【独占インタビュー】日本経済とエンタメ業界に黄金の20年代がやって来る!! ブシロード・木谷高明会長が2020年の総括と未来を語る

2020年12月23日 12:000
【独占インタビュー】日本経済とエンタメ業界に黄金の20年代がやって来る!! ブシロード・木谷高明会長が2020年の総括と未来を語る

ブシロードの創業者であり、現在は代表取締役会長の木谷高明氏に、昨年末に続きロングインタビューを敢行!

ブシロードはトレーディングゲームカード(TCG)業界のリーディングカンパニーとして「カードファイト!! ヴァンガード」「ヴァイスシュヴァルツ」「Reバース for you」といった多数のタイトルをリリースしている企業。近年は「BanG Dream!(バンドリ!)」や「D4DJ」、「アサルトリリィ」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」といった、アニメ・ゲーム・音楽・舞台・ライブなど多ジャンルを包括したコンテンツを多数世に出しているほか、新日本プロレスやスターダムといったプロレス団体もグループに加えている。

 

新型コロナウイルスの影響により、リアルでのイベントやライブの開催に大きな制約があった2020年のエンターテインメント業界。ブシロードはかなり早い段階でリアルイベントの参加・主催の中止を発表したいっぽう、イベント開催が条件付きで解禁されてからは、「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYS(富士急ハイランド・コニファーフォレスト 2020年8月21日~23日)、ブシロードミュージックライブウィーク(東京ガーデンシアター 2020年10月7日~11日)を厳重な対策をしたうえで開催しており、エンターテインメント業界におけるコロナ対応の最前線に立ち続けていたイメージがある。

 

今回はさまざまな意味で特異な状況となった2020年のエンターテインメント業界の中のブシロード、そして今後の展望について、同社の木谷高明会長にたっぷりと語ってもらった。カタい話題だけでなく、「ブシロードってワンマン企業なんですか?」「VTuberってどうですか?」といった質問にも率直に答えてもらったので、最後までじっくりと読んでほしい。

 

プロレスという独自コンテンツ、生バンド演奏や舞台のステージにも立つ声優という存在で差別化していく

 

──2020年はブシロードにとってどういった年だったでしょうか。

 

木谷 難しいですね(苦笑)。コンテンツを作るメーカーとして感じているのは、今年は新型コロナウイルスの流行による生活習慣の変化により、ユーザーがコンテンツに求めるものが変わったのかなということです。みんな外に行くことがなくなって、あらゆるライブ、イベントも少なくなってしまった。自宅でアニメを見る、ゲームをプレイするという楽しみに回帰してるんですね。自宅でじっくり繰り返し楽しむことができるから、コンテンツに求めるクオリティや水準もより高くなっていると思います。

 

──ライブ体験から自宅でのコンテンツ消費主体に変わっているんですね。「D4DJ」、なかでもMerm4id(マーメイド)などは、近距離でのライブステージをガンガンやるコンセプトに見えました。このあたりにも、やはり影響は大きいですか。

 

木谷 そうですね、キャストもライブなどで魅せる能力を重視して選考しているので、イベントがなかなかできない、ライブで観客が声を出せないという状況は痛手でした。「D4DJ」に関しては夏に「Animelo Summer Live 2020 -COLORS-」の出演予定もありましたし、パフォーマンスでお客さんの心をグッとつかんでアニメやゲームの展開につなげたかったのですが。かわいそうなのが新人の声優たちで、音声収録現場の制約が大きくなっていて、アフレコ現場を見学することもできないんですね。僕は、声優は”習うより慣れろ”だと思っていて、新人はたとえ台詞がひと言でもアフレコ現場に残って、先輩の演技を間近で感じることがとても勉強になるんですね。だから現場の数が多い声優はどんどんうまくなるんです。ところが現在、スタジオ見学はできないし、役名のつかない新人はレギュラーの人たちとは別に収録することもあるので、そういった経験がなかなか積めないんですよ。

 

──先ほどコンテンツに求めるクオリティのラインが上がっているという話がありましたが、そのことにより業界に変化を感じていますか?

