今世紀の中国のオタク界隈、業界に大きな影響を与えてしまった十大作品【中国オタクのアニメ事情】

2021年01月01日 12:000

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涼宮ハルヒの憂鬱


日本でも「涼宮ハルヒ」という作品の人気や影響については非常に大きなものがあるかと思われますが、中国のオタクの歴史においても極めて重要な作品となっています。
「涼宮ハルヒ」のアニメが巻き起こした世界中での盛り上がりは、中国本土にも入って当時の若者に衝撃を与え、「オタク」というものが強く意識されることになりました。またさらにそこから「自分たちの世代のカルチャー」としてアニメやマンガ、ゲームにラノベといったオタク系コンテンツが注目される流れも生まれました。
ている作品ですね。

00年代半ば頃の中国オタク黎明期においては、「涼宮ハルヒ」が話題の中心で、当時の中国では「涼宮ハルヒ」がオタクとして掲げる看板的な作品にもなっていました。中国のオタクの上のほうの世代は、面白い作品に対するオタクとしての盛り上がり方をこの「涼宮ハルヒ」を通じて学んだ……といった面もあったようです。

また今回の記事をまとめる際に相談した古参の中国オタクの方からは
「涼宮ハルヒに関して今振り返って考えてみると、当時まだ用語自体は広まっていなかったいわゆる中二病的な感覚を中国に広めた作品でもあったように思います」
という指摘もありましたし、オタク的な感性や楽しみ方の基礎に関して非常に大きな影響を与えていたようです。

そういった諸々の影響や、中国における「涼宮ハルヒ」前後の変化を考えていくと、中国のオタクの歴史が本格的に始まったのは「涼宮ハルヒ」からと言っても過言ではないかと思われます。


銀魂


中国で人気になった日本の作品は数あれど、「今世紀の中国の国産コンテンツに影響を与えた」という方向で考えた場合、もっとも大きな影響を与えたのは「銀魂」ではないかと思われます。
現在の中国の娯楽コンテンツでは、日本の「ツッコミ」的な意味やスタイルに対して使われることが多い「吐槽」(tucao)というものがあります。「吐槽」要素のある作品では、キャラがしゃべりまくってそこら中にツッコミを入れて……といった形になっていることが多いのですが、この概念を中国に広い範囲で定着させたのが、ツッコミを多用する「銀魂」だったそうです。

この「吐槽」に関しては、中国でも人によって好き嫌いがハッキリと分かれるそうですが、中国の若者を中心とした元気のいい層に刺さりやすい人が多かったことから、定番要素として多用されるようになっていったのだとか。

ちなみに「吐槽」に関しては、「銀魂」以前にも、現地の超訳字幕も加わり大人気となった「ギャグマンガ日和」からの流れがあるそうで、中国のオタク界隈におけるファンサブ翻訳や吹き替えなどのオタクの内輪ウケ的なノリが、「銀魂」によって中国の一般層へ本格的に拡散していったという見方もあるとのことです。

またそれ以外にも、「銀魂」は中国の国産作品において、アニメやマンガのパロディをやる面白さを広めた作品でもあります。
もっとも、当然ながら日本で他作品ネタのパロディをやる際に気を使う、暗黙の空気のようなものまでは伝わらなかったそうです。そこに著作権意識が薄い中国の事情も加わって、中国の国産作品ではパロディのつもりで他所の作品のネタやキャラ、音源などの素材をそのまま使ってしまう、怒られる使われ方をしてしまうケースが頻発するようになってしまったという話も……。

特に近年はオタク系コンテンツの関わるビジネスの範囲が広がったことにより元ネタのコンテンツともぶつかるようになってきていることから、昔であれば見逃されていたものが問題視される、本格的に訴えられるといったケースも発生している模様です。
中国のオタクな方からは、「中国のオタク向けコンテンツで悪ノリ的な暴走からのゴタゴタが発生するたびに、よくも悪くも大きな銀魂の影響を考えてしまう」といった話も聞こえてきます。


マクロスF(フロンティア)


中国で最初に大人気になった日本のロボアニメとも言われる「マクロス」ですが、中国におけるマクロスの扱いに関しては少々特殊な背景があります。
マクロスが中国で最初に大人気となったのは、1990年代と中国に入った日本のアニメ作品の中でもかなり早い時期になります。しかし当時の中国のテレビで放映されたのは「超時空要塞マクロス」そのままではなく、アメリカで日本の複数のアニメ作品を編集で合体させた「Robotech」で、「マクロス」は「Robotech」内の1シリーズといった形でした。

そのため、昔の中国では、マクロスの人気は非常に高かったものの、日本の作品だという認識や、日本の「マクロス」とアメリカの「Robotech」が別物だという認識が曖昧なところもあったそうで、中国でオタク層が形成される以前の日本アニメマニアの間でも混乱していたという話です。
その中国におけるマクロスに関するイメージを仕切り直し、改めて日本産の人気作品という立場を本格的に確立したのが「マクロスF」だそうです。

また「マクロスF」は主題歌や劇中歌の人気も非常に高く、中国のオタク的な活動におけるアニソン人気が高まり、現地のオタク系イベントなどにおいてアニソンが重要なものになっていく流れの中心的な作品になっていたという話です。そして「マクロスF」の歌が定番曲となっていた当時の中国におけるアニソン人気の盛り上がりは、中国本土における日本からアニソンアーティストを招いてライブやイベントを開催する流れの普及につながったそうです。

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機動戦士ガンダムSEED

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(C) 2007 ビックウエスト/マクロスF製作委員会・MBS

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