【レビュー】諜報員になって謎を解く斬新なキャンペーン、マルチプレイは初心者がより遊びやすく。「CoD」シリーズ最新作PS5/PS4「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー」

2020年11月29日 12:000

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2020年11月13日(金)、「コール オブ デューティ」シリーズの最新作PlayStation®5/PlayStation®4「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー」 が発売された。今回は、本作のキャンペーンモードやマルチプレイモードのレビューをお届けする。(PS4版を使用、画像はPS4 Proで撮影)

「コールオブデューティ」(以下、CoD)には大別して3つのシリーズがある。Infinity wardが手がける、第2次世界大戦を舞台にしたオリジナルシリーズと、現代戦をテーマにした「モダン・ウォーフェア」(以下、MW)シリーズ、そしてTreyarchが手がける「ブラックオプス」(以下、BO)シリーズだ。 今回発売された『コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー』は「ブラックオプス」シリーズの最新作にあたる。

冷戦下の世界を舞台に描かれるキャンペーンモード




「MW」シリーズのキャンペーンが「ハリウッド映画」なら、「BO」シリーズは「サスペンスドラマ」と言える。大部隊同士が交戦するような派手で直接的な戦争ではなく、要人の暗殺や尋問、施設への潜入・爆破といった汚れ仕事が醍醐味だ。物語のスケールは「MW」シリーズに比べてやや小さく見えがちだが、その分個人の描写は濃く、登場人物たちの駆け引きや、先の見通せない、暗く陰鬱とした雰囲気も特徴だろう。『コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー』(以下、BOCW)のキャンペーンモードは、2011年に発売された『コール オブ デューティ ブラックオプス』の続編であり、舞台は1980年。タイトルにもある「コールドウォー(冷戦)」のただ中だ。


第二次世界大戦以降にくり広げられていたアメリカ合衆国とソビエト連邦による対立は、世界中に飛び火し、やがて米ソ両陣営による一触即発の睨み合い「冷戦」が形成されていった。


プレイヤーは「ベル」のコードネームを持つ隊員となり、ウッズやメイソンといった初代「ブラックオプス」でおなじみの人物たちと協力し、「ペルセウス」と呼ばれるソ連の諜報員を追って世界を飛び回る。これまで、ソープやメイソンといった個人を操作していたのに対し、本作の「ベル」はプレイヤーの直接的な分身となる。物語冒頭では、自身の名前、性別、来歴などを自由に決められる。


「心理学的特性」の項目では、選んだ内容に応じた能力がプレイヤーに付与される。


本作のキャンペーンモードでは「諜報活動」を重視している。各ミッションでは、ペルセウスにまつわる証拠を手に入れることができ、物語の本筋には関わらないものの、「サイドミッション」で大きな役割をはたす。現地で手に入れたメモ書きや音声ファイル、重要人物から奪った暗号表などを基に謎を解き、サイドミッションに関係しているスパイの身元や潜伏先を突き止められるのだ。謎解きは「CoD」シリーズ初めての要素だが、「ブラックオプス」シリーズが冷戦時代をメインに扱っていることや、もともとサスペンス風味の強いこともあってか、違和感もなく、実際の冷戦下の諜報活動を裏付けるものとして、むしろおおいに楽しめた。「BOCW」があくまでFPSということもあるのか、謎はそこまで難しくない。深読みすると、かえってややこしくなるため、軽い気持ちで挑んでほしい。なお、サイドミッション自体は謎解きをせずとも挑めるが、一部の標的を逃すといったデメリットもあるので、なるべく解きたいところ。


アメリカの各地名や赤と青の数列……さまざまな証拠を照らし合わせ、プレイヤーは謎を解き明かす。



ある暗号を深読みした結果、謎がどうしてもわからず、結局Twitterの力を借りた筆者だが、作中で提示される一部の謎は、プレイヤーが設定した自身の来歴によって異なるようだった。さらに、本作の物語の展開はプレイヤーの選択肢によって変化する。自分とほかのプレイヤーがたどった物語の違いを調べてみるのもおもしろいかもしれない。