 

木谷 それで今年大きく出てきたのが「鬼滅の刃」かなと思いますね。劇場版が大ヒットしたのには海外の映画がなかなか入ってこない、国内でも実写映画を撮るのが難しいなどの今年ならではの要因もあったと思いますが、やはりアニメーション制作を手がけたufotableの功績が大きいと思います。この状況の中でも動いてハイクオリティの作品を送り出せる最大手のコンテンツホルダーが、より強い存在になっているのではないかと思います。

 

──その中でブシロードとしてはどのような戦略戦術で戦っていくのでしょうか。

 

木谷 それらの“強い”企業と重ならない領域で戦うことに、一番力を入れていくべきだと考えています。

 

──たとえばどのような分野になるのでしょうか。

 

木谷 ブシロード全体の中で言うなら、それはまずプロレスですね。プロレスは徹底的に差別化できるし、スポーツって基本的に新規参入が難しいんですよ。大きくジャンルとして見ても、スマホアプリに乗せられるスポーツって野球、サッカー以外にはなかなかないんですね。スマホアプリの世界で野球、サッカーに次ぐポテンシャルがあるスポーツはプロレスだと考えています。ですから、男子の新日本プロレス、女子のスターダムを両方グループ内に持っているのは強みだと思います。これからの上昇率という意味ではスターダムには特に期待しています。

あとはカードゲームですね。トレーディングカードゲームもタイトル数(メーカー数)が限られているジャンルで、ブシロードは業界シェアで大体3位~4位で推移しています。音楽コンテンツに関しては、舞台に出演したり、バンドで楽器を生演奏して歌うキャストと、アニメやゲームで声を演じる声優が同じ人間であることをカラーとして出していきたいと考えています。声優が実際に楽器を持ってバンドをやるという、ブシロードにしかできない要素で差別化していきたいです。

 

──最近のブシロードさんはひとつの作品に出演した声優を別作品で起用したり、「バンドリ!」発のバンドが別作品の主題歌を担当したりと、作品間にシナジーを持たせながらキャストを声優として育てている印象があります。

 

木谷 先ほど言った通り作品の場数を踏むことでうまくなってほしいと思っていますし、ブシロードの作品に出てくれたなら、その子に売れてほしいという気持ちがあります。ただ、キャストが重なると作品のカラーが似て見えてしまう部分もあるので、シビアに見ないといけない面もあります。大きなメリットとしては、ブシロードの作品のファンの方は、キャストさんを通じて別の作品も好きになってくれることですかね。さまざまな作品を含めてのファミリー感のようなものがあると思います。

 

──コロナ禍という逆風の中ですが、ブシロードはライブやイベント開催の先陣を切っている印象があります。8月の「BanG Dream! 8th☆LIVE」夏の野外3DAYSや、10月のブシロードミュージックライブウィーク(「バンドリ!」「ARGONAVIS」「D4DJ」)は無事開催され、クラスターの発生や感染も確認されませんでした。

 

木谷 この状況の中開催するのはプレッシャーも大きかったし、ストレスもありました。だから無事開催できたことには本当にほっとしました。もちろん声援を送れなかったり座席が固定されていたりと、お客さんも100%楽しめたわけではないと思うのが悔しいところですが、その中でも特に夏の富士急(ハイランド・コニファーフォレスト)3DAYSはお客さんも喜んでくれたのではないかと思います。

 

──「バンドリ!」の新バンド「Morfonica(モルフォニカ)」は、富士急の屋外の大ステージで初ライブを行なうことになりました。

 

木谷 3DAYSを通して、初日の緊張感はすごかったですね。キャストがステージ上で泣いちゃったりした場面もありましたが、とても大きなプレッシャーを乗り越えてくれたと思います。最終日に出演したMorfonicaは、本当はゴールデンウィークにデビューして、メットライフドーム(5月3日に開催するはずだった「BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020」)のオープニングアクトでパーンと行きたかったんですが(苦笑)、富士急でようやくお披露目できました。実際にMorfonicaのパフォーマンスを見ることで感じてもらえるものがたくさんあると思うので、もっと多くの人に見てもらいたいですね。

