【Steam】行楽の秋はゲームでおでかけ! 旅する気分が味わえるPCゲーム特集

2020年10月31日 12:000

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アキバ総研をご覧の皆さま、いかがおすごしでしょうか。ゲーム買いすぎちゃう系ライターの百壁ネロでございます。筆者はいま、話題のオープンワールドゲーム「原神」をPS4版でプレイしてハマっています。美しいグラフィック、魅力的なキャラクター、軽快なバトルとハマる要素たっぷりのタイトルですが、筆者は広大な世界を旅する感覚がとても好きです。知らない土地の初めて見る景色というのはリアルでもゲームでも楽しいものですが、今回は「行楽の秋」ということで、旅気分が味わえるゲームの特集をお送りします。


1.オンボロ車でのんびりと旅を楽しむドライブシミュレーター
「Jalopy - Road Trip Car Driving Simulator Indie Game」


  • 「Jalopy - Road Trip Car Driving Simulator Indie Game」(Minskworks)
  • 2018年3月29日発売
  • 価格:1,520円(2020年10月19日時点)
  • コピーライト:(C) 2018 Minskworks

皆さんは車での旅行はお好きでしょうか?
筆者は免許を持っておらず、自分では車を運転することができないのですが、昔、友人の運転する車でよく旅行に行っていました。「けいおん!」の聖地として知られる豊郷や、仙台、稚内など、いろいろなところに連れて行ってもらったことを思い出します。その節はありがとう、友人。


というわけで、ご紹介する「Jalopy - Road Trip Car Driving Simulator Indie Game」は、車での旅をテーマにしたゲームです。

本作は、旧東ヨーロッパを舞台にしたドライブシミュレーターです。特筆すべきポイントは、レースゲームの類いではなく「シミュレーター」であるという点です。この点については、以下のプレイレポートを通して具体的にご紹介していきましょう。


というわけで、さっそくゲームスタート。物語は、ガレージで寝ていたプレイヤーが叔父さんに起こされる場面から始まります。叔父さんに導かれるままにガレージの外に出ると、そこには「Laika 601 Deluxe」と呼ばれる1台の車が停まっています。どうやらこの車に乗り込んで旅に出かけるという流れのようです。



しかし、このLaikaという車、現状、車体だけしかなく、お世辞にもまだまだ車と呼べる状態ではありません。そこでプレイヤーは、叔父さんの指示を聞きながら、足りないパーツを車体に装着していくこととなります。ドア、タイヤ、エンジン、オイルなどなど、ありとあらゆる部品を廃車置場やガレージから持ってきて、ひとつひとつ車体に加えていきます。筆者は正直、車の知識にうとく、まったくの初心者なのですが、ジャッキで車体を持ち上げてタイヤを取り付ける作業をするときは、「あっ、これテレビで見たことある!」と、なんだか本格的なものを感じてしまいました。



そんなこんなで、作業をこなして、オンボロながらもようやくLaikaが完成しました。


さっそく中に乗り込むと、助手席に叔父さんが乗ってきます。なるほど、どうやら叔父さんと一緒に旅をする流れのようです。すると叔父さんが、車のマニュアルと地図を渡してくれました。マニュアルは、操作方法や車内の各部位の説明、エンジンの状態などが確認できる冊子です。

いっぽう、地図はというと、次の目的地までのルートが3種類書いてあり、その中からひとつを選択する形になっています。ルートにはそれぞれ距離や天候などの情報が書かれており、筆者はとりあえず一番距離の短いルートを選んでみました。ちなみに、コースは自動生成で作られる仕組みとなっているので、繰り返し遊ぶ楽しみもあるのがうれしいポイントです。



ということで、ここまで進めて、ようやく発車です。

叔父さんから渡された車のキーを鍵穴にさし、エンジンをかけて、ハンドブレーキを解除し、出発進行! 一般的なカーゲームのように、乗って即前進とはいかないこのリアルさこそ、本作が「ドライブシミュレーター」であるゆえんのひとつです。


さらに本作のリアルさは、発車や停車の方法だけにはとどまりません。ワイパーを動かしたり、ルームランプを点けたり、サンバイザーを下げたり、カーステレオで音楽をかけたりと、ひとつひとつのアクションをすべて自分の操作で行う必要があるのです。この細かな部分の手間が、まるで本当に車に乗っているようなリアリティのあるドライブ体験につがっているように筆者は感じました。