ベトナムを舞台にしたジャングル戦、東ベルリンでの密談、ソ連の諜報機関・KGB本部への潜入など、キャンペーンのバリエーションも豊富。特にKGBへの潜入は攻略法も多く、さらに初代「BO」や「MW」を遊んだ人なら覚えのある人物が登場するなど、ファンサービスとしても面白いミッションだった。謎解きなどの新要素が盛り込まれている一方で、本元であるFPS要素は重厚なので、そこは安心してほしい。



前作の長所を取り込み、より遊びやすくなったマルチプレイヤー




本作のマルチプレイでは、「スコアストリーク」が採用されている。試合中にプレイヤーが獲得したスコアに応じて、偵察機や砲撃といったストリークを入手できるというもの。スコアストリーク制は『コールオブデューティ ブラックオプスII』で導入されて以来、「BO」シリーズではおなじみだが、本作ではプレイヤーが途中で倒されてもスコアの蓄積が継続するようになった。スコアさえ稼げれば、何度やられようが誰でも「ヘリガンナー」や「ガンシップ」といった大型のストリークを手に入れられるのだ。



スコアを稼ぐには、ルール通りに動くのが手っ取り早い。「キルコンファームド」であればタグを回収し、「ドミネーション」であれば陣地を取り、「ハードポイント」であればエリアを占領する。チームの勝利に貢献すれば、それだけスコアストリークも出しやすくなるようにできている。また、自身が撃ち漏らしたプレイヤーをほかの味方が倒した際に発生する「アシスト」が2回出ると、アシストした人にもキル数がカウントされるといったシステムもありがたい。初心者は相手を倒すのも精一杯だが、チームのために動くことはできる。チームのために動くプレイヤーが得をするのであれば自然と試合も活発になる。白熱する試合は増え、プレイヤーは盛り上がり、その雰囲気は「BOCW」全体にも及ぶ。



前作『コールオブデューティ モダン・ウォーフェア』(以下、CoD:MW)で好評だった「ガンスミス」は、本作にも引き継がれている。さまざまなパーツを組み合わせて銃をカスタマイズするシステムで、アサルトライフル1丁を取っても、銃身を切り詰めて機動性を重視したり、逆に伸ばして中遠距離戦の精度を上げたりすることが可能。「BOCW」では、照準器系や銃身系のパーツを換装しても機動力が下がりにくくなり、より手軽にカスタマイズができるようになった。前作の「ガンスミス」では、装備を追加したり変えたりするとエイム・移動速度の低下が発生することが多く、膨大なパーツがあるにもかかわらず有用なカスタマイズはほぼ固定化され、「ガンスミス」は見た目やロマン重視向けの要素になりがちという面もあった。本作ではその点は解消され、見た目と性能をより両立させやすくなっている。



筆者は「BOCW」のオープンベータテストに参加したが、当時と比べてスライディングの性能が控えめになった点も注目したい。移動距離が短くなり、スライディングからの飛び出し撃ちがやりにくくなった。一見するとマイナスだが、これはすなわちキャラクターの操作技術ではなく、銃を使った純粋な撃ち合いを重視するということの裏返しでもある。「CoD」シリーズを遊び始めて12年になるが、筆者はそういった高度な操作はまったくダメなので、前作ではスライディングを駆使する上級者に狩られてばかりだった。今回の仕様変更、私と同じような境遇のプレイヤーにとって心強いものになるだろう。



諜報員になりきって謎を解きつつ進めるキャンペーン、「CoD:MW」で採用されていたシステムを継承しつつ、長所を伸ばしつつ欠点を解消しているマルチプレイはともに文句なしのクオリティだ。改良されたスコアストリークやスライディングの挙動をはじめ、特にマルチプレイの遊びやすさは顕著で、「バトルフィールド」を始めとする本格FPSとは違いカジュアル路線を取り続けてきた「CoD」にとって、本作がひとつの到達点なのかもしれない。MW版とBO版のバトルロイヤル『コールオブデューティ ウォーゾーン』のデータが統合されるなど、これまでにない新たな動きを見せつつある「CoD」だが、世界レベルでのビッグタイトルが今後どのように展開していくのか、注目していきたい。

(文・夏無内好)

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