 

──一連のライブでルールがよく守られていたのは、最近力を入れているマナー啓発の効果があったのでは。

 

木谷 ライブ参加者の皆さんのマナーは確実によくなっていると思います。

 

──世の中の経済活動がシュリンクしがちな中、ブシロードはコンテンツの広報宣伝に非常に力を入れている印象を受けます。特に「D4DJ」の愛本りんくはありとあらゆる駅で見る気がします。

 

木谷 広告出稿が減っている時期だからこそ、コストを抑えて広告を出せる部分もあるんです。せっかくだから今のうちにキャラクターやゲームの知名度を上げて、どこかで見たことがあるなと思ってもらえればと。

 

──そうした従来の広告とは別のアプローチとして、10月にTBS系列で放送された「D4DJ presents CDTV特別編 みんなが歌える!神プレイリスト」がありました。人気番組の特番に「D4DJ」全6ユニットが登場したのには驚いた人も多かったのではないでしょうか。

 

木谷 あの番組はチャレンジでしたが、効果はとても大きかったですね。放送後はファンの人だけでなく、業界の内外からテレビ局や代理店にかなりの問い合わせがあったようです。よくこんなことができたなというか、本来ありえないことが(コロナ禍の)特殊な状況下だからできたと思います。若い層の視聴率が取れたようで、TBSさんにも喜んでいただきました。

 

──特番放送と前後して、10月25日にはスマートフォン向けリズムゲーム「D4DJ Groovy Mix」がサービスイン、10月30日にはTVアニメ「D4DJ First Mix」が放送スタートしました。現状での手ごたえはいかがでしょうか。

 

木谷 おかげさまで好評をいただいています。アニメ、どうですか?

 

──DJとは何か、の入口の部分からとても真面目に、ていねいに描いていて、キャラクターの魅力だけでなくDJの魅力を伝える作品としてもよくできていると感じました。

 

木谷 僕的にはすごく面白いと思います。話数が進むにつれて放送前に生配信しているD4DJキャスト・キャラクターによるDJプレイ番組「D4DJ_DJTIME」のアクセスも伸びているので、だんだん届いている手ごたえは感じています。アプリの「D4DJ Groovy Mix」も好調で、今後はDAU(デイリーアクティブユーザー数)をもう少し伸ばしていきたいと思っています。「D4DJ Groovy Mix」の差別化ポイントとしては、オリジナル曲、カバー曲だけでなく原盤の楽曲も追加している点です。原盤も含めた三本柱でやっていきたいと思っていて、12月には水樹奈々さんの楽曲を原盤で実装します。

 

──「D4DJ Groovy Mix」は「呼び込み君」や「徹子の部屋」などの変化球の楽曲も楽しいですね。

 

木谷 幅広い楽曲を用意して、音楽のプラットフォームのようになっていけばいいなと考えています。収録曲はどんどん増やしていこうと思います。

 

──最近、TCG「Reバース for you」がホロライブプロダクションでコラボしたり、「ブシロードゲーム情報局」が12日連続でホロライブプロダクションのVTuberを実況者として迎えたりといった企画を目にします。木谷さん的にVTuberというコンテンツをどう見ていますか?

 

木谷 正直に言っていいですか? 僕個人にはVTuberというコンテンツの魅力が正直理解できていないんです(スミマセン!)。世代的なこともあって、YouTuber以上に縁遠い感じでした。

 

──本当に言っていいんですか!? そのコンテンツと今接近しているように見える理由や経緯についてうかがえるでしょうか。

 

木谷 ものすごく人気で、とても愛されていることは当然わかるわけですよ。だから新しいことを始める時に、自分個人に理解できるかどうかを基準にするのはもうやめようと思ってるんです。世の中にウケていて、たくさんの人に愛されているならその感性が正しい。時代や世代によって感性も好みも変わるんだから、そこで自己主張をしても仕方がないんです。(ホロライブプロダクションを運営する)カバー株式会社の方がホロライブプロダクションをカードゲームにしたいと挨拶に来てくださって、その時のタイミングもあって「Reバース for you」でリリースさせてもらうことになりました。おかげさまで売れ行きも非常によく注目もしていただけて、今となっては本当に感謝しています。このような流れが来ている時は迅速に動くと決めているので、今も密に連絡を取らせてもらっています。

