、《後編》で衛も追いかけて成長していくので、その姿もぜひ観ていただきたいなと思います。

 

あとはやっぱり大画面で、変身シーンの美しさ、音楽の迫力も味わっていただければと思います! 

 

 

(取材・文・撮影/塚越淳一)

【作品情報】

■劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》/劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《後編》

公開日:前編2021年1月8日(金)、後編2021年2月11日(木・祝)

 

<キャスト>

三石琴乃 金元寿子 佐藤利奈 小清水亜美 伊藤静 福圓美里 野島健児 皆川純子 大原さやか  前田愛 藤井ゆきよ 広橋涼 村田太志 中川翔子 松岡禎丞 渡辺直美 菜々緒

 

<スタッフ>

原作・総監修:武内直子

監督:今千秋

脚本:筆安一幸

キャラクターデザイン:只野和子 

アニメーション制作:東映アニメーション/スタジオディーン

配給:東映

 

<主題歌>

「月色Chainon(シェノン)」

ももいろクローバーZ with セーラームーン(CV:三石琴乃)&セーラーマーキュリー(CV:金元寿子)&セーラーマーズ(CV:佐藤利奈)&セーラージュピター(CV:小清水亜美)&セーラーヴィーナス(CV:伊藤 静)

作詞:白薔薇sumire 作曲:小坂明子 編曲:月蝕會議

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