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「ハイドレンジア」の歌詞は、自分のつらい記憶をもとに書きました
── 2曲目の「ハイドレンジア」もSakuさんの作曲・編曲で、歌詞はASCAさんとSakuさんの共作となってます。タイトルの「ハイドレンジア」は“あじさい”という意味なんですね。 ASCA この曲はデビュー前から存在している曲です。もともとはSakuさんと出会ったときに持ってきてくださったデモで、ずっと2人でいつかリリースしたいねと言い合っていました。今回ようやく、念願がかないました。歌詞も1番はSakuさんが書いたもので、最初から存在していました。
── 1番だけ作ってあった曲がデビュー以前からあって、それを今回完成させたと。 ASCA はい。私はSakuさんが書いた歌詞が大好きだったので、1番はまったく変えてなくて、それ以降を私が新たに書き足しました。Sakuさんの美しい歌詞をいかに受け継いで書いていくかというのが自分への課題で、タイトル通り、梅雨の時期に書いていきました。
── これは失恋の歌ですよね。 ASCA そうですね。想っている人の気持ちが、もう自分には向いていないことに気づいてしまって、それでも愛しているという。私は、完全なフィクションとして歌詞を書くことができなくて、今まで書いてきた歌詞も、自分の経験から導いてきたものばかりなんですけど、この曲の1番の歌詞のような失恋の記憶があって、それを掘り起こしました。だから、作詞はつらいものがありましたね。
── 思い出さなくてもいい記憶を、作詞のために掘り起こさなくてはならなかったんですね。 ASCA はい。1番で相手の想いがないということに気づいてしまった主人公が、2番では、それがなくなってしまったきっかけは何だったのだろうと振り返っているんです。だから、より絶望が深くなっていて。でも、2番が終わったところにピアノとストリングスの間奏が入るんですけど、切なさの中に希望を感じさせる音色だったんです。だから3番の詞は少しだけ希望を持たせたいなと思いました。
── たしかに最後は前向きになっている感がありました。 ASCA でも、ほんの少しだけです。2番で絶望を書いたのに、3番で急に元気になるのは無理があるので。傷ついた心は、簡単には癒やされないということは自分自身の経験からわかっているので、ちょっとだけでもいいから顔を上げているような歌詞にしようと思いました。
── 1番から3番にかけて、主人公の気持ちの流れがていねいに描写されていると思います。 ASCA サビの最後の部分が気に入っているんです。「雨に流れてよ 藍の花」が「雨に溺れてよ 哀の花」になり、「雨に抱かれてよ 愛の花」になっていくという。主人公の心理を、「雨」と「花」で表現しました。
── 特に「花」のところは、発音は同じ「アイ」なのに違う漢字を当てることで、ニュアンスを変えていっているのがすごいなと思いました。歌詞を目で見て、納得しました。 ASCA 自分の体験を掘り起こしつつ書いた歌詞なんですけど、ベースとなっているのはSakuさんが作ってくださった世界観やストーリー、サウンド感で、そこから多くのヒントをいただきました。
── ASCAさんの実体験について、ちょっと聞いてしまっていいですか? ASCA まさに歌詞の通りの失恋です、完全に(笑)。相手の態度から自分に気持ちがないなと気づいた瞬間があり、悲しみがだんだん諦めになって、好きな気持ちを自分の中で一生懸命、消していくという。それには時間がかかるということを知っているので、最後のちょっとだけ前を向くところは、すごく気を使って時間をかけて書いていきました。すべての人が共感できる歌詞ではないかもしれませんけど、深くわかってくださる方は絶対にいるだろうなって思います。
── 3曲目の「OVERDRIVE」は一転して、アグレッシブなロックナンバーです。 ASCA この曲は、重永亮介さんに作曲・編曲していただきました。プレデビューシングルの「RUST」からご一緒させていただいて、ライブのバンマスとしてもお世話になっている方です。この曲は重永さんからデモをいただいたときに、ライブでみんなと盛り上がれる最高の曲になると思いました。間奏は、最初はもっと短かったんですけど、ライブを意識して伸ばしていただいたんです。「Howling」と同じで、将来みんなと一緒にライブで楽しめているだろうという希望を持って制作しました。
── 歌詞はASCAさんと重永さんの共作ですね。「君を連れていくよ」というサビの最後の一節が心に残りました。 ASCA そこが言いたかったことのすべてかもしれないです。歌を歌ってきた中で、ときに自信をなくして立ち止まってしまったこともあって、ずっとまっすぐ走り続けてこられたというわけじゃなくて。「君を連れていくよ」というストレートな歌詞は、今までだったら書けなかったと思うんです。そんな自信も保証もどこにもないし。でも、自粛期間に、自分はひとりじゃないと気づいたのがここでも大きく影響していて、次にライブをするときは最高の景色が見られるだろうという確信を、強く歌いたいと思いました。