【独占インタビュー】「スタープレイヤーの育成が最重要」 カードバトルゲーム「TEPPEN」の運営に聞く今後の展開とコロナ禍の大会運営

2020年09月18日 17:000

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サービス開始から1周年を超え、リモートで日本リージョンの有名プレイヤー達が主催する大会「Japan Ambassador Cup 2020」を、7月から8月にかけて開催し、話題を集めたスマートフォン向けアルティメットカードバトルゲーム「TEPPEN」。


ますます盛り上がりを見せる同ゲームは、これからどう進化していくのか? 「Japan Ambassador Grand Prix 2020」の大会配信終了後、「TEPPEN」の大会運営などを担当する、ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社・セールス&マーケティング本部担当部長の長田英樹氏に話を聞いた。

⇒「Japan Ambassador Grand Prix 2020」優勝選手や実況・解説者に話を聞く



リモートでの大会運営で発見した新たな魅力とは?



今回、リモートで実現した「TEPPEN」公認プレイヤーが個々に主催する「Japan Ambassador Cup 2020」と、その大会の優勝者達が集結し、日本一を決める「Japan Ambassador Grand Prix 2020」は、依然として感染拡大が続く新型コロナウイルスの影響で考えられた大会プランだった。最初は苦肉の策といえたが、開催すると新たな発見があり、今後の大会の在り方に一石を投じたという。

 

「これまで、我々はプレイヤー、つまり選手を格好よく見せようと、演出などを考えていました。しかし、選手とはいえ、そういった大会でスポットライトを浴びることに関しては素人なので、最初は緊張するんです。去年の世界大会でも入場でかなり緊張していて、それが視聴者にも目に見えてわかる選手もいました。やはり視聴者は自然体でいたり、強気さが伝わる選手を格好いいと感じるので、その面では、結論から言うと意外とオンラインのほうがプレイヤーの人たちが格好よく見えるなと思いました。自宅でリラックスしたほうが自分を出せる人が多かったのです」

 

eスポーツというジャンルにおいて、この“選手を格好よく演出する”という面が今後大切だと長田氏は強調する。現状のeスポーツ大会というのは、普段そのゲームをプレイしている人が観戦するというケースが多い。もちろんプレイヤーが観客となることは、ゲームやeスポーツの発展には必要なことだが、さらにもう一段階、ゲームをプレイしない人も観戦者となるように、eスポーツの地位を上げるには「スタープレイヤー」の存在が必要不可欠なのだ。

 

「ゲームに熱心なプレイヤーだけが観戦するイベントだと、どうしてもファン人口が限られてしまいます。たとえばプロ野球だと、別に野球経験者じゃなくても観戦する人はいて、数的にいえば経験者じゃないほうが多い。なぜそうなのかというと、野球が、見るだけでも面白いということが一般的に浸透しているのと、ルールはよく知らなくてもこの選手を見たいというスター性のある選手がいるということが大きいのです」

 

まず、“面白い競技であることを伝える”という面では、観戦者に交通費やチケット代が発生しないことで、ネットでのリモート試合配信は大きく貢献した。

 

「我々は今まで会場をセッティングして人を呼ぶものを大会だと思っていました。しかし、リモートでやってみると実際の大会との差別化もできることがわかりました。まず、リモートの方が大会制作費が圧倒的に安くすむので、同じ予算であれば数多くの大会が実施できます。大会の数が増えると、野球で言えば打率とかホームラン数とか、『TEPPEN』で言えば「リュウ」のデッキの勝率が何割とか、このカードの使用率が高いとか、こういった成績にフォーカスできるようになります。それによって、選手の特徴を『TEPPEN』にあまり詳しくない人でもわかるように表現できるという可能性が広がりました。リアルの大会とリモートの大会、それぞれで、どういう演出が必要なのか取捨選択をできるようになったのは大きいと思います」

 

そして、“選手のスター性の強調”という面でも、大会の回数をリモートの場合は増やせるということで、大きな可能性を感じたという。

 

「公認プレイヤーが大会を主催することで、その大会そのものがプレイヤーのプロモーション活動になります。注目されてモチベーションを上げることで、互いが切磋琢磨して、スターが生まれるのではという狙いがあったので、主催するプレイヤーに負担を強いることになるかもしれないが、それでも大会を主催してほしいと、打診することにしました」

 

継続的な発展には、初心者もモチベーションが上がりやすいコミュニティの形成が重要!



ゲームの発展のためにはもちろん新規プレイヤーの参入や、初心者のモチベーションアップが重要だ。そのサポート面で考えると、「TEPPEN」というゲームは 2019年7月4日のリリース開始から現在に至るまで、恵まれた環境が整っているゲームと言える。


公式的なシステムとしては、トッププレイヤーが使用するデッキレシピが公開されており、そのデッキを記録したQRコードを読み取ることで、自分も同じデッキを構成することができる。また、コミュニティとしてもオープンな文化で、攻略法や安定したプレイングを教えてくれる有名プレイヤーなどが多いが、今後はさらに、プロモーション的要素を強めていきたいという。

 

「初心者や興味のある人への魅力紹介という側面では、ナリカワさんが動画配信でやっていますね。『こういうデッキの組み方あるよ』とか『こういうデッキではこう戦うのがオススメ』などの紹介がコミュニティを活性化し、プレイヤーの底上げにつながるので、ナリカワさんみたいに楽しく、かつ役立つことを教えてくれるプレイヤーを増やすことがユーザー増加に一番効果的なのではと思っています。プロゲーマーに教えてもらうというのは野球にたとえると、プロ野球選手から教わるようなもので、それがイチローさんのようなスター選手から教わるとなると、それこそとてつもない効果を生み出しますよね。公認プレイヤーという資格を、オフィシャルで与えているのは、そういった裾野を広げる試みを期待してという面もあります」

