“駅ナカ”でソフビフィギュアやカプセルトイを販売するケンエレファントが、世の中を面白くする!【ホビー業界インサイド第64回】

2020年10月17日 11:000

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ソフビフィギュアは、若手アーティストの登竜門として期待できる


── 「VINYL」には小さなギャラリーも併設されていて、10月はKamerian.さんというグラフィックアーティストの個展が開催されていますね。個展にあわせてソフビを売るところが、とてもユニークだと思うのですが?

加藤 もともと、「VINYL」は「上野ランド」のようなお土産屋ではなく、「ギャラリーのあるアート雑貨のお店が駅構内にあったら面白いよね」という発想からスタートしました。これからソフビで作品をつくりたいというアーティストの方も大勢いらっしゃいます。そうした方たちのお披露目の場所として「VINYL」のギャラリーを使ってもらって、同時にソフビ製品もつくって、個展と同時に販売しようという意図があります。

── アーティストのサイン入りスペシャルカラーは、たった3体だけの販売ですね。

加藤 作品として希少価値があって値段も数万円以上するソフビを店頭販売しようとすると、どうしても3体程度になってしまいます。トータルでも20~30個程度の限定販売です。それだけでは回収できませんから、いずれはオンラインや海外のイベントで売っていくことになると思います。だけど、「VINYL」の店頭なら必ず限定ソフビが売れると確信していたわけではなくて、オープンして2か月ほど経って、「トライしてみたら売れた」という手ごたえを感じているところなんです。


青山 アートトイの文脈から言うと、ソフビはインジェクション成形やシリコン型に比べると安く開発できます。たとえば香港のアーティストたちは、コストの低さに注目してソフビという素材を選んでいるわけです。こちらとしては、いずれは全世界に数千個、1万個と拡散できるような製品を生むための実験、挑戦という気持ちがあります。

── では、アーティストの作品が、必ずしもソフビである必要はないわけですか?

青山 ありません。もちろん、ソフビならではの魅力もあります。Kamerian.さんの作品にしても、ソフビだからこその質感のよさや可動の面白さがあります。それだけでなく、もしかすると小さなサイズの物をインジェクション成形すれば、もっと広く売れるかもしれない。海外では、まずイベントなどでソフビフィギュアをお披露目して、人気に火がついたらインジェクションで成形してトレーディング販売するパターンがあります。もちろん、日本と海外ではオモチャの概念もソフビの概念も違いますから、海外の成功パターンがそのまま当てはまるかは別問題です。

加藤 ソフビは、若手アーティストの登竜門になるんじゃないかと思っています。

── ところで新橋駅と秋葉原駅の構内に、ケンエレスタンドというお店がありますね。これは、どういうコンセプトなのでしょう?


青山 ケンエレスタンドには明確なテーマがあって、“大人のためのミニチュアショップ”です。すでに人気のあるキャラクターや子ども向けアイテムではなく、自分たちの集めたい大人向けのカプセルトイだけを集めたお店にしたかったんです。

加藤 有名なキャラクターならほかのお店でたくさん売っていますから、それ以外のカプセルトイやフィギュアを集めたい、という主旨です。

青山 同じ方向性を持つカプセルトイのメーカーさんと仲よくして、魅力的な売り場をつくっていきたいんです。ケンエレスタンドには、お年寄りもいらっしゃいます。これまでカプセルトイと接点のなかった層の方たちが、商品のよさに引かれて、来店してくださる。これは大きな特徴です。 ケンエレファントに入社以来、やったことのない事業に次々とトライしてきたので、私自身は入社してから6回ぐらい転職した気分です(笑)。でも、「やってよかったな」と思えることばかりでしたから、今も楽しく仕事しています。



(取材・文/廣田恵介)

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