巨大ロボにサウンド、発光ギミック……50周年を迎えたミニカーの王様「トミカ」、その“変わった部分”と“変わってない部分”とは?【ホビー業界インサイド第65回】

2020年11月21日 12:000

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目の不自由な人でも、手のひらで「車とは何か?」を感じとれる玩具


── ここ最近の展開で驚いたのは、2020年4月から放送されているアニメ「トミカ絆合体 アースグランナー」です。巨大ロボット物なのに、これがトミカなの?と驚いてしまったのですが……

 「アースグランナー」の主人公は2人の少年なのですが、「グランナー」という大人と同じ背の高さのヒーローに変身できます。変身アイテムに、「コアグランナートミカ」と呼ばれるトミカをセットします。ヒーローに変身した後は、実際の自動車サイズの「コアグランナー」を走らせたり、さらに巨大なビークルである「ガオグランナー」に組み込まれて、他のガオグランナーとロボットへ変形合体します。商品としては、何種類かあるコアグランナートミカを変身アイテムやロボットにセットすることで、異なるサウンドを楽しむことができます。

── すると、なりきりグッズやロボット玩具に、特別なデザインのトミカを組み合わせて遊ぶわけですね?

 そうです、ヒーロー遊びとロボット遊びの二軸で展開しています。子どもたちがトミカを遊ぶ順序としては、親にトミカを買ってもらって手で転がして遊ぶところから始まって、たくさん集めて遊べるプレイセットへ進むことを想定しています。その後に自分で工夫して遊べる商品や、自動で動くスロープなどを使って走行させる商品もあるのですが、さらに先の展開として自分の体を使ったり、細かいパーツを組み立てられる商品へと進んでほしい。そこに、現在放送中のアニメ「アースグランナー」が位置づけられます。トミカの基準は3歳以上ですが、実際に「アースグランナー」で遊んでいるのは4~5歳ぐらいの子どもたちです。上の世代に進んでも、トミカを長く遊んでもらいたいという気持ちがあります。


── 遊びの中心になる「コアグランナートミカ」は、すべてオリジナルですよね?

 そうですが、なかにはGT-Rなど自動車メーカーとコラボした実在の車に近いコアグランナートミカも3種類あって、アニメ本編にも登場しました。

── 音の出るトミカは1994年に初めて発売されて、今でも「トミカ4D」という音や振動が伝わるシリーズがあるそうですね。

 はい、「トミカ4D」は、ぜひ体感していただきたいです。トミカ本体を上から長押しすると、エンジンの始動音がして、同時に車体が振動します。そのままの状態でトミカを上から押すと空ふかしの音、走らせると走行音が鳴ります。エンジン音は車種ごとに異なり、スポーツカーは実際の車の音を自動車メーカーさんの協力で収録させていただきました。実車のエンジン音が出るトミカは、「トミカ4D」が初です。
また、「トミカ4D」をはじめトミカには“共遊玩具”としての側面があります。箱に盲導犬のマークが付いていまして、これは「目の不自由な方にも遊べる玩具ですよ」という意味です。トミカを手にとって初めて、目の不自由な方が「この車は、こんな形をしていたのか」と理解できたという話を聞きました。「トミカ4D」は音だけでなく振動までするので、五感で車の魅力を感じられるわけです。そのいっぽう、子どもたちの意見を聞くと、音にプラスして光るトミカが欲しいとわかったので、振動の代わりにヘッドライトや警光灯の光る「ライト&サウンドトミカ」を発売しました。ですから、やはり子どもたちのニーズに合わせてトミカは変化してきているんです。


── 以前から不思議に思っているのは、まったく架空の実在しない車のトミカです。たとえば、「ドラえもん」の顔が付いたバスだとか、スヌーピーの頭の形をした車ですが……

 「ドリームトミカ」ですね。 “トミカが夢のコラボレーション”というコンセプトで、2013年からスタートしました。オリジナルデザインだけでなく、「頭文字D(イニシャルD)」の「トヨタAE86(エーイーハチロク)」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の「デロリアン」など、アニメや映画の劇中車もラインアップされています。「マリオカート」なども、ゲームの中そのままのデザインですね。より広い層にトミカを楽しんでもらいたい意図から、シリーズを広げています。

── すると、「ドリームトミカ」は車には興味がないけどキャラクターグッズの好きな方たちが買うわけですね?

 「お兄ちゃんがトミカを買ってもらっているから、私も欲しい」と思う場合もあるでしょうし、上の世代の方が買われることもあります。ミニオンズやスヌーピーのトミカは子どもだけでなく、大人まで人気があります。また、アニメ・コミック・映画だけでなくテレビ番組ともコラボしていて、バラエティ番組「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」に出てくる電動バイクを、ヘルメット付きで発売しました。そういう遊び心をプラスできるのが、「ドリームトミカ」の楽しいところです。

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