日中のリア充に必要なものや価値観の違いも話題になる、中国の1月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

2021年02月07日 12:001

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

「弱キャラ友崎くん」から、日本と中国の価値観の違い、「リア充」と「現充」の違いについて考えてしまう人も


中国のオタク界隈では、今年の1月の新作アニメは、内容に関する議論が妙に盛り上がっている感があるそうですが、なかでも大きな議論となっているのが「弱キャラ友崎くん」だそうです。

「弱キャラ友崎くん」の序盤を大雑把に説明すると、
「人生はクソゲーと言い放つ陰キャでありながら、作中世界で大人気のゲームでランキング1位をキープする凄腕ゲーマーの顔も持っている主人公が、ある日オフ会で会ったランキング2位のゲーマーが実は同じクラスの、何かと完璧なヒロインだと判明。さらに、そのヒロインから主人公の生き方を否定されるものの、同時に『リア充』になる手法を提示され、リア充を目指していく……」
といった展開なのですが、その際にヒロインが否定する主人公の生き方や、作中で提示される主人公の目標である「リア充」に関して、中国のオタク界隈では結構な反発や、理解できないという反応が出ているという話です。

聞くところによると、近頃の中国のオタク界隈では日本の「リア充」から来たとされる「現充」(現実充実)という言葉が使われており、日本語の「リア充」の訳語に関しても「現充」とされるのが一般的だそうです。
しかしこの「弱キャラ友崎くん」のアニメを見た結果、これまで中国のオタク界隈で何気なく使われていた「現充」に関して、実は日本の「リア充」との間には無視できない違いがあるのではないか……などといった方向で疑問が生まれ、イロイロな考察が行われたりもしているそうです。

また作中で提示される「リア充を目指す」という目標に関しても、作中の日本の学校生活におけるリア充像が中国の感覚からは「リアルの生活が充実している」ように見えないということで、作品の中で正しいとされる価値観に関しても議論の的になっているそうですし、そこから日本の学校生活事情における価値観に関する考察なども行われているのだとか。

この辺りに関して中国のオタクな方から話を聞いたりするなどしてみましたが、中国でこういった受け取り方になることに関しては
「日本と中国ではリア充になるために必要とされるものが違う」
というのが理由として大きいのではないかという意見が出てきました。
中国では「現充」になるためにもっとも必要とされるのは「お金」であり、お金があればモテるし、他人から憧れられるような生活ができる。逆に言えば、お金がなければ「現充」にはなれないといった認識が強いといった話もあるそうです。

これは現在の中国社会の事情も影響しているそうで、中国では小さい頃から何かと「お金の有無」が意識される環境になっていますし、学生時代に関しても、建前として一定の平等さが維持され、学生時代特有の価値観が構築されている日本の学校生活とはさまざまな部分が異なります。
そのため、「弱キャラ友崎くん」の作品内で提示される「日本の学校のリア充」やそれを目指すために頑張るという展開に違和感を覚える人も出ているのではないか……といった話も教えてもらいました。

またそれに加えて、主人公が「大人気ゲームのランキング1位の凄腕ゲーマー」という設定も、あえて学校内のリア充を目指すことに関する疑問につながっているそうです。
中国ではeスポーツ(e-Sports)が日本と比べて大きく盛り上がっていて、eスポーツの強豪選手はわかりやすい「現充」的な存在ですし、「ゲームが強ければ性格などのほかの部分がダメでも人生の勝ち組になれる」というイメージも強いのだとか。
そんなわけで、作中における主人公の扱いやステップアップのための行動方針に関して、逆に非現実的に感じられてしまうところもあるそうです。

もちろん中国のオタクな人たちも日本と中国ではeスポーツの扱いが違うことや、原作が始まったのが2016年なので、現在とは事情が異なるといった情報は知っているそうですが、それでも中国の感覚では「強過ぎる」とすら思えるスキルを持った主人公が、作中の価値観に合わせてわざわざ学校生活におけるリア充を目指すという展開には違和感が生じてしまうとのことです。

「弱キャラ友崎くん」に関して中国のオタク界隈からは
「番組が始まる前は、推しヒロインをめぐる争いで熱くなるのかと思っていたのに、始まってみれば価値観の問題に関して熱くなるとは完全に予想外だった」
などといった話も聞こえてきます。
またそれと同時に
「今の日本社会の若者の悩みや迷いを理解する材料となりそうな興味深い作品」
といった評価も出ているそうですし、「弱キャラ友崎くん」は、中国のオタクな人たちにとってイロイロな意味で考えさせられる作品になっている模様です。


(文/百元籠羊)

画像一覧

関連作品

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~(第1クール)

無職転生 ~異世界行ったら本気だす~(第1クール)

放送日: 2021年1月10日~2021年3月21日   制作会社: スタジオバインド
キャスト: 内山夕実、杉田智和、小原好美、加隈亜衣、茅野愛衣、森川智之、金元寿子、Lynn、会沢紗弥、浪川大輔
(C) 理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

弱キャラ友崎くん

弱キャラ友崎くん

放送日: 2021年1月8日~2021年3月26日   制作会社: project No.9
キャスト: 佐藤元、金元寿子、長谷川育美、茅野愛衣、前川涼子、稗田寧々、島﨑信長、水野駿太郎、岡本信彦
(C) 屋久ユウキ・小学館/「弱キャラ友崎くん」製作委員会

蜘蛛ですが、なにか?

