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中国の動画サイトで再生数が2億を超えるような大人気作品は?
中国における日本のアニメ作品の人気についてはさまざまな判断材料がありますが、ひと昔前と比べて正規配信がかなり定着した現在の環境では、日本のアニメを配信している動画サイトにおける各種ランキングなどが人気の指標としてかなり参考になるかと思われます。
もちろん動画サイトごとにユーザーの規模や傾向、出している指標は異なりますし、複数の動画サイトで配信されている人気作品に関して総合的なデータを把握するのは難しいものがあります。
また生き馬の目を抜くような環境である中国のネット上の競争では、表示されている数字も一概に信用することができないのも確かです。
それに加えて先日の「僕のヒーローアカデミア」のように、炎上した結果消えてしまった作品もありますし、人気作品であっても自主規制あるいは規制のブラックリスト入りして消えたり、その後復活しても数字が怪しくなったりする……といった中国特有の事情も存在します。
しかし中国の業界寄りの方からは
「中国で配信される日本のアニメに関しては、ネットの発言や動画コメントの操作に関してはともかく、利益や規模の関係上、国産作品のような大がかりな数字の工作が入ることは比較的少ないという話もありますし、ある程度は実情に沿った数字になっていると思います」
といった話を聞いたこともありますし、ファン同士の話題の勢いなどと合わせて、比較的信頼のおける人気の判断材料になるのではないかと。
そんなわけで、今回は再生数の数字などが参照しやすいうえに各シーズンにおける新作アニメの配信作品数も多く、現在の中国のオタク界隈でもっとも大きな影響力があるとされる動画共有サイト「bilibili」における現時点(2020年8月)の数字をもとに、大雑把なものではありますが再生数が非常に多い日本のアニメ作品をまとめてみました。
まずすでに半分以上が過ぎた2020年の作品ですが、このコラムを書いている8月初めの時点で再生数1億を超えている今年の新作アニメ作品は、「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」、「かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~」(第2期)、「とある科学の超電磁砲T」の3つのようです。
作品関連の話題の盛り上がり方を考えても、これらの作品はオタク層に限らず今年の中国に広い範囲で刺さった日本のアニメと見て間違いないかと思われます。
そして累計で2億の大台を超えるような作品を見ていくと、古い順に
「オーバーロード」(第1期)、「Re:ゼロから始める異世界生活」第1期、「斉木楠雄のψ難」、「小林さんちのメイドラゴン」、「オーバーロードII」(第2期)、「オーバーロードIII」(第3期)、「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」、「転生したらスライムだった件」、「かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~」(第1期)、「鬼滅の刃」
といった名前が並びます。
これらの作品はどれも非常に広い範囲で人気になっていましたし、中国のオタクな方々の話によると、新作扱いが終わってからもふとしたときに話題に出る息の長い人気作品といった扱いになっているとのことです。またここまでの再生数になると、やはり熱心なファンだけでなく、ライトなオタク層から、アニメ「も」楽しむ一般層にまで広まるような人気と知名度になってくるそうです。
ちなみにbilibiliにおける再生数2億超えの日本のアニメ作品を見ていくと、まず「鬼滅の刃」が現時点で4.9億と、ほかの大人気作品と比べても明らかに頭ひとつ抜けた数字を叩き出しているのが目に付きます。このあたりからも「鬼滅の刃」が近頃の中国でも飛びぬけた人気になっているのが感じられますね。
それから中国独自の人気事情が出ていると思われるのが「オーバーロード」です。基本的に話数が多い作品のほうが有利になる作品ごとの再生数ですが、「オーバーロード」は1シーズン13話でありながら第1期から第3期までのすべてのシーズンで2億を超えていますし、中国における人気がスゴイものになっているというのが見て取れます。
こういった数字を見ていくと作品の人気の規模なども見えてきますし、中国における日本のアニメの人気事情を考えるうえで、作品に関する話題や周辺の盛り上がり方などと合わせて引き続き追いかけていきたいですね。
(文/百元籠羊)