人気シリーズ続編のファンを維持するのも楽ではない? 中国の7月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

2020年09月13日 12:000
人気シリーズ続編のファンを維持するのも楽ではない? 中国の7月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

サブヒロインの扱いをきっかけに炎上する長編人気作品


先述の通り7月のシーズンは中国でも人気の高いシリーズの続編が集中し、中国の日本アニメファンの注目もそれらの作品に集中することとなりました。
それらの作品の再生数の伸びやライト寄りの層の評価を見ると順当に人気を獲得していったようにも感じられますが、作品に関する話題、特に比較的熱心なファン層からの反応が荒れ気味となってしまった作品も出ているようです。

なかでも「ソードアート・オンライン-アリシゼーション-War of Underworld -THE LAST SEASON」「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」の2作品に関しては一部のファン層からは、かわいさ余って憎さ百倍とも言えるような反発、作品のストーリーやキャラクターに対する批判が出てしまった模様です。

まず「ソードアート・オンライン」のほうに関してはいわゆる俺TUEEEE系作品的な爽快感を期待されていたところに、作品の序盤~中盤にかけて主人公が戦線離脱してピンチも続くといったストレスが貯まる展開が続いたことなどから不満が出ることになってしまったそうです。

さらにその一連のストーリー展開においてヒロインたちが痛めつけられるシーン(中国で配信される際に修正やカットも入ったそうですが)が悪趣味である、サブヒロインだからといって扱いがヒド過ぎるといった批判が噴出し、作品関連の話題が大荒れになってしまったそうです。その後のストーリーで主人公が復活しての逆転劇となって以降もこの不満の空気はなかなか収まらず、作品に対する批判がくすぶり続けるような状態にもなってしまっているのだとか。

「ソードアート・オンライン」は複数のヒロインが出てくるもののメインヒロインは最初からずっと固定されているというのが特徴のひとつですし、中国でも「正室の決まっている作品」という評価になっているそうです。
しかし、メインヒロイン以外のヒロインに見せ場や主人公とのラブコメ的な交流がないわけではありませんし、これまでのストーリーでついた熱心なファンも存在します。

そのようなファンの人たちにとって自分の推しているヒロインが劇中でヒドイ目に遭う、雑な扱いをされるといった展開は非常に厳しいものがあるそうですし、そこに今期のストレスが貯まる展開が重なっての爆発になった、今期の作品ファン界隈が荒れる燃料にもなってしまったという見方もあるそうです。

次に「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」。中国では「春物」という略称で呼ばれることもあるこちらの作品では、主人公のキャラクターやストーリー展開に関して、第1期の頃のよさ、作品を見るきっかけとなった魅力が薄れているという声が強まっている模様です。
またそういった不満が爆発するきっかけのひとつとして大きいとされるのが、こちらもやはり「ヒロインの扱いの格差に対する不満が蓄積していた」ことだったそうです。

中国のオタクの方の話によると、この作品のファンの間ではヒロインの扱いに対する不満が第2期の終盤頃から微妙にくすぶっていたそうで、それが第3期の展開を導火線に爆発してしまったようなところもあるのだとか。
そしてかつては中国のオタク界隈でも非常に評価が高く「大老師」という愛称でも呼ばれていた主人公の比企谷八幡に対して、批判などのネガティブな見方がかなり強まっているという話も聞こえてきます。

オタク向けの作品にはラブコメ的な要素が混じることも多いですし、恋愛要素がからむ作品ではヒロインに対する感情移入も強まります。またその結果として見ている側の望んだ展開にならなかった際の不満や反発の感情が、作品の主人公に対してぶつけられてしまうようなところもあります。

今回の件について教えてくれた中国のオタクの方からも、
「近頃の作品批判についてはヒロイン関係が導火線となったケースが目に付くようになってきていますし、ヒロイン関係でのゴタゴタがそのまま主人公、そして作品に対する批判につながってしまう傾向も感じられます」
「作品に対する引っかかりがヒロインの扱いへの不満をきっかけに増幅されて批判につながり、それがそのまま作品を作っている制作会社への批判や負のイメージの蓄積にもつながりがちです」
「これについては中国のオタクの間で作品の楽しみ方のひとつとされる、推しヒロインの『党』を決めて討論しながら作品を追っかけていく『党争』が過激になり過ぎていることも影響しているのかもしれません」
などといった話がありました。

中国では新作アニメの前評判においてはどのアニメ制作会社が関わるかというのが有力な判断材料として扱われていますし、こういった負のイメージの影響は日本と比べて大きなものとなる可能性があります。
またこのような批判の動きは以前の評価が高かった主人公ほど顕著になるそうで、特に近年の中国で人気になっている長編シリーズでは、いわゆる俺TUEEEEE的な作品に限らず、主人公のスペックがイロイロな意味で最初から高く活躍できるようなタイプが多く、ストーリーの進行にともなう主人公の変化が成長ではなく「カッコよかった最初の頃とは違う」などと受け取られがちなのも難しいところだそうです。

こういった中国のオタク界隈における作品の評価や人気の事情を見ていくと、日本だけでなく中国でも作品が人気を獲得するということの難しさに加えて、作品や主人公の人気を維持するのにもまた別の難しさがあるというのを感じてしまいますね。


(文/百元籠羊)

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