「バットマン」、「スター・ウォーズ」……世界中のオモチャコレクターたちの熱い魂に触れられるカフェ「東京ToyCafe」に行ってみた! 【ホビー業界インサイド第67回】

2021年01月09日 12:000

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「バットマン」も「スター・ウォーズ」も、日本で作られた“和物”グッズが熱い!


上田 チップ・キッドさんという、村上春樹さんの本の装丁を手がけた著名なブックデザイナーがいます。そのチップさんが「Bat-Manga!: The Secret History of Batman in Japan」というアート本を、2008年に出したんです。その本で明らかになったのは、1966年に出版されていた日本だけの「バットマン」の漫画で、その漫画は桑田二郎さんが描いていました。

── 「8マン」で有名な漫画家ですね。

上田 桑田さんは「少年画報」や「少年キング」に1年間だけ「バットマン」の漫画を連載していて、その間だけ和製の「バットマン」グッズも発売されました。チップさんのアート本で忘れられていた和製「バットマン」グッズが何十年ぶりかに日の目を見て、僕も収集しました。お店では、とっかかりのよさを考えて1989年の映画版のグッズを目立つように置いていますが、和物の「バットマン」グッズはもうひと部屋分ぐらいあります。
それだけではなく、桑田さんが昨年夏に亡くなる前、インタビューすることができました。また、チップさんのお宅におじゃましたり、電話インタビューしたりもしました。それらの取材は、「東京Toy Guy」というドキュメンタリー映画にまとめてあります。チップさんがすごいのは、48年ぶりに桑田さんに「バットマン」の絵を描いてもらったことです。4枚描いてもらったと聞いて、そのうち1枚は僕が買いとりました。ですから、このお店で、和製「バットマン」だけの展示をやってもいい。お菓子のパッケージだけの展示も面白いし、何か企画を考えている人がいれば、一緒にやりたいです。


── 和物といえば、「スター・ウォーズ」は日本でもオリジナルの玩具やお菓子が出ましたよね。1978年の公開当時はダサいと思っていたのですが、このお店にもいくつかありますね。

上田 和物の「スター・ウォーズ」グッズに関しては、いまは価値観が逆転してます。「レトロかわいい」「ダサいのがカッコいい」といった感じに、再評価されています。外国人が絶対にやらないような日本独自のデザインセンスなので、和物「スター・ウォーズ」グッズだけを熱烈に集めている方もいます。

── そういう個人のコレクションは、どうすれば見られるのでしょうか?

上田 2019年、丸ビルの行幸地下ギャラリーで、個人の所有する「スター・ウォーズ」グッズを集めて展示した公式イベントがありました。また、玩具メーカーのホットトイズさんが「バットマン100%ホットトイズ」というイベントを2016年に開催して、新旧のオモチャを展示したこともありました。だけど、そういう公式のイベントは、一過性のものでしかありません。常設展示とまでは言わないけど、誰もがいつでも来られて、日常的にコレクションを見られる場所がつくれないか……という思いもあって、この「東京ToyCafe」を始めました。
このお店は2年限定で、その先、僕のコレクションがどうなるかわかりません。この場所は目黒区ですから、たとえば「めぐろパーシモンホール」の倉庫にコレクションを寄贈して、以前のように「スター・ウォーズ」の歌舞伎を上演するなら、その期間中だけでも展示するようなことはできないだろうかと考えています。日本はクールジャパンと称してポップカルチャーを推そうとしているわりに、個人やお店に頼っているように見えます。きちんと保存して、オリンピックの横でポップカルチャー展を開催するときに展示するとか、コレクションをぐるぐる回していく仕組みをつくっていくべきと思います。日本のコレクターはこんなにきれいにオモチャを保管しているし、いつでも貸し出せます……と、世界にアピールもできますよね。
アメリカでは、そういう体勢がしっかりしています。自分が所属していた大学にコレクションを寄贈するとライブラリーに保管してくれて、美術館にリースしたりしています。僕が無知なだけで日本にも同じようなシステムがあるのかもしれませんが、オモチャに関してはまだまだではないでしょうか。北原照久さんが個人的に取り組んでいるぐらいですよね。
たとえば「バットマン」は、映画「バットマン ビギンズ」に渡辺謙さんが少し出演していたぐらいで日本とはゆかりが薄いかもしれないけど、実は桑田二郎という日本人アーティストが「バットマン」を描いていた……そういう切り口の展示でも構わないから、自分たちの文化を大切にしてほしいんです。

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ニンジャバットマン

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上映開始日: 2018年6月15日   制作会社: 神風動画
キャスト: 山寺宏一、高木渉、加隈亜衣、釘宮理恵、子安武人、田中敦子、諏訪部順一、チョー、森川智之、三宅健太、梶裕貴、河西健吾、小野大輔、石田彰、大塚芳忠
BATMAN and all related characters and elements (C) & TM DC Comics. (C) 2018 Warner Bros. Entertainment All rights reserved.

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