本作のタイトルになっている「Jalopy」は、オンボロ自動車やポンコツ車という意味の英語です。

そのタイトルに偽りなし!ということで、主人公の愛車であるLaikaは、かなりのオンボロっぷりを見せてくれます。

まず、この車、速度が全然出ません。スピードメーターを見ると、時速は40kmぐらい。頑張ってアクセルを踏み続けてようやく60km程度。同じ道路を走っているNPCの車にガンガン追い抜かれていきます。レースゲームやカーアクションゲームと比較すべきではないと頭では理解しているものの、スピード感という言葉が似合わない、かなりゆっくりとした速度です。


なるほど、本作はのんびりとしたドライブ気分を楽しむゲームだなと察した筆者は、次の目的地であるドレスデンまでカーステレオから流れる音楽に耳を傾けながら、ゆったりと走ります。と、突然、愛車Laikaが停車! ボンネットからはもくもくと煙が上がっています。何かエンジンにトラブルが……?


あわててマニュアルを開くと、どうやらガソリン切れらしいことが判明しました。ボンネットを開けて車を降り、トランクに積んでいたガソリンを取り出して給油をし、再発進。調べてみると、実はガソリン切れだけではなく故障している部分が複数あることもわかったのですが、修理するすべがなく、依然として煙が上り続けている状態です。とにもかくにも車は走り始めたので、なんとかこのまま街に着くまで故障しないでくれ……と祈りつつ、ドライブを進めます。



ゆっくりと車を進めること数分、なんとか無事、目的の街に到着しました。今日はここで1泊することになり、叔父さんに言われるとおりモーテル(モーターホテル)の前に車を停めて、建物の中へと入り、フロントでチェックイン。……しかし、なぜかできません。

実はこのゲーム、モーテルでの宿泊やショップで買い物をする際には、車内に置いてある財布を自分の手で取って持ってこなければお金の支払いができないんです。車の運転だけではなく、そんな部分までリアルに作られているということに驚愕(きょうがく)です。

支払いを終えたあとは、フロントでルームキーを受け取り、部屋へと進んで鍵を開け、ベッドに横になって就寝。もちろんこれらすべてのアクションが、自分での操作です。こうして筆者は、隣のベッドで眠る叔父さんとともに「Jalopy」での1日を終えたのでした。



ということで、1日間のプレイレポートをできるだけ詳細に書いてみましたが、本作が「シミュレーター」である理由を感じていただけたでしょうか。


愛車の故障やガソリン切れを心配しつつ、ときには拾ったものなどを売ってお金稼ぎをしながら、風景とカーステレオの音楽を楽しみつつスローテンポにドライブをしていく「Jalopy」。何をするにも手間がかかる本作の世界観を“面倒”ととらえるか“味”ととらえるかはそれぞれのプレイヤーにゆだねられますが、いい意味で「旅」を疑似体験できるゲームだと筆者は断言できます。めまぐるしい現実世界のスピードから少し離れて、のんびり旅を楽しみたい人はぜひ、チェックしてみてください。

2.母ギツネとともに美しい自然を旅する
映画のようなアクションアドベンチャー「The First Tree」


  • 「The First Tree」(David Wehle)
  • 2017年9月15日発売
  • 価格:1,000円(2020年10月19日時点)
  • コピーライト:(C) 2017 David Wehle

皆さんは、野生のキツネを見たことはありますか?
都市部で暮らしているとそうそう見かけることのない動物ですが、筆者は数年前、冬場の北海道に旅行に行った際、雪に降られる野生のキツネを電車の車窓から目撃したことがありました。その姿はなんだかとても神秘的で、一瞬しか見えなかったのにいまだに脳裏にしっかりと焼き付いています。


ご紹介する「The First Tree」は、そんなキツネが主人公のアドベンチャーゲームです。



「The First Tree」は、1匹の母ギツネとなって広大なフィールドを探索していくアドベンチャーゲームです。キツネの目的は、行方がわからなくなってしまった自分の子どもたちを探すこと。そのために、森の奥にあるというThe First Tree(はじまりの樹)を目指して旅を進めていきます。

操作はシンプルで、移動とジャンプのみです。ジャンプ中にもう一度キーを押すことで2段ジャンプも可能で、ゲーム中にその操作が必要となる場面もありますが、全体的にアクション性は高くなく、アドベンチャー要素が強めの作品となっています。



ゲームの基本的な目的は、フィールド上に点在する光の玉の収集と、光の柱を発見することです。目的地への移動距離はやや長めで、プレイヤーは、時間をかけて広大なフィールドを駆け回っていくこととなるのですが、その長距離移動は、筆者は苦にはなりませんでした。

