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「回レ! 雪月花」はヒゲドライバーの名刺代わりの1曲になりました
── 公式サイトのバイオグラフィーによると、2008年には初のオリジナルアルバム「ヒゲドライバー1UP」をリリースしつつ、ゲームやアーティストへの楽曲提供も始まっていますね。そして、2010年9月には東京に移り、さらに活躍の場を広げていきます。プロの作家としてやっていけると感じたのは、いつでしたか? ヒゲドライバー プロとして食っていけるかもと初めて感じたのは、今回のアルバムの1曲目に入っている「回レ! 雪月花」を作ったときだと思います。
── 「回レ! 雪月花」は、2013年11月27日にCDがリリースされました。 ヒゲドライバー 若いファン層に刺さる、新しくてちょっと変わったエンディングテーマが欲しいということで、メディアファクトリー(現KADOKAWA)から声をかけていただきました。そのころは必死というか、発注されていいものが作れなかったら、アニソンの仕事は二度と回ってこないんじゃないかというプレッシャーと、常に戦っていた気がします。「回レ! 雪月花」も、候補曲を16パターン作ったんです。
── 16パターン! すごいです。「回レ! 雪月花」は作詞・作曲・曲のすべてを手がけられているんですよね。 ヒゲドライバー アニソン作家としてのヒゲドライバーの名刺代わりの1曲になったと思います。
── 2曲目の「夢見サンライズ」は「回レ! 雪月花」のカップリング曲で、3曲目にはTVアニメ「月刊少女野崎くん」のエンディングテーマ「ウラオモテ・フォーチュン」(歌:佐倉千代/CV:小澤亜李)が収録されています。そして4曲目から7曲目が、先ほども話題に出た「NEW GAME!」の楽曲です。これ以降の曲は、作詞や作曲がヒゲドライバーさんで、編曲は別のクリエーターというパターンが増えていきます。 ヒゲドライバー 僕が組んでいるアレンジャーは、だいたいが同じ事務所の仲間のミュージシャンなんです。みんな仲がいいし、それぞれの得意分野がわかっているので、安心して任せられるんですね。唯一、鈴木このみさんに提供した「THERE IS A REASON」(映画「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」テーマソング)の宮崎誠さんだけは、別の事務所の方で、楽曲をロックテイストに仕上げてくださいました。
── 9曲目の「Stay Alive」(TVアニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」後期エンディングテーマ)と、11曲目の「戦線のリアリズム」(TVアニメ「幼女戦記」挿入歌)は、作詞・作曲・編曲がHeart's Cry名義になっています。 ヒゲドライバー Heart's Cryは複数のクリエイターによるユニットで、「Stay Alive」は僕が作詞・作曲、ゆよゆっぺがアレンジを担当しました。「戦線のリアリズム」はポップス的なアレンジではなく、劇伴のように徐々に盛り上がっていくような感じにしたかったので、ゲームミュージックを作っていて劇伴が得意なPowerlessにお願いしました。歌ものでありつつBGM的な曲で、こういう楽曲を作れるのも、アニメの仕事の面白さですね。ほかの人と組んでの仕事はいつも楽しいですし、刺激になります。
── Heart's Cryの誕生のきっかけは、なんだったんですか? ヒゲドライバー 当時、supercellがネットミュージックの王者として立ちはだかっていて、そこに一矢報いるというか、挑戦する気持ちで、ゆよゆっぺと一緒に組んだのが発端です。ハーツクライというのはもともと競走馬の名前で、ディープインパクトという絶対王者がいたころ、唯一、それに勝った馬なんですよ。我々は音楽界のハーツクライになるんだという気持ちで名付けました。
── 熱いエピソードです。 ヒゲドライバー そうなんです、意外と僕らは熱いんですよ(笑)。いつかはsupercellに追いついて抜かそうと、がんばりました。
── ほかのクリエーターの動向は、やはり気になりますか? ヒゲドライバー 同時代同業種のクリエーターはどうしても意識しますね。最近は多種多様になりすぎて、追い切れてない部分がありますけど。YouTubeがわっと広がって、いろいろな人が曲を投稿できるようになって、埋もれているものにもいい曲がたくさんあって。今は何かのきっかけでバズることが、聴いてもらえる条件なんだなと思うと、頭角を現すには難しい時代になったのかなと思います。