蜘蛛ですが、なにか?

放送日: 2021年1月8日~2021年7月3日   制作会社: ミルパンセ
キャスト: 悠木碧、堀江瞬、東山奈央、石川界人、小倉唯、喜多村英梨、奥野香耶、田中あいみ、榎木淳弥
(C) 馬場翁・輝竜司/KADOKAWA/蜘蛛ですが、なにか?製作委員会

ホリミヤ

ホリミヤ

放送日: 2021年1月9日~2021年4月3日   制作会社: CloverWorks
キャスト: 戸松遥、内山昂輝、山下誠一郎、小坂井祐莉絵、岡本信彦、M・A・O、近藤玲奈、山下大輝、福山潤、八代拓、千葉翔也、麻倉もも、小野大輔、茅野愛衣、寺崎裕香、金元寿子
(C) HERO・萩原ダイスケ/SQUARE ENIX・「ホリミヤ」製作委員会

はたらく細胞!!

はたらく細胞!!

放送日: 2021年1月9日~2021年2月27日   制作会社: david production
キャスト: 花澤香菜、前野智昭、小野大輔、井上喜久子、長縄まりあ、能登麻美子、小林裕介、石田彰
(C) 清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

はたらく細胞BLACK

はたらく細胞BLACK

放送日: 2021年1月9日~2021年3月20日   制作会社: ライデンフィルム
キャスト: 榎木淳弥、KENN、日笠陽子、Lynn、内山夕実、鳴海崇志、久保ユリカ、津田健次郎、椎名へきる、ブリドカットセーラ恵美、平川大輔
(C) 原田重光・初嘉屋一生・清水茜/講談社・CODE BLACK PROJECT

転生したらスライムだった件 第2期 第1部

転生したらスライムだった件 第2期 第1部

放送日: 2021年1月12日~2021年3月30日   制作会社: エイトビット
キャスト: 岡咲美保、豊口めぐみ、前野智昭、古川慎、千本木彩花、M・A・O、江口拓也、大塚芳忠、山本兼平、泊明日菜、小林親弘、山口太郎、福島潤、田中理恵、日高里菜、春野杏、櫻井孝宏
(C) 川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会

Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season 後半クール

Re:ゼロから始める異世界生活 2nd season 後半クール

放送日: 2021年1月6日~2021年3月24日   制作会社: WHITE FOX
キャスト: 小林裕介、高橋李依、内山夕実、水瀬いのり、村川梨衣、新井里美、子安武人、岡本信彦、天﨑滉平、名塚佳織、高野麻里佳、田中あいみ、能登麻美子、坂本真綾
(C) 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活2製作委員会

呪術廻戦

呪術廻戦

放送日: 2020年10月2日~2021年3月26日   制作会社: MAPPA
キャスト: 榎木淳弥、内田雄馬、瀬戸麻沙美、小松未可子、内山昂輝、関智一、木村昴、日野聡、釘宮理恵、井上麻里奈、赤﨑千夏、松岡禎丞、中村悠一、黒田崇矢、津田健次郎、山谷祥生、日笠陽子、麦人、三石琴乃、中田譲治、遠藤綾、林勇、徳井青空、櫻井孝宏、千葉繁、田中敦子、島﨑信長、浪川大輔、檜山修之、山口勝平、稲田徹、羽多野渉、諏訪部順一、黒沢ともよ、早見沙織
(C) 芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

コメント(1)
ぼぶ_0916ぼぶ_09162021/02/07 14:24

この記事面白かったです! 百元籠羊さんありがとうございます! 弱キャラ友崎君に関しては日本人の一部の人も違和感を覚えている人はいます。私もその一人です。eスポーツにでることのできる才能があってそこで輝けばゲーム好きな女性にモテるはずなのに、学校でのリア充を目指すというのは矛盾してると感じるのです。日本のアニメにおける学校のリア充は「運動部」「彼女もち」「イケメン」などがあげられますね。現実のリア充は「彼女もち」であればいいです。彼女がいるのは最低条件ですね。お金持ち要素は日本ではリア充にはならず有能な存在として扱われる気がします。 無職転生が中国で人気なのはとてもうれしいです。主人公最強系が人気なんですね!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連記事