“駅ナカ”でソフビフィギュアやカプセルトイを販売するケンエレファントが、世の中を面白くする!【ホビー業界インサイド第64回】

2020年10月17日 11:000

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個性的なカプセルトイの開発で知られる株式会社ケンエレファントが、店舗展開に意欲的だ。今年2020年7月、大人向けカプセルトイを集めた「ケンエレスタンド」がJR秋葉原駅とJR新橋駅の構内に相次いでオープン。さらに、JR東京駅構内の大型エキナカ商業施設・グランスタ東京内に、美術雑貨店「VINYL(ビニール)」を8月にオープンさせた。ギャラリーのある「VINYL」ではオリジナルのソフビ製品も店頭販売され、SNSでも話題になっている。
トイ文化をアートと出会わせるケンエレファントの狙いとは? 同社営業部・部長の青山雄二さん、店舗運営部スーパーバイザーの加藤誠大さんのお2人に、これまでの経緯も含めて聞いてみた。

コンビニ飲料のオマケから、日本全国のお土産フィギュアへ方向転換


── ケンエレファントさんは、企業とコラボしたカプセルトイが目に入りますよね。オーディオや家具まで精密ミニチュアになっていますが?

青山 毎週、企画会議があって、開発部や営業部の人間が集まります。「こういう商品をやりたい」というよりは、「以前にあれを出して売れたよね」「こういう路線はどう?」と自然発生的に企画が出てきます。たとえば、銭湯ミニチュアコレクション。「銭湯の本はいっぱい出ているし、行けるんじゃないですか?」という話から始まって、営業が全国浴場組合にお声がけしたところ、「面白いですね、是非やりましょう」と言っていただけて、それで実現しました。
ONKYOさんやカリモク家具さんのミニチュアの場合は、弊社の社員に個人的な人脈があって、「カプセルトイを出したいんですけど、どうでしょう?」と連絡をとって進めたパターンです。コメダ珈琲店さんの場合はこちらからアプローチし、名古屋の本社までうかがってお話しした結果、実現できました。1つひとつの企画ごとに、成立したバックストーリーがまったく違うんです。


── ホームページを見ると海洋堂のアクションフィギュア「リボルテック」シリーズも載っていますが、これは?

青山 リボルテックは海洋堂さんとの共同事業で、弊社はアメイジング・ヤマグチ、ムービーリボルテックシリーズの販売代理・流通を中心に、商品提案などを担当させていただいています。ただ、弊社は海洋堂さんから大きくインスパイアされて成長した会社です。海洋堂さんの仕事のしかたを間近で見てきて、とても勉強になりました。

── カプセルトイを開発する以前は、どういうものを出していたのですか?

青山 コンビニで売っている缶コーヒーやペット飲料に、オマケが付いている時代がありましたよね。弊社は、飲料に付いているノベルティグッズを開発していました。1999~2000年ごろ、フルタ製菓の「チョコエッグ 日本の動物コレクション」が大ブームになりましたが、ああした食玩をコンビニの飲料に付けたいという主旨で、海洋堂さんと組んでベタ付けトイをやりました。

── コンビニ飲料のオマケが、海洋堂と繋がったキッカケだったんですね。

青山 ところが、2008年にリーマン・ショックが起きました。同じころ、景品表示法が厳しくなったせいもあって、ノベルティグッズの生産が一気に落ち込んでしまったんです。何か新しい事業を始めたくて、デザイン雑貨ブランドの「NEWSED(ニューズド)」を展開してみたりしました。その前後、2009年~2011年にかけて、北海道の新千歳空港がリニューアルされました。それに合わせて、カプセルトイで「北海道フィギュアみやげ」をリリースしたことが、カプセルトイ事業に参入するキッカケとなりました。「ノベルティからスーベニール(お土産)へ」という方向性で、フィギュアみやげを北海道から東京・京都・大阪・沖縄などへシリーズを展開した時点で、JR東日本のグループ会社から「キャンペーンに合わせてフィギュアみやげを出しませんか?」と声をかけていただきました。デスティネーションキャンペーンといって、「○○県へ行こう!」みたいなポスターが、駅に貼ってありますよね。そのキャンペーンと連動したカプセルトイを作りませんか、という提案でした。

── すると、ノベルティの次は、お土産としてご当地ガチャを展開していたわけですね?

青山 はい、土産物としてのフィギュア販売の集大成が、上野駅構内にオープンした「上野ランド」です。カプセルトイにこだわらない、いろいろな上野土産のお店ですね。オープンした2017年に、パンダのシャンシャン(香香)が生まれたので、それも追い風になりました。一時期は、店内がパンダグッズだらけになりました(笑)た。

加藤 とは言っても、既製のパンダグッズを仕入れて売ることには積極的ではなくて、気鋭のアーティストの方にパンダや上野の絵を描いていただいて、弊社オリジナルのグッズをつくりました。店舗としては、今年オープンした「VINYL」にも繋がるコンセプトですね。

青山 アーティストの方とコラボしてデザインブランドをつくってイベントに出ていたら、とても面白かったんです。OEMではなく自分たちで企画した製品をつくっていきたいと強く意識しはじめたのも、上野ランドをオープンした2017年ごろからです。銭湯や家具の大人向けのミニチュアをカプセルトイとして開発しはじめたのは、実はここ2~3年のことなんです。

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