その理由は、グラフィックの美しさにあります。雪に覆われた山、風がそよぐ草原、多様な草木が茂る森、まぶしくきらめく太陽の光、水しぶきをあげる巨大な滝と、本作のフィールドには美しい自然があふれており、多彩な風景でプレイヤーの目を楽しませてくれます。そのため、目的地へ向かう長距離移動が、キツネとなって広々とした美しい自然を駆け回っているという高揚感に変換され、「旅をする楽しさ」に昇華されているように筆者は感じました。

また、ピアノを基調とした音楽も透明感があって美しく、本作に漂う幻想的な雰囲気と、とてもよくマッチしています。目と耳で世界観をじっくり味わいながら、先を急がず、ゆったりと散策を進めていくというのが、本作の正しい楽しみ方と言えるでしょう。



さて、筆者は冒頭で、「キツネが主人公のアドベンチャーゲーム」という紹介を書きました。しかし、実を言うと本作には「真の主人公」が存在するのです。そして、それこそが、本作を語るうえで欠かすことのできない最大の特徴となっています。

その「真の主人公」とは、ジョセフという名のひとりの男性です。実は、プレイヤーが操作するキツネと、キツネが駆け回る美しい景色は、ジョセフが見た夢の話という設定になっているのです。



プレイヤーがキツネを操作してフィールドを進むと、そのところどころで、ジョセフが、彼の側にいるらしい女性・レイチェルに対して、自分が見た夢の話と、自分の父親の話を静かに語っていきます。

オーソドックスなタイプのアドベンチャーゲームであれば、キツネのパートと、ジョセフ&レイチェルのパートをそれぞれ切り替えて、2つのシーンの映像をプレイヤーに見せるかもしれません。しかし、ジョセフとレイチェルの姿は、画面には登場しません。プレイヤーの目に映るのはあくまでもキツネと、キツネが旅をする自然であり、ジョセフとレイチェルという登場人物については、彼らの語りを聞きながら想像を巡らせていくこととなります。

この独特の演出方法は、ゲームというよりも映画的な表現であるように筆者は感じ、また、語りを頼りにジョセフとレイチェルをイメージしていく感覚は、朗読劇を鑑賞するような体験に近いかもしれないと思いました。



本作の面白いポイントは、ジョセフが語る内容とキツネの目の前に広がる光景に、ときどきリンクする部分が現れる点です。

たとえば、フィールドにある光の柱を調べると、ジョセフの父が幼い彼に作ってくれたおもちゃの船や、十代の頃にジョセフが描いたスケッチなど、彼が語る内容とリンクする思い出の品々をキツネが土から掘り出します。また、ジョセフが学生時代の話を語るとき、キツネの近くには学校の机と椅子が置かれています。また、ジョセフが「越えなければならない壁にぶち当たった」という話を語るときは、キツネは先に進むために高い岩壁を越えなくてはならない局面にぶち当たったりという、イメージの連想を用いた演出も多数、存在します。

筆者は、ゲームを始めてしばらくは「キツネを操作して世界を探索するゲーム」という感覚でプレイしていましたが、次第に「キツネの操作を通じてジョセフが語る人生を追体験するゲーム」という感覚へ変わっていきました。これは、なかなかほかの作品では類を見ない、ユニークな体験だと思います。



「家族」、「人生」、そして「大切な人とのつながり」など、深く大きなテーマを数多く内包した本作。美しい映像と心地よい音楽を味わいながら、1本の映画を観るような気持ちでゆっくりと楽しんでいただきたい、秋の夜長におすすめの1本です。


3.無限に生成される不思議な世界を旅する
ウォーキングシミュレーター「Pattern」


  • 「Pattern」(Galen Drew, Michael Bell, Badru)
  • 2020年4月7日発売
  • 価格:1,520円(2020年10月19日時点)
  • コピーライト:(C) 2020 Galen Drew, Michael Bell, Badru

初代プレイステーションに「LSD」というゲームがあります。
秋葉原のゲームショップなどではプレミア価格がついているようなレアゲーなのですが、どういったゲームなのかというと、ポリゴンで作られた夢の中の世界を目的もなくただ歩き回るだけという、「ウォーキングシミュレーター」というジャンルに分類される摩訶不思議な作品でした。PS5の高画質でリメイクが出てくれないかな……とひそかに願っている筆者なのですが、ご紹介する「Pattern」もまた、不思議な雰囲気のウォーキングシミュレーター作品です。