 

──ブシロードグループの中でも、(子会社のブシロードクリエイティブが)バーチャルタレント事務所「いろどり芸能郵便社」を立ち上げてVTuberオーディションがスタートしました。

 

木谷 この企画には僕はタッチしていないので、クリエイティブでやるならいいよと言いました。最初若手が個人で企画を持ってきたんですけど、企画が甘かったので、「クリエイティブの社長と相談してみな」と言ってチームで練り直させました。具体的なことはまだまだこれからですが、楽しそうにやっていますよ。そういう、僕以外からの企画が出てこないとダメなんですよ。この企画に限らず、来年は子会社中心で動いている企画がほかにもありますね。

 

──世の中には、ブシロードは全部木谷さんがトップダウンでやっているイメージを持っている人も結構いるのではないかと思います。しかし、実際のところ子会社や、現場から上がってくる企画が結構動いているんですね。

 

木谷 実態以上にワンマンだと思われてるんですよね。そんなにワンマンじゃないと思いますよ(笑)。現場から上がってくる企画は前から増やしたかったんですよ。僕がシンガポールに行った時(※2014年~2018年頃、木谷氏はシンガポールに拠点を置いていた)もそういう流れになればなと思っていました。なので何か生まれてきそうかなと思う社員には、こちらから何か考えていないか声をかけたりもします。会社全体としても、ですね、今、たとえば朝イチで「バンドリ!」のしっかり内容を詰めたい会議がある時は、同じ時間の役員会議の方には「ごめん、後から行く」と言ったりしています。だから、現在ブシロードは自分が常にいなくても回る会社になっていると思います。それにね、トップが自分で動くオーナー企業も悪いことばかりじゃないと思うんですよ。

 

──この秋のように、感染対策をしながらライブを開催するタイミングを図るような、リスクをともなう決断が必要な状況では大きな強みだと思います。

 

木谷 ライブやイベントの開催については、他社の様子を見るという判断の企業も多かったと思います。だからファンの方の中にも、ブシロードが突破口を開いて空気を変えてくれた、という評価をしてくださる人もいて、ありがたいですね。ただ今の僕の夢としては、一発何か大きなヒットを出して早く隠居したいと思っています。なかなか大きくは当たらないんですけどね (笑)。

 

──最後に2021年のコンテンツ業界とブシロードの展望について教えてください。

 

木谷 直近の大きなタイトルとしては、2021年1月にスマホアプリの「アサルトリリィ Last Bullet」と「アルゴナビス from BanG Dream! AAside」をリリースするので、こちらに注力していきます。春から夏にかけていろいろと動いている作品もあるので、そちらは続報をお待ちください。

今の世の中はコロナウイルスの影響で非常に難しい状況ですが、個人的にはこの状況が落ち着いたそのあとに注目しています。この期間の間に、リモートでの勤務体制が確立されたり、役所からハンコがなくなったり、いろいろと無駄が省かれて生産性が上がる基礎ができあがってきたと思うんです。その変化に対応できる企業とできない企業の新陳代謝が起こって、ようやくこの国の生産性が上がる可能性を感じています。

また、世の中の人が今みんな我慢している分、自由に動けるようになれば消費や景気も大きく上向くと思います。だから100年前(スペイン風邪の終息と、第一次大戦後)のアメリカに空前の好景気が来たように、コロナ後の日本に黄金の2020年代が来るんじゃないかと予感しているんです。その機が来ればブシロードとしても攻めまくるしかないのですが、そこで戦うための核になるIP(コンテンツ)がようやく揃ってきたなと感じています。いくつか新しいコンテンツを世に出しながら、既存のコンテンツをしっかりと伸ばしていく、そのことをより意識して進む2021年にしたいと思っています。そしてライブやイベントの制限がなくなったら、みんなでバカ騒ぎしたいですね(笑)。

 

(取材・文/中里キリ)

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