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夢を追っている若者たちへの、応援歌にしたい
── 先ほど話に出た、平尾監督が探し当てた“テーマ”とは? 聞くのは野暮でしょうか? 平尾 一応、秘密ということにしておきたいのですが……。僕個人としては、マイノリティがマジョリティに一矢報いるようなストーリーを描いていきたいんです。僕自身がマイノリティであったがゆえに漫画やアニメーションに救われ、それらの表現に夢を託してきたわけです。だから、今度は自分がつくることで恩返ししたい。いまマイノリティとして戦っている若者たちを励ましたい。それはエンターテインメントとして成立するだろうし、そのテーマを描けるのであれば、恋愛物であろうがアクション物であろうが、ジャンルは問わないはずだとも思いました。
映画大好きポンポさん」には、ポンポさんのアシスタントを務めるジーン・フィニ君というキャラクターが出てきます。映画が大好きだけど、実社会では明らかにマイノリティである彼が、映画制作の世界に飛び込んで光り輝くことができるのか。それはまさに、自分の抱えているテーマそのものだと思ったんです。そこで、原作の杉谷庄吾さんにお会いしたとき、「もし監督をさせていただけるのであれば、ジーン君にスポットを当てたいです」と、正直に自分の想いをお伝えして、お許しをいただきました 。
── すると、映画には、マイノリティががんばるようなニュアンスが盛り込まれているわけですね? 平尾 僕自身が「ポンポさん」のファンなので、原作の「ポンポさん」から大きく離れるという意味ではありません。モノづくりにかける情熱、キャラクターの魅力など、原作の素晴らしさを十分に引き出せるよう注力しつつ、ジーン君にスポットを当てている、ということでしょうか。
── 原作では、割とガチな映画論が語られますが……。 平尾 キャラクターはかわいらしいけど、「なるほど!」と感心させられるような言葉が出てくるんですよね。アニメ業界で働いている人間からしても、ハッとさせられるような映画論が出てくる。そのギャップも、原作の魅力だと感じました。それと、普通だと一度落ちて、そこから這い上がるようなドラマがあるんですけど、「ポンポさん」は落ちないんです。ずっと、テンションが上がったまま進んでいく。ほかの作品にないカラーだし、絶妙なバランスです。そこが映画にしたときにどう出るのか、やや不安はありました。だけど、原作のテンションを生かしつつも、一本の映画としてのバランスを調整していけば面白い作品になるはずだ、という確信もありました。
── 対象年齢は、どれぐらいを考えていますか? 平尾 本音を言うと、14歳から……と言いたいところです。なぜなら、人は14歳ぐらいがもっとも多感で、自分と社会の関係や自分のマイノリティさに気づきはじめるからです。ですが、映画制作というモチーフに興味を持ってもらえるかどうかが難しい。なので、10代後半から20代以降がターゲットかなと思います。ただ、これは初めて打ち合わせするスタッフ、全員に言っていることなんですが、アニメの「ポンポさん」は、夢を追っている全ての人に向けた応援歌のような映画にしたいと思ってつくっています。年代関係なく、たくさんの人に見てもらいたいですね。