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2020年3月に3rdアルバム「Re:I」をリリースし、新たな自分を表現した安田レイ。それに続く14枚目のシングル「through the dark」が、5月27日にCDリリースされる。「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」エンディングテーマとして制作された美しいミディアムナンバーで、楽曲のテーマは「光と闇」。歌詞は、「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」のヒロイン、アイリスに寄り添って書いていったという。 アルバム「Re:I」制作秘話も含め、楽曲制作を通して感じたことについて、深く語ってもらった。
「through the dark」は、5歳の頃の私を意識して歌いました
── 今回はリモートでのインタビューです。今は5月半ばですが、安田さんはどのような毎日を送っているんですか? 安田 生活に必要な物を近くに買いに出かけるくらいで、あとはずっと家の中に閉じこもっています。料理をしたり洋服のリメイクをしたり、ストレスが溜まらないよう楽しく過ごすことを意識していて、何もしていない時間というのは意外とないですね。
── 音楽的なことも、やっているんですか? 安田 はい。ピアノを弾いたりしてデモ曲を作ったりもしています。それからインスタライブをやったりしています。ひとり暮らしで誰にも会えなくて寂しいし、同じように感じている方はきっと多いんだろうなと思って、今、一番大事にしたいのはファンのみなさんとのコミュニケーションなんです。コメントひとつでも、つながりを持てるというのが大事かなと思って。
── そんな中、5月27日に14thシングル「through the dark」のCDがリリースされます。TVアニメ「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」のエンディングテーマとしてすでにオンエア中の楽曲です。 安田 アニメタイアップ曲なので、実は3月にリリースした3rdアルバム「Re:I」よりも制作が早くて、去年(2019年)の夏にはレコーディングが終わっていました。防音の関係でクーラーを強くできなくて、汗だくになりながら歌ったのを覚えています(笑)。
── まずは楽曲を決めるところから、制作は始まったと思うのですが。 安田 そうですね。この曲は、初めてご一緒させていただいたJeff Miyaharaさんに書いていただきました。Jeffさんがいくつか用意してくださった中から、自分の声と作品のコンセプトに合った曲を選んでいきました。強さと儚さの両方を持っている曲で、最初に聴いたときに体が震えるような感動があったんです。音数の少ないAメロ、Bメロからサビに向かって広がって、光が拡散するようなパワーを感じて、「なんて美しい楽曲なんだろう!」と思いましたし、アニメの世界観にもぴったり合っていました。
── 「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」の世界観を、安田さんはどう感じていますか? 安田 光と闇がテーマになっている作品だと思います。事前にプロットを読ませていただいてから制作に入っていったんですけど、純粋な心と、大事な人を守り抜く力を持つヒロインのアイリスが、私から見てもすごく尊敬できる女性だったので、彼女の視点で歌詞を書いていこうと思いました。
── アイリスに感化された部分が大きかったということですね? 安田 はい。人を守りたいという、愛のかたまりのような女性だと感じて、それを歌詞でも表現したいなと思いました。遠回しな表現はせずに、アイリスのように、まっすぐに思いを伝える言葉をつづることができたと思います。Aメロの静けさを言葉でも表現したくて、「静まる街1人歩くの」という歌い出しにしたりしたように、楽曲が持つパワーに導かれた部分も多かったです。
── アイリスのキャラクター性と楽曲の素晴らしさによって、よりストレートな歌詞になったということですね。 安田 はい。サビで英語を多用したのもその一環で、英語にしたことで、より素直な言葉になりました。私は歌詞で英語を使うことは今まであまりなかったんですが、今回は挑戦してみようと思いました。
── レコーディングはいかがでしたか? 安田 歌い方も、アイリスから得たインスピレーションが大きかったです。AメロとBメロは、ボーカルのテクニックをあえて削ぎ落として、語りかけているような歌い方をしているのがポイントで、アイリスの心の中が、ふと言葉になって漏れてしまったようなニュアンスを表現しているんです。
── 安田さんの判断で、そういう歌い方にしたんですか? 安田 私自身もそういうふうに歌いたいと思いましたし、プロデュースをしてくださったJeffさんからも「ピュアに、ストレートに歌ってほしい」というディレクションを受けました。そのときのJeffさんの言葉が面白くて、「レイちゃんが5歳だったら、この曲をどんなふうに歌うかな?」と言われたんです。5歳の私って、どういうこと!? と(笑)。
── 少女を飛び越えて、幼児ですよね(笑)。 安田 5歳なら、ボーカルのスキルとかまったく関係ないなと。でも、この曲はうまく歌おうとしないくらいがちょうどいいのかもしれないと、Jeffさんのその言葉でハッと気づいたんです。なので、「through the dark」を聴いた人からは、「いつもと歌い方が違うね」と言われることが多いですね。
── でも、サビのボーカルはすごくエモーショナルです。 安田 サビで感情を爆発させるのは大好きで、歌っていて気持ちよかったですし、エンディングの映像を自分なりに想像しながら歌いました。実際のエンディングの映像は、私の想像を超えて美しかったですけど。
── エンディング映像は「光と闇」ということでモノトーンを基調にしつつ、ワンポイントでカラーが入っているのがきれいなんですよね。 安田 すばらしかったです。「静まる街」という歌い出しに合わせて、アイリスが風景を背に歩いているところから、引きこまれました。映像も静かに始まってサビで躍動感が出てくるのが、楽曲とリンクしていて大好きです。
── MV(ミュージックビデオ)もネット上で公開されています。ここでも「光と闇」がテーマになっていますね。 安田 野外ロケによるMVで、撮影したのが今年の2月だったので、めちゃめちゃ寒かったのを覚えています(笑)。でも、大自然からパワーを受けながら歌うことができて、今までのMVの中でもっとも壮大な映像になりました。「光と闇」ということで、白の衣装と黒の衣装の2パターンで歌っているんですけど、表情や動きでも「光と闇」を表現できるように意識しました。あえて同じアクションをして、「光と闇」は表裏一体であるというイメージを作り出しているシーンもあるので、シーンとシーンのリンクをいろいろと見つけていただきたいです。
VIDEO
── ジャケット写真も、初回生産限定盤は黒、通常盤は白の衣装になっています。 安田 はい、ジャケットのアートワークもテーマが共通しています。今まで、CDのアートワークはカラフルなものばかりだった中で、モノトーンというのは初めての試みで、新たな自分を表現できたと思います。2月に『安田レイLIVE2020「Invisible Stars」』を成功させて、3月に3rdアルバム「Re:I」をリリースし、4月に27歳の誕生日を迎えたということで、今年は新しい安田レイを見せていきたいなと強く思うようになった中で、「through the dark」は歌い方もMVもアートワークも、新たなことに自信をもって挑戦することができたんです。
── 初回生産限定盤と通常盤は、2枚並べるとシンメトリー(左右対称)になっているのも面白いですね。 安田 アートワークをみんなで考えていく中で、「白と黒」って共存し合っているよね、白は黒を、黒は白を求めているよねという深い話になって。それを表現するためにシンメトリーにして、2人の私が向かい合い、求め合っているデザインにしようということになったんです。
── 今のお話は、TVアニメ「白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE」のテーマにもつながりますよね。 安田 そうですね。「光と闇」は共存し、求め合うという。