 

去年はゲームショウなどの大型イベントでブースを設置し、公認プレイヤーを相手に対戦してもらう企画などをしていたが、今年は大型イベントなどが組めない関係上、オンラインでの一般プレイヤーの講習を兼ねた公認プレイヤーとの組手などを、10月くらいまで企画していきたいとのこと。長田氏はこうした上位のプレイヤーと、一般プレイヤーのガチンコの対戦を、格闘ゲームのコミュニティになぞらえて重要だと語る。

 

「昔の格闘ゲームは、ゲームセンターでプレイしていたので、各地域に独自のコミュニティがあり、その地区での強豪プレイヤーが100人組手のような対戦をすることで、ゲームを盛り上げていました。『TEPPEN』はアプリカードゲームではありますが、明確なターン制ではなく、格闘ゲームのようなフレーム単位での読み合いの攻防があり、組手を観戦している人も盛り上がることができます。かつて、『バーチャファイター』などでは、オフィシャルで鉄人プレイヤーがPRのために、全国を行脚するということもありました。今の状況下では、リアルでこうしたことをやることは難しいですが、オンラインならば、全国どころか世界にも向けて行えます」

 

また、PR活動のために、その人が強豪プレイヤーだと明確にわかるような称号作りも今後は強くイメージしていくようだ。この文化も格闘ゲームでは一般的で、大会で優勝などすると、オンラインプロフィールに、自身が優勝した大会でもらったオリジナルの称号を掲載することができる。8月末に開催された「Japan Ambassador Grand Prix 2020」では、3位までのプレイヤーにオンライン上で確認できる、プレート勲章を与える方法をとった。ほかの大会でもこうした勲章の贈呈は続けていきたいとのこと。

 

「TEPPEN」だけで生活のできるプロゲーマーの育成が大きな目標


「TEPPEN」全体の今後の目標に関しては、新型コロナの影響でオンラインでの開催が決まった、世界大会「TEPPEN WORLD CHAMPIONSHIP 2020(WC2020)」を成功させることはもちろんだが、将来的には「TEPPEN」のプロというだけで生計を立てられるプレイヤーを多数生み出すことが重要だと明かす。

 

「プロゲーマーという言葉ができ、我々もイベントや大会運営などを通して環境を整えてきました。しかし、ゲーム会社に勤めたいという人は多いですが、プロプレイヤーになりたいという人はまだまだ少ないのが現状です。なぜならプロゲーマーになることのメリットが、ほかのプロスポーツ選手に比べると少ないからです。たとえば、プロゲーマーになるとこれくらい稼げるとか、いろんなメディアで取り上げられるとか、そういったメリットが世間に認知されれば、親御さんも『がんばってやりなさい!』と子供を後押ししてくれるはずです」

 

その解決策として現在、長田氏が構想しているのが、定期的な賞金の出る大会の開催だ。しかも優勝者や2位、3位だけではなく、多くの参加者に賞金が出る大会を企画していきたいそうだ。例としてはゴルフの大会を思い浮かべるとわかりやすいかもしれない。ゴルフは毎週のように賞金の出る大会というのが、規模の大小に関係なく開催されている。

 

「1回の大きな大会で賞金を出すだけだと、それだけでは稼ぐことはできません。プロゲーマーといえど、毎回勝てるわけじゃないからです。10回やっても2回しか勝てなくて食いっぱぐれるというのではだめで、たとえ優勝しなくても、予選を通過すると賞金が出るみたいな方式にして、プロゲーマーの稼ぎ口をある程度増やしてあげる必要があります。


そうしないと、プロゲーマーになりたい!という人がどんどん減っていってしまい、
スタープレイヤーの誕生も望めません。大会制作費が比較的安くすむ、リモートでの大会という選択肢ができたことで、賞金を獲得できる大会をどんどんやろうという空気にもなっています」
スタープレイヤーの誕生とゲームの発展は、やはり切っても切れない関係性がある。これは「TEPPEN」のみならず、eスポーツ全体に共通する。

 

「たとえば、将棋を楽しんでいる人は、対戦型のゲームを楽しんでいる人よりは少ないと思うんです。でも、将棋には長い歴史と伝統があり、羽生善治さんや藤井聡太さんのような時代を代表するスタープレイヤーがどんどん出てくる土壌があります。だから、メディアも取り上げてくれて認知度が上がる。そういった土壌を作り、スターを生み出すのが、我々の役目だと思います」
「TEPPEN」のリアルタイムで行われる、1対1での行動の読み合いの攻防は、ゲームの競技性の高さとして、公認プレイヤーだけではなく、一般のプレイヤーも魅力のひとつとして語るところだ。つまり、リアルなスポーツ競技のような盛り上がりの場面を作りやすい。その部分の魅力が配信などで伝わることで、さらに「TEPPEN」は発展していく可能性を秘めている。



PlayTEPPEN_ASIA公式twitter https://twitter.com/PlayTEPPEN_ASIA

【ゲーム概要】

■「TEPPEN」

ジャンル:アルティメットカードバトル

対応機種:iOS10.0以降/Android6.0以降

価格:無料(ゲーム内課金あり

配信開始日:2019年8月8日(アジアパシフィック・日本)

発売元:ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社

開発:ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社、株式会社カプコン

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