本作は、無限に生成される世界を探索して歩き回ることを目的とした、1人称視点のウォーキングシミュレーターです。ゲームとしてのゴールや、やるべきタスクやクエスト、ゲームオーバーなどは特に存在しません。本作にはいわゆるゲーム的な遊びの要素が含まれていないため、その点はあらかじめ注意が必要です。また、本作は記事執筆時点では日本語に対応していません。文字や言葉が少ない作品なので、プレイするのに筆者は特に不便は感じませんでしたが、念のため、この点についてもあらかじめ注意が必要です。

 

というわけで、さっそく「Pattern」をスタート。まずは目の前に、天井の高いホールのような部屋が現れます。折れた柱や中身のない棚、積まれた本やロウソクなどさまざまなオブジェがあり、どことなく幻想的な雰囲気が漂いますが、さていったい何をすればいいのやら。



部屋をウロウロと歩き回って、中心に置かれた、煙が立ち上る山のようなオブジェに近づいたところ、「rest」という文字とともにマウスの左クリックを促す表示が現れました。


指示どおりに左クリックをすると、画面が変化し、「wake up」の文字が現れ、さきほどまでとは違う空間へワープ。木々が立ち並ぶ丘のような場所へとやってきました。ハシゴや椅子など野外には不釣り合いなオブジェがあったり、木に実ったリンゴが落下すると突然巨大化したりと、不思議な光景が広がっていて、まるで夢の中のような感覚におちいります。



しばらくあてもなく歩き回ったあと、なんとなく煙が立ち上る場所を目指して進むと、そこにはたき火があり、近づくとまたしても「rest」の表示。左クリックをすると、また「wake up」と表示され、別の場所へワープをしました。“休んで目覚める”ことによって違う風景が広がっていくこの「Pattern」のシステムは、夢の世界を探検しているということを表現しているのかもしれません。



「Pattern」には、針葉樹が茂る森林や砂漠、岩場が並ぶ海など、数種類のマップがあります。どのマップでも、たき火を調べることで次のマップへとワープをすることができますが、ワープせず同じ場所をずっと探索し続けることもできます。前述のとおり、なにか目的があるというゲームではないため、気に入ったマップをのんびりゆっくり歩き回るというのが、本作の基本的な楽しみ方かなと筆者は感じました。ちなみに「Pattern」の世界には時間の流れの概念が存在し、夜になったり雨や雪が降ったりという変化が起きます。これもまた、散策を楽しくしてくれるポイントと言えるでしょう。



また、音楽も、本作の特筆すべき要素のひとつです。本作は景色やオブジェ、建造物などが無限に生成されますが、実は音楽もプレイヤーの位置や周囲にあるものに基づいて生成されているのです。幻想的な音色で紡がれるアンビエントミュージック風のBGMを聞きながらのんびりと歩いていると、本当に夢の世界にいるような、不思議で癒やされる気持ちになりました。



本作の楽しみ方は、散歩をするだけではありません。探索中に右クリックを長押しすると、スマホのようなものを目の前に掲げて写真撮影画面へと移行し、左クリックすることでシャッターを切ることができます。こうして撮った写真はスクリーンショットとしてPCに保存されるので、不思議な世界の旅行記録としてあとで見返すのもまた一興。「Pattern」の幻想的な世界は“映える”風景ばかりなので、SNSなどに載せていろんな人に見てもらうのも面白いかもしれません。

ちなみに、Steamの大半のゲームは基本的な仕様として、F12キーを押すことでスクリーンショットを撮影可能となっており、本作もF12キーで撮影可能です。しかし、ここはせっかくなので右クリックのスマホ画面で撮ったほうが、よりゲームへの没入感が増すように筆者は感じられました。



既存のゲームの枠組みに収まらない、アーティスティックで個性的な作品である「Pattern」。ゲーム的な内容ではないため人を選ぶタイトルではありますが、ハマる人はどっぷりハマってしまうこと請け合いです。気になる人はぜひ、不思議な世界で「rest」と「wake up」を体験してみてください。

この秋はゲームでのんびり旅行気分!

というわけで、おすすめの3作をご紹介しました。


旅といえば、現在「Go To トラベルキャンペーン」が実施されていますが、こんなご時世なので、まだまだお出かけを控えているという人もいるかと思います。たまった旅行欲求の発散に、ゲームを選択するというのもよいかもしれません。ぜひ、この秋は、ゲームでのんびり旅行気分を味わってみてくださいね。

筆者:百壁ネロ
ゲーム買い過ぎちゃう系フリーライター。現在積みゲー300本以上。小説家でもあります。著作は「ごあけん アンレイテッド・エディション」(講談社)、「母の嘘(「悪意怪談」所収)」(竹書房)。

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